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欧州ガス価格-過去最高更新 ロシア-NATOの「脅威」には軍事対応も辞さず
欧州ガス価格過去最高を更新
欧州のエネルギー状況は昨日、天然ガスの不足、原子力発電所の停止、風力発電の出力低下、寒波による価格上昇でさらに深刻化しています。
欧州のガス価格の指標となるオランダのTTFハブにおけるガス価格は、マールナウ圧縮機ステーションでドイツに入るガスがゼロになった後、1メガワット時あたり165ユーロと過去最高値に10%上昇し、欧州のガス価格は過去最高を記録しました。
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ロシアのガスプロム社は、問題視されているノルドストリーム2パイプラインの認定が7月まで延期されたため、欧州へのガス供給量を確実に減らしており、欧州への新たな流入がないため、電力会社はすでに季節的に低水準にあるガス貯蔵量を減らさざるを得ない状況で、一部の電力会社は、送電網の混乱を避けるために化石燃料の発電所を再稼働させなければならなくなりました。
エネルギー危機はここ数日で悪化し、通常、電力の輸出国であるフランスは必死に輸入を求め、さらにフランス最大の電力会社であるフランス電力が国内の原子力発電能力の10%を占める4基の原子炉を停止したため、燃料を燃やす発電所を再稼働させ、電力網に負担をかけることになっています。
フランスの原子力発電容量の30%が今後数週間のうちに停止し、ドイツは来年、原子力発電容量の約半分を失うことになります。
また、今週発生した寒波が送電網に負担をかけ、ドイツの数千の風力タービンによる発電量が5週間ぶりの低水準に急落しています。欧州のエネルギー危機は急速に加速しているようで、今後数週間は寒波が続くと予想されるため、さらに悪化する可能性が懸念されます。
ロシア NATOの「脅威」には軍事対応も辞さず
欧州への天然ガス供給元のロシアのプーチン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に対しては軍事的な対応も辞さないと警告し、欧州の緊張激化は米国に責任があると非難しつつ、最後通告ではないと述べています。
ウクライナにNATOのミサイルが配備されればモスクワを数分以内に攻撃できるため容認できないとし、ロシアにとっては「玄関口」だと語っています。
ロシアはNATOの「非友好的な措置には、適切な軍事的・技術的な対応をとり、厳しく対処する」と言明する一方で、「軍事衝突や流血の事態はロシアが望んでいる展開では全くない」とし、「政治的・外交的な手段による問題の解決を希望している」と続けています。
また、ロシア国防大臣は米国はウクライナのロシア国境近くに約8,000人規模の軍隊を配置していると主張し、米国に対する警戒感を解いていません。
米国は、ドンフリート国務次官補(欧州問題担当)が、数週間から数か月先まで、ウクライナに軍事物資を供給し、ロシアが再びウクライナに侵攻した場合、米国はすでに提供しているものに加えて、追加の防御装備をウクライナに供給すると発言しており、ウクライナ情勢は収まる気配が見えてきません。この地政学的リスクが、欧州ガス価格高騰の要因ともなっているため、来年もウクライナ情勢は引き続き注意しておく必要があります。
英国ジョンソン首相 クリスマス前の新型コロナ行動規制はもうしない
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ジョンソン首相は、クリスマス前に新型コロナウイルスによる行動規制がさらに導入されることはないと述べましたが、クリスマス休暇後に新たな対策が導入される可能性があると警告しています。
オミクロン株の入院率について「不確かさが続いている」ことから、クリスマス前の規制を正当化する十分な証拠はないと述べ、しかし、高齢の友人や家族を訪問する前にテストを受けるなどして「注意を払う」よう促し、窓を開けて新鮮な空気を室内に循環させるよう促しています。
英国の主任医務官は昨日、公開書簡でオミクロンは「医療サービスやすべての医療専門家に多大なプレッシャーを与えることは明らかだ」と警告していますが、政府の緊急時科学諮問グループ(Sage)の元メンバーは、新しい規制を導入する前に、オミクロンに関するより多くのデータが出てくるまで1日か2日待つように政府に促していました。
ジョンソン首相が、もし制限を強行すれば、リシ・スナック財務相率いる内閣の造反の可能性に直面していました。
そのスナック財務相は、昨日、接客業などに大打撃を与えているオミクロン変異型コロナウイルス感染者の続出により、最も大きな打撃を受けた企業への支援を10億ポンド強化すると発表しました。
発表された支援内容は、ホスピタリティおよびレジャー事業者が、1店舗につき最大6,000ポンドの補助金を受け取ることができるというもので、財務省によると、この補助金は今年初めにロックダウンされた際の接客業に与えられたものと同等とのことです。
また、文化団体を支援する基金が3000万ポンド増額されるほか、ビジネス支援策としてイギリスの地方自治体が1億ポンド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの政府が1億5000万ポンドを受け取ることになっています。また、財務省は、イギリス全土の中小企業に対し、新型コロナ関連の欠勤に対する法定傷病手当の費用を、従業員1人当たり2週間まで負担すると発表しました。
業界団体UKHospitalityが月曜日に発表した数字では、週末の売り上げが40%減少し、大晦日の見通しも暗くなっています。
UKHospitalityは、「これは、既存のホスピタリティ支援策に基づく寛大なパッケージで、自らの過失で最も貴重な取引期間を台無しにされたビジネスに対して、緊急の現金注入を行うもの」と述べています。
マーケットは反発 オミクロン株の経済への影響限定的との見方広まる
昨日のNY市場は反発しています。
オミクロン変異株の感染が拡大しているものの、市場参加者は経済情勢に対する楽観的な見方を強めているもようで、債券市場債券利回りが上昇し、原油先物は3%超上昇、主要株価3指数が急反発し、為替は、リスクセンチメントがやや回復したことで豪ドルや英ポンドなどが買われた一方、ドルはやや軟調に推移し、円が売られる動きとなっています。
ただし、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が経済見通しに影を落とす警戒感は抜けきらず、慎重ムードも漂っています。
一部では、上昇は続かないとの見方を示し、「上値は抑制される見込みで、規制が強化されるに伴い、新たな売りが出るだろう」と語っています。
クリスマス休暇を控えて薄商いとなっているので、流動性の低下からボラティリティが大きくなったのかもしれません。
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今日の予定
日本国内の経済指標
08:50 BOJ議事要旨公表(10月27・28日開催分)
海外の経済指標
16:00 英 第3四半期GDP【確報値】・第3四半期経常収支
21:00 米 MBA住宅ローン申請件数
22:30 米 第3四半期GDP【確報値】・個人消費【確報値】
24:00 米 中古住宅販売件数・消費者信頼感指数
24:30 米 週間原油在庫
昨日は、オミクロン株に対する警戒感は和らいだ感じがしますが、日めくりの様に相場環境が変わっていますので、オミクロン株に関連するニュースには引き続き注意が必要です。
オミクロン株に関しては、市場参加者の捉え方にずれが生じているよう見られ、市場参加者も少ないため、過度のリスクオフ・リスクオンの動きには警戒しておいた方がいいかもしれません。
経済指標では重要指標が相次ぎますので、ボラティリティの拡大に注意しながらチャートを見ていく事になると思われます。
それでは今日もよろしくお願いします。
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