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心理的安全性への「第一歩」は、職場で使う言葉から
日々の業務の中で、私たちは無意識に使う言葉がどれほど大きな影響を与えるか、あまり考えることはないかもしれません。しかし、職場での会話が増えることで、心理的安全性が高まり、新たな挑戦を受け入れる風土が育まれ文化になっていきます。
「心理的安全性とは、チームメンバーが自分の考えや疑問、間違いを安心して共有できる環境であり、リスクを取ることや失敗を恐れることなく、自由に意見を述べることができる状態を指す。」(エイミ・エドモンドソンの定義)
心理的安全性が高いチームで自由に意見交換ができると、それに伴って挑戦への姿勢へと変わり、組織が進化していく文化の礎が築かれていきます。
「健全な衝突(ヘルシー・コンフリクト)」については、こちらをご参照ください。
心理的安全性を育むには、ひとつひとつの「声かけ」と「行動」の積み重ねが必要です。
今回、心理的安全性マネジメント講座の講義内容を参考にしながら、そんな心理的安全性を育む「声かけ」に着目して考察していきたいと思います。
◾️Happy ! にする「言葉」で「行動」は変わる
▶︎行動を起こすための 2種類の「言葉」
きっかけ言葉:「相手の行動を促す」言葉
おかえし言葉:「相手の行動や結果を受け止める」言葉
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「きっかけ言葉」と「おかえし言葉」をバランスよく活用することが、心理的安全性を高めるポイントになります。
▶︎「行動」を起こすための「言葉」とは?
「きっかけ言葉」と「おかえし言葉」は、行動分析学の堅牢な理論に則ったもの
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きっかけ言葉:「〜してください」など、依頼やお願いの時に使う「言葉」
おかえし言葉:「〜してくれてありがとう」など、感謝や結果を受け止める時に使う「言葉」
この 2種類の「言葉」をバランスよく活用することで、「望ましい行動」を増やすことができます。
▶︎「きっかけ言葉」のポイント
基本は「かみ砕く」こと。
つまり、「なにをすればいいか」分からない言葉は、きっかけ言葉になりません。そのため「聞き手が分かるように、具体的(かみ砕く)に伝える」ことがポイントです。
ただ、いくら分かりやすくても「聞き手がそれハードルが高いな…」と感じてしまう言葉も行動を促しにくいため、同じく「きっかけ言葉」にはなりません。
例えば…
新人社員に「新規事業の草案つくっておいてね」
メンバーに「いい感じでやっておいてね」
後輩に「なんで終わってないの?」
「できるだけハードルを下げ、背中を押す」ような言葉がけが、良い「きっかけ言葉」と言えます。
▶︎「おかえし言葉」のポイント
基本は、「即座」と「承認」で、「行動」した人が Happy ! に感じる言葉をかける。
「行動」が起きたら、できるだけ早く(即座)におかえし言葉を届けることと、「行動」と「結果」を「承認」することで相手の行動を増やすことができるためポイントになります。
例えば…
お願いされたことを「やる(行動)」した後、「感謝」の言葉やフィードバックがなく放置されたら、「やらなくてもよかったのかな?」と感じてしまう。
「お客様が丁寧な接客を喜ばれていたよ」というおかえし言葉を、早いタイミングで伝えるのと、3ヶ月後の面談のときに伝えるのとでは「次もまた頑張ろう」という気持ちに差がでてしまう。
▶︎「望ましい行動」を起こすポイント
「相手が具体的にする行動が理解でき、やってみようと思う」きっかけ言葉でお願いをして、行動を起こしてくれたら「できるだけ早いタイミングで、感謝と成果を受け止める」おかえし言葉を伝えることが、最重要ポイントになります。
▶︎ 望ましい「結果」でなかった場合は…?
まず、「行動に対する」感謝のおかえし言葉を伝え、「望ましい結果ではなかった」事実を受け止めて、次につながる行動を促すことが大切です。
「行動」して「よかった」と感じることで、「行動が促される」ため、まず叱責など「やらなければよかった」と感じる言葉がけはしないように意識してください。
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◾️気をつけたい「なにげなく使っている NGきっかけ言葉と NGおかえし言葉」
▶︎NG きっかけ言葉:相手が行動を取りにくくなる言葉
例えば…
* NG きっかけ言葉:今日も忙しい!いってきます!
→相談したいけど、今は無理そう…
* NG きっかけ言葉:じゃあ任せたから。頼んだよ!
→「相談しにくい」・「こんなこともできない・分からない人」と思われるかも…
* NG きっかけ言葉:まだ終わってないの?
→「こんなこともできない人」と思われるかも…
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▶︎NG おかえし言葉:相手が行動に対して、罰や不安を感じる言葉
* NG おかえし言葉:それくらい自分で考えろ!
→困った時は、相談するように言ったのは、あなたでしょ…
* NG おかえし言葉:ごめん…あとにして!
→いつでも相談して!って言ったのは、あなたでしょ…
* NG おかえし言葉:そんなのムリでしょ…
→なんでも相談してって言ったのは、あなたでしょ…
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相手を「萎縮・謝罪させる」 ・「言い訳を喋らせる」ような 言葉がけは、状況把握・問題解決や学習・成長には 寄与しないことが多いといわれています。
◾️「アイ・メッセージ」で対話が始まる
相手(You)にかける言葉は、「アイ・メッセージ」と「ユー・メッセージ」の大きく 2種類に分類できます。
▶︎アイ・メッセージ
アイ・メッセージは、客観的真実や絶対的正解の提示ではなく、「自分から見ると、こう思う」という意味になる言葉です。
相手と意見が異なる場合も「あなたは間違っている」という否定的なニュアンスで伝わることが少なく、「あなたはこう考え、私はこう考える」という、視点の違いから対話をスタートさせやすくなる。
▶︎ユー・メッセージ
ユー・メッセージは、「あなたは、こうだよね」というように、判断や評価を伝える言葉です。
一般論や「真実」の観点から判断や批判する意味をもち、言われたメンバーから(たとえ口には出せなくても)は、「そんなことないです」「いえ、私は…」と否定や反発されやすくなってしまう。
◾️さいごに
心理的安全性を高めるためには、一人ひとりが発する「声かけ」と、それに対する「行動」への承認が欠かせません。
誰かが勇気を出して行動を起こしたとき、その行動が認められ、感謝されることで、次の挑戦が生まれやすくなります。
逆に、その行動が無視されたり、否定されたりすると、次の行動への意欲が損なわれてしまうかもしれません。
しかし、日常の多くの場面では、「きっかけ言葉」は多いけれど、「おかえし言葉」が少ない(忘れてしまっている)アンバランスな声かけや、「NG きっかけ言葉」と「NG おかえし言葉」を耳にする機会は多いのではないでしょうか?
また、日頃の意見交換やフィードバックの時に「ユー・メッセージ」を使ってしまい、「自由に意見を述べる」機会を奪ってしまっていないでしょうか?
「声かけ」と「行動」への承認が積み重なっていくことで、私たちの職場はより安心して働ける場所へとアップデートされていきます。みんなで共創し、安心の風土を育んでいきましょう。
次回は、「言いたいこと分かるよな!は、分かるわけない!!」と題して、ローコンテクストについて考察したいと思います。
◾️参考
株式会社 ZENTech 心理的安全性マネジメント講座 第25期講座
原田将嗣 著.石井遼介 監修.(2022).最高のチームはみんな使っている.心理的安全性をつくる言葉55.飛鳥新社.