ボタンズものがたり - そらからものがふるばしょ
そらから ものが ふる ばしょ
とあるボタンズの語り口
街の者たちから探し屋を見つけ出すのは簡単だ。身軽な、または手ぶらな者たちに混じって、空を仰ぎながら、探検道具でぱんぱんになった大きなカバンで一歩一歩しっかりと地を踏みしめて歩く者を見つければ良い。
彼らは皆、空から物が降る場所へ向かう前には入念な準備をする。ときおりその例に沿わない者も出てくるが、しばらくもせず見かけなくなるだろう。探検の最中、不運に見舞われボタンを失うことになるのだから。
あるいは運が良ければ、体のあちこちが千切れていたり破けて穴の空いてしまった姿で、けれどもボタンを失わずに戻ってくることはある。そうなればしめたもの。体は継ぎ接いで直せば良い。次の探検へと赴くときにはもう立派な探し屋の一員だ。
……そういえば、探し屋にはめずらしく体に一切の継ぎ接ぎがない者が街にいたな。長く見かけているが、小心が過ぎて格好ばかりの引きこもりというわけではないらしい。私も道具探しを依頼するならば、彼の者に頼みたいものだ。
文:かめ 絵:かめ
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