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ボタンズものがたり 『われたボタン』

ボタンズは いつも マイペース。
しんでも いきても あいも かわらず。

○○

ここは ふかい もりの なか。
ちいさな いけの ほとり。
おおきな きりかぶ から のびた えだに
てづくりの ブランコが ついています。

セサミと スティッキー。
ふたりの あそびば です。

○○

ごま みたいな あたま
あおくて ちいさな セサミ。

たれた うさみみ みたいな うで
むらさきいろの スティッキー。

さかなつりを する セサミは
すこし たいくつ しています。

スティッキーは ぼぅっとしてて
なんだか よく わかりません。

○○

とつぜんの ことです。
ぶちっ! と、いとの ちぎれる おとが しました。

セサミが ふりかえると
しらない ボタンズと めが あいます。

うすっぺらな からだに みどりの ドレス。
フラットニー です。

○○

フラットニーは にげだしました。
そのてには スティッキーの ボタン。

スティッキーは むねの ボタンを
とられて いました。

ボタンズは ボタンが ないと
いきて いけません。

だから いま スティッキーは
しんで いました。

○○

ボタンを とりかえして
スティッキーを いきかえらせないと。

セサミは つりざおを もって
はしり だします。

むかし たんけんごっこで みつけた ちかみちを とおり、
ちいさな セサミは フラットニーを なんとか おいかけます。

そして もりを ぬけました。

○○

ここは そらから モノが ふる ばしょ。
おもいうかべた どんなモノでも みつかります。

モノの おやまを するする ぬけると、
フラットニーが みえてきました。

ボタンを つかって なにかをしようと しています。
このままでは まにあいません。

○○

セサミは つりざおを しゅっと ふります。
つりばりが びゅんと いっちょくせん。

とられた ボタンに ひっかかり、
ボタンは ふわりと うかび あがって、
そうして セサミの ての なかへ。

セサミは ほっとします。
ボタンは ぴかぴかの ままでした。

○○

どうして ボタンを とったのでしょう?
こたえは すぐに わかります。

フラットニーの そばには
しらない ボタンズが たおれて います。

おおきな みみに わらびーみたいな からだ。
おれんじいろの パフィー・パフ です。

パフの ボタンは こなごな でした。
しんでしまって いるようです。

○○

セサミは かんがえます。
スティッキーは だいじな ともだち。

また スティッキーと いっしょに あそびたい。
だから セサミは あそびばに かえろうと します。

でも どうしよう。
フラットニーの きもちが いたいほど わかります。

○○

ここは そらから モノが ふる ばしょ。
おもい うかべた どんなモノでも みつかります。

だけど、ひとつだけ。
ボタンは ほとんど みつかりません。

なんにちも。
なんしゅうかんも。
なんかげつも。
もしかしたら なんねんも。

それだけ さがして やっと みつかる ぐらいです。

フラットニーも さがしました。
でも やっぱり みつかりません。

○○

フラットニーは かんがえます。
パフは だいじな おともだち。

また パフと いっしょに あそびたい。
そんな おもいが あふれて あふれて……

フラットニーは スティッキーの ボタンを とって しまいました。

○○

だけど フラットニーは きづきます。

わたしが ボタンを とった あのこ。
あのこは いま しんでいます。

ともだちの パフと いっしょです。
すごく かなしくて こわい ところに いるのです。

そう おもったら もう ボタンを とろうと おもえませんでした。

どれだけ じかんが かかっても、
さがせば ぼたんは みつかります。

あきらめかけた フラットニー。
その せなかを セサミが ぽんと たたきます。

○○

ここは セサミたちの あそびばです。
みんなで ここに もどって きました。

カッターと のりと はりと いと。
セサミは いろんな どうぐを もっています。

なにを するのでしょう。
じつは フラットニーにも わかりません。

○○

セサミが カッターを もちます。
そして いきなり スティッキーの ボタンを きりました。

ぱきっと おとがして ボタンが われて しまいます。

フラットニーは おどろきました。
これでは だれも たすけられない!

でも……

○○

ボタンは すごく きれいに われています。
まるい ケーキを はんぶんの はんぶんに したみたいです。

パフの ボタンみたいに こなごなでは ありません。

フラットニーも やりたい ことが わかりました。
ふたりは めを あわせて うなずきます。

○○

フラットニーが じぶんの ボタンを はずして しにます。
セサミが そのボタンを きれいに わります。
われた ボタンを つけて フラットニーは いきかえります。

つぎに セサミが じぶんの ボタンを はずして しにます。
フラットニーが そのボタンを きれいに わります。
われた ボタンを つけて セサミは いきかえります。

みっつの われた ボタンと
みっつの はへんが できました。

 ○○

セサミは はへんを のりで くっつけます。
のりが かわくと われた ボタンが もうひとつ。

もとは みっつの きれいな ぼたんが、
よっつの われた ぼたんに なりました。

セサミの われた ボタン。
スティッキーの われた ボタン。
フラットニーの われた ボタン。
そして、パフィー・パフの われた ボタン。

○○

セサミは しんでいる ふたりに われた ボタンを ぬいつけます。
すると どうでしょう。

ふたりは むくりと おきあがり
わけも わからず きょろきょろ しました。

フラットニーは よろこび
パフを ぎゅっと だきしめます。

そして こころの そこから
セサミに ありがとうと
スティッキーに ごめんなさいを しました。

○○

ここは ふかい もりの なか。
ちいさな いけの ほとり。
おおきな きりかぶ から のびた えだに、
てづくりの ブランコが ついています。

おもちゃが たくさん ころがって
おしろ みたいに なっています。

セサミと スティッキー。
パフィー・パフと フラットニー。
いまは よにんの あそびば です。

たのしそうな よにんの むねに
われた ボタンが ひかって いました。

おわり

文:かめ、ギギ 絵:かめ

さいごに

この話をおもしろいと思っていただけた方、ぜひボタンズの紹介記事も楽しんでいただけたらと思います。


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