市販の育毛剤で効果がなかった時、見直すべき３つのポイント：女性におすすめ
記事執筆／監修：金子 章子/ Akiko Kaneko, MD, PhD: 日本形成外科学会専門医、医学博士、女性の薄毛・抜け毛対策の治療専門病院・ボナディアクリニック院長。臨床データに基づき作られた、女性の髪対策 Selfcareプログラム「ブロッコリーSprouts」開発
年代や国を超えて、実は「女性の薄毛や抜け毛」は、みんなの身近なテーマだったりします。
それ故、髪が気になっても、軽い気持ちでとりあえず、シャンプーの変更や、市販の育毛剤を試す方が多いようです。
でも、困ったことに、いくつか市販の育毛剤を試しても、「効果が、よくわからない😨」という状況に陥ることは、しばしばあります。
その場合、次に行うべきは、対策の見直しと次の対策選びですが、どこを見直せば、次に効果的な髪対策を見つけられるか、わかりづらい方も多いはず💦。
そこで今回は、私たち女性が、市販の育毛剤をいくつか試して（薄毛の改善）効果がよくわからなかった時、「次どうすればいいか？」見直すべきポイントを３つ順をおって解説したいと思います。
🚩見直し（１）：抜け毛のパターン
はじめに、抜け毛のパターンです。
もし、抜け毛のパターンを確認しないまま、育毛剤を使い始めてしまうと、「市販の育毛剤を使ってみたけど、効果がよくわからない」ということがあります。
あなたの抜け毛のパターンは、下記のいずれかにあてはますか？
▢ 突然、抜け毛が増えた
▢ 普段より抜け毛が多い日が、2～３か月以上続く
▢ 細く短い毛がよく抜ける
👆ひとつでもあてはまる場合、抜け毛が多くなってしまうきっかけ（トリガー）や、ヘアサイクルが短くなってしまう原因が続いている可能性があるため、市販の育毛剤だけを使い続けても、薄毛の改善効果を感じづらくなる可能性があります。
そもそも、市販の育毛剤は（積極的に治す／改善させる目的ではなく、主に予防を目的とした）医薬部外品カテゴリ（または化粧品カテゴリ）に属しています。
そのため、増え始めた抜け毛や、進行し始めた薄毛を改善させたい場合は、次の2つをふまえた上で、自分にあった対策を選ぶと、効果的に髪対策が進みます。
✅ 医薬品カテゴリーも含めたローション選び
✅ 抜け毛の増加や、薄毛を進ませる原因への対処
（➡参考：女性の髪対策（薄毛・抜け毛）バイブル😃セルフケアに必要な全てがわかる）
▶ 医薬品と医薬部外品の違い
・ 医薬品
配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われるクスリを指します。
・ 医薬部外品
効果そのものも誰にでも必ず認められるというものではなく、効果が期待できるという範囲。
効果・効能が認められた成分は配合されているが、それは積極的に治すものではなく、予防に重点を置かれたものといえます。
▶ 1日何本以上で、抜け毛が多い？
一般的に、1 日に 100 本程度までの髪が抜けるのは、正常範囲内とみなされています。ただし、抜け毛には、良い抜け毛と悪い抜け毛の２パターンあります。
・ 良い抜け毛は、毛穴から新しい髪が出てくるために、古い髪が押し出されて抜けています。
・ 悪い抜け毛は、古い髪が毛穴にとどまれず、新しい髪が準備される前に抜けてしまっています。
「抜け毛が多い」状態とは、1日の抜け毛の本数が、良い抜け毛に悪い抜け毛が追加されたことにより、100本以上になってしまった状態のことを指します。
🚩見直し（２）：育毛剤の種類
🟩 医薬部外品 vs 医薬品
「抜け毛は多くなく、髪を今の状態で保ちたい」という目的であれば、市販の育毛剤（医薬部外品）の目的（積極的に治す／改善させるのではなく、主に予防）と合致するので、試してみたい他の育毛剤があれば、お好みで変更してよいでしょう。
もし、増え始めた抜け毛や、進行し始めた薄毛の改善を目的とした場合、積極的に治す（＝改善させる）目的の「医薬品カテゴリー」のローションを選ぶとよいです。
🟩 女性の薄毛改善目的の医薬品：ミノキシジルローション
女性型脱毛症（Female pattern hair loss)を治療するために、日本の厚生労働省、米国食品医薬品局 (FDA) など、世界各国の審査機関に安全性と有効性が承認されているのは、ミノキシジル外用剤だけです。（注意:ミノキシジル内服薬は、承認されていません。）
日本人女性が１％ミノキシジルローションを６か月間使った臨床試験では、約３人に1人に見た目の改善効果がありました。
そのため、以下のような方におすすめです。
✅ 薄毛の改善効果が見込める、医薬品を使ってみたい
✅ 今まで、ミノキシジルローションを試したことがない
（注：頭皮に諸症状がある場合は、症状に応じた外用剤が第１選択になります。）
▶ いつまで使い続ければ、効果があるかどうかわかりますか？
効果がある方は、遅くとも６か月以内のどこかで、見た目の改善効果がみられます。ただし、はっきり改善効果を実感するまでは、時間がかかるものです。それまでの間、「良くなってきてるかしら・・。」と不安に感じる方もいることでしょう。
もし、早く改善効果のサインを知りたい方は、こちらの方法で早く髪の改善サインに、気付けますよ。
👉「だれにも気付かれない間に、髪のボリュームを戻したい！」と思ったら、外せない「たった１つ」の行動
🟢 国内で購入できる 女性用ミノキシジル１％ローション
ミノキシジル１％ローションは、薬局で薬剤師さんの説明を聞いた上で購入可能な第1類医薬品です。
・リアップリジェンヌ （先発品）100ml 通常価格 5,763円(税込)
・BOSLEY MX１ （後発品）62ml 通常価格 4,950円(税込)
🟢（ちなみに）海外では、女性が薬局で購入できる ミノキシジルローションが、もっと濃い
女性が薬局で購入できるミノキシジル外用剤のミノキシジル濃度は、日本とアメリカでは異なります。
・ 日本：ミノキシジル１％ ローション（リアップリジェンヌ）
・ アメリカ：
ミノキシジル2% ローション ( Women’s Rogaine® 2% solution)
ジェネリック（後発品）も販売されています。
ミノキシジル５％ 泡
( Women's Rogaine®® 5% Minoxidil Unscented Foam)
🙄 アメリカで、女性がミノキシジル５％外用剤を使えるなら、私もミノキシジル５％外用剤を使っていい？
ミノキシジル１または2%外用剤は、１日２回塗布なのに対して、ミノキシジル５%外用剤は、１日１回塗布で済むため、ミノキシジル５％外用剤の方が便利と感じるかもしれません。
薬局では、女性は５％ミノキシジル外用剤を購入できませんが、医療機関では（自費診療の）治療の一環として、５％ミノキシジル外用剤を用いる場合もあり、医師が定期的に状況を確認するという条件のもと、国内であっても希望する女性は、５％ミノキシジル外用剤を使用すできる環境になっています。
▶ もし、ミノキシジルローションが効かなかったら😱？
もし、ミノキシジルローションを2,3か月使い続けていても、効果のサインが感じられない場合は、ちょっと工夫してみましょう。
ミノキシジルローションだけを単独で使用するよりも、栄養補給や健康的な生活習慣（睡眠、運動、ストレス対策など）を組み合わせて実践すると、はやく、またより効果を感じられる方がいますよ。👇
💎ミノキシジル外用剤+栄養補給で対策できた女性たち
Cases①：ミノキシジル外用剤＋栄養（ビタミン・ミネラル）の組み合わせで、髪のボリュームを回復 30代女性
年齢：32才
対策：ビタミン+ミネラル（後で、ミノキシジル外用剤追加）
対策期間：2.5か月
Cases②：ミノキシジル外用剤＋栄養補給（アミノ酸・オメガ３）で、髪を1か月で回復させた40代女性
年齢：44才
対策：アミノ＋オメガ３（＋ミノキシジル外用剤）
対策期間：１か月
Cases③：ミノキシジル外用剤＋栄養補給（アミノ酸・オメガ３・ビタミン・ミネラル）で、髪を回復できた50代女性
▶ ミノキシジルローションは、ちょっと怖いんですけど？
いくら医学的に効果が認められているからといって、みんながミノキシジルローションを選びたいわけではないですよね。（副作用のリスク、中止後の影響、など心配な方もいます。）
また、ミノキシジルローションも、全員に効果のある薬剤ではありません。
ミノキシジルローション以外でも、効果的に対策を進めることはできます。
もし、抜け毛や髪のボリュームダウンの原因が、休止期脱毛( 👉「3−2普段より抜け毛が多い日が続く時、可能性の高い原因」)の要素が大きそうなら、ミノキシジルローションよりも、スカルプローションのようなローションの方が、効果的な場合もあります。
🟩 スカルプローション
日本国内では、化学療法（抗がん剤治療）やホルモン療法の髪の保護対策、治療後の頭皮を健やかに保つ目的でも、用いられています。
抗がん剤治療やホルモン療法後に限らず、栄養補給と組み合わせた日常の髪対策として、セルフケアに用いている女性もいます。
✅ ミノキシジルローションの副作用が心配
✅ ミノキシジルローションを使ったが、効果がなかった
✅ 改善したら、中止しやすい製品を使いたい
✅ 抜け毛がとても多い
また、ミノキシジルローション同様、スカルプローションだけを使って対策をするより、栄養補給や健康的な生活習慣（睡眠、運動、ストレス対策など）を組み合わせて実践すると、はやく、またより効果を感じられることが多いです。👇
💎 スカルプローション＋栄養補給で、対策できた女性たち
Cases①：ストレスフル＆疲れがひどかったけど、髪も体調も回復できた50代女性
年齢：50才
対策期間：４か月
対策：「待ったなしSOS」集中対策キット
（アシストミンASPARAGUS、スカルプローション
栄養:アミノ酸+オメガ３、ビタミン+ミネラルの組み合わせ）
Cases②：疲れがたまって、抜け毛・薄毛が目立ってきたけど、ミノキシジル外用剤なしで、３か月で解決できた４0代女性
Cases③：ミノキシジル外用剤を使わなくても、抜け毛＋薄毛を、2か月で回復できた50代女性
年齢：５８才
対策期間：６か月
対策：アシストミンASPARAGUS、スカルプローション
栄養:アミノ酸+オメガ３、ビタミン+ミネラルの組み合わせ）
🚩見直し（３）：髪の経過をみる
見直しの３つ目は「髪の経過をみる」です。
もしかして、使っていた育毛剤は悪くなかったけど、改善の変化を見逃してしまっていた・・という可能性もあります。
育毛剤を塗りたい「気になるパーツ」は、人それぞれです。（下図）
頭頂部やつむじだと、そもそも自分では見づらいし、前髪など見やすいパーツであっても、毎日見ていると、改善が起こり始めても、その時に気付けないことも、しばしばあります。
おまけ情報：
こちらの女性の方々が、その後どんな対策をして、どう改善したかは、
👉女性の髪対策（薄毛・抜け毛）バイブル で確認いただけます。
もし、髪の変化をあまり確認せずに、育毛剤を使っていた場合は、ここから、髪の変化をチェックしながら、使ってみましょう。（今からでも、全然遅くないですよ。）
自分でセルフチェックする方法と、便利なツールを使う方法、の２つを👉こちらの記事で案内してますので、ちょっとのぞいてみて下さい。
【参考】髪のボリュームの判定結果の見方
髪のボリュームの変化を、早期の女性型脱毛症の程度評価法として、医学論文にまとめ、英文医学誌に掲載された原理に基づいています。
🚩 まとめ
市販の育毛剤で効果がなかった時、見直すべきポイントは、以下の３つです。
✅ 市販の育毛剤は、積極的に治す／改善させる目的で製造された製品ではないので、抜け毛や薄毛など、症状を改善させたい時には、対策を切り替えましょう。
✅ 症状や目的に応じたローション選びとあわせて、抜け毛の増加や、薄毛を進ませる原因への対処が忘れずにできると、より効果的です。
✅ 髪のボリュームが良くなってきているか、経過をチェックしながら、対策を進めると、改善のサインに早く気付けます。
（👉無料の画像判定サービスは便利です。）
🚩 メッセージ
いかがでしたか？最後に、一言メッセージです。
もし、あなたが「私の髪は、何をしても良くならない。」と、なかば諦めた気持ちになっているなら、ちょっと見方を変えてみましょう。
体の調子が変わるように、髪の調子もその時々で変わります。
変えられない部分（遺伝など）ではなく、変えられる部分（栄養、体調、ライフスタイル）に集中すると、未来の髪が変わっていきます。
あきらめる必要は、ないですからね。
記事執筆／監修：金子 章子/ Akiko Kaneko, MD, PhD: 日本形成外科学会専門医、医学博士、女性の薄毛・抜け毛対策の治療専門病院・ボナディアクリニック院長👉 臨床データに基づき作られた、女性の髪対策 Selfcareプログラム「ブロッコリーSprouts」開発
ミノキシジルローション情報
【ミノキシジル外用剤の経過・予後】
・ ミノキシジル外用剤は、使い始めてから１か月後あたりに、一時的に抜け毛が増える方がいます。（全員ではありません。）ミノキシジル外用剤の使用に伴う一時的な抜け毛の 増加は、ほとんどの場合数か月以内には落ち着きます。（抜け毛が続く場合は、他の原因をチェックすることをおすすめします。）
・ 効果がでているかどうかを判断するには、少なくとも6か月継続して使いましょう。
・ ミノキシジル外用剤だけを使用するよりも、栄養補給や健康的な生活習慣（睡眠、運動、ストレス対策など）を組み合わせて実践すると、はやく効果を感じられる方がいます。
・ ミノキシジル外用剤の効果がみられる場合、使用を継続することで効果がある程度維持されます。（ミノキシジル外用剤の効果がある方が、継続している間でも、途中で抜け毛が増加することもあります。ミノキシジル外用剤で効果が感じられていたのに、途中で抜け毛が増えたり、髪のボリュームダウンしてきた場合は、休止期脱毛など他の原因もチェックすることをおすすめします。）
・ やめるとまた抜け毛が始まります。
【ミノキシジル外用剤の副作用と懸念事項】
１）頭皮の炎症（かゆみ、発赤）
接触皮膚炎と呼ばれるこの炎症は、ミノキシジル自体ではなく、乾燥を促進するために含まれているプロピレングリコールなどの成分によって引き起こされます。これらの成分が肌に合わない方に起こり、ミノキシジル外用剤の濃度が高いほど、発症しやすくなります。
2) 多毛:
頭皮に近い部位(頬や額など) の毛が伸びやすくことがあります。
３) 妊娠中、妊娠を計画している場合、または授乳中の方は、この製品を使用してはいけません。
参考文献 References
・Ryoji Tsuboi , Takao Tanaka, Tooru Nishikawa, Rie Ueki, Hidekazu Yamada, Kensei Katsuoka, Hideoki Ogawa, Katsuyuki Takeda A randomized, placebo-controlled trial of 1% topical minoxidil solution in the treatment of androgenetic alopecia in Japanese women Eur J Dermatol. 2007; 17(1):37-44.
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2022年9月3日
レビューバージョン情報
最終レビュー日: 2022 年 9月 3 日
2022 年 9 月 3日にボナディア クリニックの医師2名によって最終レビューされました。
ページの最終レビュー日: 2022 年 9 月 3日
次回のレビュー期限: 2025 年 9 月 3 日