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【定着率改善】従業員満足度を底上げする4つのポイント【前編】

こんにちは!

前回は従業員の不満を回避するため、最低限整えるべき衛生要因についてお話しいたしました。

今回はフレデリック・ハーズバーグが提唱するニ要因理論のもう1つの柱である『動機付け要因』についてお話ししたいと思います。

前回の記事と合わせて、従業員の定着率を上げるための参考にしていただければ幸いです!

『衛生要因』『動機付け要因』の整備を行い、自社にマッチした人材を取りこぼさない組織を作っていきましょう!

1. 動機付け要因とは

まず『動機付け要因』とは何なのか、お話ししておこうと思います。

動機付け要因とは、仕事の働きがい・意欲などに繋がるものです。
解釈は様々ですが、ここでは以下の4つの項目に分けてご紹介したいと思います。

・仕事の達成感
・承認と評価
・仕事への責任感
・自己成長

従業員の方々にとってこれらの要素がどれだけ満たされる環境・制度を作れているか、ぜひ自社のことを思い浮かべながら読み進めていただければ幸いです。

2. 仕事の達成感

小さな成功体験の積み重ねが自己肯定感に繋がる

達成感はその人にとって成功体験となり、その積み重ねは自己肯定感を上げる1つの大きな要因となります。

自己肯定感が高い人は仕事に対して以下のような特徴を持つ傾向があります。

・主体性がある
・行動や思考が前向き
・失敗を恐れない

また、他者に対しても良い面に目を向けることができ、相手の思想や意見を素直に受け入れ尊重することができます。
これらの特徴が仕事やチームに対して良い影響を与えることは言うまでもないかと思います。

また、人間は達成感を感じる時に脳内でドーパミンが分泌されます。
ドーパミンは「快感ホルモン」とも言われるように、嬉しさや幸福感、楽しさを感じさせる効果があります。
さらに情報処理能力と集中力を高める効果もあるとされるため、仕事に対する成果にもより一層期待ができます。

反対にドーパミンが不足すると、モチベーションや記憶力の低下に繋がると言われているため、チーム内で意識的にドーパミンの分泌を促進するような仕組みがあると良いでしょう。

目標設定と達成感

従業員に達成感を感じさせるためのポイントの1つが、目標設定です。

「目標は高ければ高いほどいい」と言われることもありますが、高すぎる目標は逆効果です。
達成に対する現実味・臨場感が無い目標は、達成しようというモチベーションに繋がりません。
また、達成できなかった時に萎縮や自信の喪失に繋がります。

以上のことから目標設定はかなり慎重に行わなければならないポイントになります。

まず目標に関しては「現状のレベルの少し上」ぐらいに設定できるとベストです。
現状の枠から飛び越えすぎていると上記のような懸念がありますし、逆に現状のレベルで対応可能な目標ばかりでは従業員や企業のレベルアップが見込めません。

ただあくまで「達成感」にフォーカスするのであれば、現状のレベルに合わせて目標を設定することも視野に入れる場合もあります。

また、規模によっては会社の通年目標の他に、部署やチームごとの目標を設定している企業様も多いかと思いますが、もしトップダウンの目標で現場やリーダーの判断で目標の難易度を下げられない場合、目標から逆算したマイルストーンを設定すると良いでしょう。

目標設定についてもかなり奥が深い内容になるため、また次回以降の記事で詳しくお話しできればと思います。

まずは自社の現状と理想を明確にし、最適な目標を設定していきましょう。

個人単位ではなくチーム単位で

個人の成績や成果にフォーカスすると、従業員同士の関係の悪化や衝突・足の引っ張り合いなどに発展する懸念があります。
個人目標も重要になる場面は多々ありますが、まずは大前提としてチームのメンバー全員が同じ目標に向かって貢献し合う状態が理想となります。

組織開発の研究者エドガー・シャインは『組織』をこう定義しています。

ある共通の明確な目的、ないし目標を達成するために、分業や職能の分化を通じて、また権限と責任の階層を通じて、多くの人々の活動を合理的に協働させること

Schein, E. H. (2010). Organizational Culture and Leadership. Jossey-Bass.

ポイントは『共通の目的と目標』、そして『協働すること』です。
共通の目的も目標も持たず、1人1人がバラバラに何かをしている状態は『組織』ではなくただの『集団』です。

チーム全員で目標達成を目指し、達成感を全員が味わえる機会をつくりましょう。

小さな達成も褒め合う

どんなに小さなことでも、メンバー間で褒め合えたり、感謝し合えるような仕組みを作ることも重要です。

例えば最近だと「サンクスカード」というものを導入している企業があります。
(ちなみに自分が先日参加したセミナーでも、グループワークを行った際に実際に体験させていただきました)

サンクスカードとは、社員間で感謝の気持ちや賞賛の言葉を、パソコンやスマホ上で気軽に交換し合えるツールです。
ですが、わざわざ上記のようなシステムを導入しなくても、付箋のようなものをサンクスカード代わりに使い、毎日もしくは定期的にチーム内でやり取りをする時間を作るだけでも、十分な達成感を味わうことができるはずです。

前向きなコミュニケーションが増えると、職場内の心理的安全性も向上し、人間関係にも良い影響を与えることができます。

ぜひ従業員の達成感、自己肯定感を上げる取り組みを実践してみてください!

3. 承認と評価

高まる自己承認欲求

次に承認と評価についてです。

メンバー1人1人が同僚や上司、組織から正当に評価され、「認められている」と感じているかという部分になります。
ここについても様々な観点からお話しいたします。

現代を生きる人々はこれまでの時代に比べ、自己承認欲求が強めだと言われています。

その理由の1つがインターネットやSNSの普及です。

SNSでは自身の状況を不特定多数の人にいつでも伝えられます。
その結果、自身のことを認めてほしいと思う機会が格段に増えていると言われています。

また、インターネットやSNS、テレビなど様々な媒体により、他人の人生が目に入る機会も増えました。
自分と他人を比較する材料が大量に手に入り、自身も誰かに認められたいという欲求に拍車をかけているものと思われます。
インターネットは便利な反面、このように目には見えづらい弊害も引き起こしています。

また、共働き世帯の増加も、自己承認欲求を高めた要因だと言われています。

共働き世帯では、子供が両親と過ごす時間が減り、褒めてもらう機会も少なくなります。
そのため、共働き世帯で育った子供は大人になるにつれ、人に褒められたい、認めてほしいという気持ちが強くなると言われています。

自己承認欲求が強い現代人が働く職場でその欲求を満たすことができれば、従業員満足度の向上にも繋がるでしょう。

自己承認欲求が満たされていない人間がもたらす悪影響

承認欲求が強く、満たされない人間は職場や周りの人間に対して悪影響を及ぼします。

まず、承認欲求が強い人は周りの人を見下す特徴を持ちます。
自分より優れた人間を見つけると足を引っ張るような発言をしたり、他人のミスを過度に責め立てたりします。

見下された人間は、共同作業などに対して消極的になりますし、信頼関係は崩壊します。
結果、チームの士気やパフォーマンスの低下に繋がったり、職場に悪い雰囲気が蔓延します。

また、承認欲求が強い人間は過度な自己アピールを行ったり、自分が引き起こした問題やミスに対しても正当性をアピールしたり周囲の同情を得ようと「仕方がなかった」というような主張を繰り返します。

上記のように主に人間関係の面で、職場全体のパフォーマンスにじわじわと影響を及ぼすことが考えられます。

では自己承認欲求が高い現代人に対して、どのようなアプローチを行うと良いのか、何点かポイントをお話しいたします。

成果を褒める

自己承認欲求が強い人間は褒められた経験が乏しい傾向にあります。

自分の仕事の成果を褒められるという経験は、その人自身の承認欲求を高める効果があるのは言うまでもないかと思いますが、ここではいくつか褒め方のポイントをお伝えします。

まず、当然ですが嘘や大袈裟な褒め方はしないということです。
嘘で褒めることはそうそう無いかと思いますが、あまり大袈裟に褒めるのもわざとらしさを感じさせてしまうため、自然にあっさりと褒められると良いでしょう。

また、褒める時にはできる限り具体的に成果を褒めていきましょう。
抽象的な「最近よく頑張っているね」などの文言より「先月より○○円成果が上がったね」と言われた方が、褒め言葉に説得力があるだけでなく、自分のことをよく見てくれているという心理的安全性にも繋がります。

そして、どこで褒めるかという点にもコツがあります。

まずは他の社員がいる前で褒めるということです。
承認欲求の高い社員は、上司1人にだけでなく、もっと多くの人に自身の成果を知ってもらいたい、認めてもらいたいと思っています。
他の社員の前で褒めることで、大勢に自分の成果を知ってもらえたという経験をさせると良いでしょう。

また、本人がいないところで褒めるというのもポイントになります。
直接褒められるより、第三者から「褒められていたよ」と聞いた方が嬉しいと感じる場合もあるからです。
「自分のいない場所でも自分を褒めてくれている」というのは、説得力も増しますので、褒める効果が倍増すると言っても過言ではないでしょう。

以上のようなポイントに気を付けながら、褒める=社員をリスペクトするという姿勢を見せていきましょう。

過程を褒める

先ほどは成果・結果を褒めましたが、そこに行き着くまでの過程を褒めることも欠かせません。

中には過程は頑張っていたのに成果に繋がらない社員もいることでしょう。
自身の行動はコントロールできますが、それによって得られる結果は誰にもコントロールできません。

過程の褒め方にもポイントがありますのでお伝えします。

まずは何よりも、社員の過程を理解しなければいけません。
ここでつまずくリーダー・経営者は多いのではないでしょうか?

結果は一時パッと見れば分かるのに対し、過程は常日頃から気を付けて見ていなければ理解することは難しいでしょう。
社員1人1人の成果だけでなく、そこに行き着くまでの過程にもできる限り目を向けていきましょう。

また、失敗したことも褒めていくと良いでしょう。
人の行動には必ず失敗が付き物ですが、失敗を責めてしまう文化だと、次第に人は自身の対応できる範囲の安全な行動しか取らなくなります。
チャレンジをしなくなるのです。

発明家トーマス・エジソンの残した言葉にこんなものがあります。

『私は失敗したことはない。 うまくいかないやり方を一万通り見つけただけだ。』
『成功の反対は失敗ではなく、挑戦しないことである』

失敗を責め続け、挑戦しない社員が増えた会社に成長や未来はあり得ません。
現状維持を続け緩やかに衰退していくでしょう。

もちろん、不誠実な対応をした社員を叱らなければならないことはあると思いますが、真面目に取り組む過程で起きた失敗を責めてしまうことがないよう、その過程・失敗をどう解釈すれば褒められるかを意識しましょう。

評価制度を正しく運用する

中小企業の中には評価制度を導入していない企業もあるかと思いますが、自社の求める社員の成長に則した評価制度を構築し、正しい方法で運用することで社員の承認欲求を満たすこともできます。

評価制度は正しく運用することで社員と会社を大きく成長させてもくれます。

自社の評価制度は正しく運用できていますか?
評価を社員全員に共有し、納得感を得られていますか?

評価制度を導入したはいいが、それが会社にどんな良い効果をもたらしているかは分からない。
ただ社員の給与や賞与を決めるためだけの制度と化している。

そんな企業様は多いのではないでしょうか。

評価制度の内容や運用の仕方を見直すだけで、驚くほど組織が変わった事例もあります。
評価制度については詳しく話すと膨大な内容になってしまうため、また次回以降の記事で詳しくお話していこうと思います。

後編へ続く

いかがでしたでしょうか?

動機付け要因に関しては従業員定着率を上げるのにかなり重要な部分になり、かなり端折ってますがボリュームが多くなるため、前後編に分けてお届けいたします。

次回は『責任感』と『自己成長』についてお話しいたします。
少しでも、経営者の皆様と社員の皆様が、活き活きと働ける職場づくりをするための参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回お会いしましょう!

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