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【TEALABO Channel_03】「一番大切にすべきはお茶農家さん」 一貫する想いと行動の先に見ているもの -JA南さつま 吉峯幸徳さん-

 鹿児島のブランド茶である「知覧茶」の作り手を直接訪ねて、その秘めたる想いを若者に届けるプロジェクト「Tealabo Channel」。

 日本茶は全国各地に産地があり、各産地で気候や品種、育て方が違います。そんな違いがあるから「知覧茶」が存在します。一年を通して温暖な気候がもたらす深い緑色と甘みが特徴である知覧茶の作り手の話を皆さんにおすそ分けします。

今回は、JA南さつまの吉峯幸徳さんにお話をお伺いしました。

その前に、JAという組織について少しだけ説明させてください。

 JA(=農業協同組合)とは、相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に組織された協同組合です。
この目的のために、JAは営農や生活の指導をするほか、生産資材・生活資材の共同購入や農畜産物の共同販売、貯金の受け入れ、農業生産資金や生活資金の貸し付け、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置、あるいは万一の場合に備える共済等の事業や活動を行っています。(JAホームページより)

 つまり、農家さんのお仕事と暮らしを守るために、様々な面から農家さんをサポートする全国的な組織ということになります。

お茶のことは知らないけど、農家さんのことは誰よりも知っている

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 大阪生まれ大阪育ちの吉峯さんは、大学卒業後、お婆さまが暮らしていた鹿児島県加世田にあったJA南さつまに新卒で入社しました。なんと家業は裁縫工場。農業とは全く関係ない青春時代を過ごされていたそう。「就活とかしたくなかったから、たまたま受かって、すぐに就職を決めたんだよね。笑」と話してくれました。

 JA南さつまに入社してからは、保険の窓口に外回りの営業、金融関連など、実にさまざまなお仕事を経験。その後、農業が盛んなエリアの出張所に移り、計6年間の在籍のうち、3年間は所長としても働いていました。

 「お茶のことは分からないけど、話はたくさん聞く。今まで、いろんな部署で、いろんな角度から農家さんと関わってきたことが強みかもしれないですね。」

 お茶を扱う部署の課長になって2年目の吉峯さんからふと出てきた言葉は、JAでの経験がぎゅっと濃縮されたような一言。

 保険や貯金を扱う部署にいたときは、主に農家さんの奥さんを相手に。出張所に移動してから、肥料や農薬を扱っていたこともあり、主に農家さんの旦那さんを相手にしてきたからこそ分かる、農業の奥深さを誰よりも知っているのです。

私たちにとって、一番大切にしなきゃいけないのは、お茶農家さん

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 「普通の企業や自治体は4月1日に人事異動があるけど、お茶産業にとって4月は一番忙しい時期。上司と相談して、人事異動は4月を外すようにお願いしています。笑」と冗談交じりに話す吉峯さんに、仕事でのこだわりをお聞きしました。

 すると、吉峯さんの口から迷いなく「お茶農家さんを何よりも大切にすること」という答えが返ってきました。

 冒頭でもご説明した通り、JAは農家さんのためにある組織。農家さんがいないとJAは成り立ちません。仕事への優先順位をつけるときの判断基準は、「お茶農家さんにとって良いかどうか」の一択だそう。課長になってからは従業員の方に何度も何度も伝えている、吉峯さんのこだわりです。

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 農業とは縁もゆかりもなかった吉峯さんが「お茶農家さんが一番大切」と思うようになった背景には、「顔の見える関係性」がありました。

 出張所時代、20時ごろに事務所で仕事をしていると、明かりを見かけた農家さんから、事務所に電話が来たそう。「こんな遅くまで仕事しているなら何か差し入れを持っていったら良かったね」と。

 「そんなことが何回もあるわけ。するとさ、その人のために何かしたいって思うようになるんだよね。最初は見ず知らずの関係性が、少しずつ繋がりが濃くなっていって。仕事なんだけど、仕事を超えて何かしたいと思うようになってくる。」

 時には、夜に電話がかかってきて、一緒にお酒を飲むこともあるそうです。お酒を飲みながらじゃないと話せないこともあるそう。仕事の枠を超えて、お茶農家さんとの繋がりに向き合い続けます。

 「できることなら、1日に1回は外に出て、農家さんと話をしたいよね」と、笑顔で話す吉峯さん。お茶農家さんのところへ伺って、一緒にお茶を飲みながら、(世間話をしたり、)仕事の話をするそうです。ずっと事務所にいるのではなく、お茶農家さんのもとへ足を運ぶのも、お茶農家さんを一番に思っているからこそ。

「知覧茶ってなんだろう?」未来を見据えた問いとの出会い

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 JA南さつまとして、しっかりとお茶を売っていくために、通販サイトの全面的な見直しをする中で、吉峯さんたちは、ひとつの問いと出会いました。

「知覧茶って、なんだろう?」

 今、この記事を読んでいる皆さんはどう考えるでしょうか。知覧茶を知覧茶たらしめているものは、果たしてなんでしょうか。色なのか、匂いなのか、飲んでいる時間なのか、はたまたお茶を淹れている時間なのか。

 鹿児島県は、お茶の生産量が日本一です。南九州市は、県内でも生産量は一番。様々な品種が作れることも魅力の一つ。お茶畑という雄大な景色づくりにも繋がっていますが。「どのお茶を飲むか」と豊かな選択を提案できることは鹿児島ならではでしょう。

「物語を作っていかないといけない。それはJAだからこそ、挑戦すべきこと。」

打って変わって、真剣な表情で話す吉峯さん。奥底にある想いは、やはりお茶づくりをしている農家さんたちへの愛情でした。

JAを通して知覧茶が販売していけば、農家さんの売り上げが上がっていきます。JA南さつまとして、お茶をたくさん売って、仕入れの量を増やして、農家さんたちの売り上げや生活に貢献していきたいという、一貫した想いを受け取りました。

自分たちのお茶が一番美味しい

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取材が始まる前と最後に、お茶の飲みながら吉峯さんはこう話します。

「自分たちのお茶が一番美味しいよね。そうじゃないとお客様に売ることなんてできない。」

JA南さつまはお茶っ葉をお茶農家さんから買って、工場で加工し、販売しています。吉峯さんはお茶を飲む文化を、私たちの日常にいつまでも残してくれようとしています。繰り返しになりますが、そこにはお茶農家さんが何よりも大切だという想いがあります。そしてその想いは、吉峯さんのキャリアそのものを表現しています。

JA南さつまという、農家さんをあらゆる角度から支援する組織で、吉峯さんの挑戦は止まりません。

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【プロフィール】
吉峯 幸徳(よしみね ゆきのり) 
JA南さつま 知覧茶業センター 茶業部 茶業第一課長
1974年大阪府生まれ。龍谷大学経済学部卒業後、新卒でJA南さつまに入社。共済課や金融の部署を経験し、松山出張所で所長を務めた後に、茶業第一課の課長へ就任。

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