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【TEALABO Channel_04】「信用を創るということ」唯一無二の存在としての覚悟-知覧心茶堂 東垂水良世さん-

 鹿児島のブランド茶である「知覧茶」の作り手を直接訪ねて、その秘めたる想いを若者に届けるプロジェクト「Tealabo Channel」。

 日本茶は全国各地に産地があり、各産地で気候や品種、育て方が違います。そんな違いがあるから「知覧茶」が存在します。一年を通して温暖な気候がもたらす深い緑色と甘みが特徴である知覧茶の作り手の話を皆さんにおすそ分けします。

 第4回目は、知覧心茶堂の東垂水良世さんにお話をお伺いしました。


なんとなく始まった紅茶づくり

 祖父が始めた茶作りを継いで3代目の東垂水さんは「お茶も人も知覧育ち」というキャッチコピーを掲げているほど、製茶工場も丸ごと知覧町にあり、正真正銘100%の知覧茶を生産・販売しています。

でもよくよく聞くと、「実は生まれだけは大阪なんだよね」と笑う東垂水さん。まさかの事態に取材陣も身を乗り出して驚きました(笑)

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鹿児島から大阪に出てきていた両親の影響で生まれだけは実は大阪。生まれてすぐ、祖父が始めたお茶作りの人手が足りず家族で鹿児島に戻ってくることになります。

 大学卒業後は紙を扱う会社に就職。当時は自ら会社に出向き「ここで働きたいのですが、どうすれば入社できますか?」と直談判しに行くほどバイタリティに満ち溢れていた東垂水さん。異端児と呼ばれる所以はここから既に始まっていたのかもしれません(笑)

 就職して数年後、家庭の事情でお茶作りに携わることになり、知覧に戻ってきます。帰ってきた当時はお茶のバブル期。収入も良く半年仕事で1年間の生活ができるほど潤っていた時期だったそうです。

 ちょうど煎茶づくりが絶好調だった時期、なんとなく作ってみた紅茶に魅了され2014年に本格的に紅茶づくりがスタートします。

緑茶ではなく機能を備えた紅茶で勝負する

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 知覧茶というと多くの人がイメージするのは緑茶ですが、東垂水さんが取り組んでいるのは「紅茶作り」。中でもGABA茶に特化したお茶の栽培・製造加工・販売を行っています。

 そこには、相場で左右される茶価格の現状と、かかる経費やお茶農家の情熱とは比例しない現実を年々実感するようになり、緑茶の嗜好茶競争をやめ、機能茶での販売を考えるようになったという背景があります。

 ここでGABA茶について少しだけ説明します!

GABAとはGABA=ガンマーアミノ酪酸と呼ばれる天然のアミノ酸のことで、興奮を鎮めたりリラックスをもたらす効果があります。生茶葉を加工する最初の段階で特殊な処理を行うことで、茶葉に含まれるGABAの含有量を増やして作られるお茶がGABA茶ということになります。
(知覧心茶堂HPより)

 良くお店で見かけるGABAと書かれたチョコレートをイメージするとわかりやすいかもしれません!

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 多くの茶農家が取り組む緑茶づくりではなく、唯一無二の紅茶づくり(=GABA茶づくり)に取り組む東垂水さんに早速案内して頂いたのは、自宅に隣接する紅茶専用工場。  

 一つのフロアに全ての工程が集約されている一般的な煎茶工場とは違い、ここにはなんと2階があります。綺麗に敷き詰められた木のフロアには湿気を吸う効果があるそうで、工場内は少しおしゃれな雰囲気。茶葉を乾燥する工程は全て2階で行い、稼働する時期には工場が紅茶のフルーティーな香りでいっぱいになるそうです!

ネットだけではできない深い信頼関係をつくっていく

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美味しいのは当たり前。お客様との信頼関係を築くのが難しい。

 実家に戻ってきてから、製造をしては全国を渡り歩き百貨店やデパートなどで営業をしていたという東垂水さん。出向く各地域で数え切れないほどのお客さんと直接接する中で、お客様との信頼関係を築く難しさと重要性を感じていました。

 「売れればいい」「安ければいい」という消費の現場を目の当たりにし、生産者から消費者に届くまでの過程を見つめ直すようになったことも「良品質である事」と「良心的である事」が当たり前である事という知覧心茶堂のこだわりにつながっているのかもしれません。

地域によってお客さんの反応も違ったり、売れる時間帯や客層も様々ですが、「東京で買ってくれたお客様が鹿児島に来た際にわざわざ買ってくれる」そんな信頼関係こそが東垂水さんの目指す信頼関係の形のような気がします。

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 現在は、機能茶であるGABA茶の生産に特化し、紅茶や烏龍茶など数種類の商品を販売。当初、GABA紅茶や烏龍茶を始めた時は全く売れず、路頭に迷った時期もあったそうです。

なんとなく始めた紅茶づくりにのめり込み、自分にとってお客様に信頼してもらえることこそ機能茶である「GABA茶作り」だと信念を曲げなかった。そして、全国各地の催事などに出店しお客様との信頼関係を積み上げて、ここまで辿り着いた。

 ネットでは築ききれない「信頼関係」を創るためのその決断と努力には、人知れず抱き続けてきた強い「覚悟」があったのだと感じました。

GABA茶作りの先にあるもの

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「知覧茶のリーフ茶というブランドは太い幹としてあるべき。そこから伸びる枝葉としての紅茶作りやウーロン茶・黒茶など色々なのがあっていいと思う。そこで枝葉の先から辿って幹にたどり着けばいい。沢山のお茶農家がいるからそういう形でお茶作りを極めて知覧茶がやっていければいいと思う。」

 取材中に特に印象的だったこの言葉。東垂水さんの見据える知覧茶の未来とGABA茶作りへの情熱が全て一つになったメッセージのようでした。

 「今年売れても来年売れるかは分からない。正直めっちゃ怖い」そんな不安を漏らしつつも、「毎日16時ごろになると夜食べる鳥刺しのことばっかり考えている。」実は鳥刺しを食べる用のデッキも庭に作ってしまったと笑いながら語る姿には、東垂水さんの人柄や強さも垣間見えます。

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 販路も広がり、大量生産できるノウハウやGABA茶作りの仕組みも少しずつ進んでいるとワクワクした表情で話す姿にこちらもこれからどんなことが始まるのかとてもワクワクする時間になりました!

 時代によってお茶の飲み方や消費のされ方が変わっていくように、知覧茶=緑茶という固定化されたイメージが、少しづつ多様化していく未来もそう遠くはないかもしれません。

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【プロフィール】
東垂水良世(ひがしたるみず よしつぐ)     
株式会社知覧心茶堂 代表取締役
昭和46年生まれの鹿児島・知覧町の三代目茶農家。大分の大学進学後、印刷会社へ就職。地元のお茶問屋に転職した後に就農。理想のお茶作りを実現すべく自ら会社を立ち上げる。現在は栽培から製品販売まで全てを手がけ、理想の紅茶生産を目指している他、ギャバ烏龍茶・GABA緑茶の製造販売も手がける。

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