弱小バスケ部時代を振り返り,上達の道を考える

 こんにちは.青春の全てを弱小バスケ部に捧げ,以降も悔しさからプライベートで練習を続けるおっさん,Yakkuと申します.
 上達した現在の視点から,過去の経験に基づいて本気で考えてみました.なお,この記事は初級~中上級にけるチーム全体のレベルアップについて独断と偏見で記載しています.

 中高の弱小バスケ部などで勝てないと悩んでいる方は特に,ご一読ください.


結局,個人技がすべて

 いきなりですが,本気です.一般に「一人で戦うな,チームで勝て」という考え方が囁かれています.しかし私の経験からは,チームでのパスワークを重点的に突き詰めても,競合チームのそれにすら叶わないと考えます.
 理由は二つ.個人技がなければ試合中に頭を働かせられない(パスワークを成立させられない)こと,もう一つは仮にパスワークが上手くできてもそれを得点に繋げられないことです.
 一つ目については経験がある方も多いと思います.練習で言われたことを冷静に考えながら試合で実践できましたか?ボールを取られないか不安で,見えた仲間に逃げるようにパスをしている,そんな時間なのではないでしょうか.少なくとも私が試合中冷静に考えられるようになったのは,相手にボールを奪われない(くらいのピボット,ドリブルスキル)自信がついた後です.そのためパスワークをできるようになるために個人技を鍛えましょう.
 二つ目は言葉の通り,パスワークで自分のディフェンスをはがしたとしても決められない状況を指します.他ディフェンスのカバーに気負されてしまったり,俺が攻めて決められるかな…(外したら申し訳ないな)という迷いが出るのではないでしょうか.そういうタイプはとてもディフェンスがしやすいですし,そいつのフェイクになんて絶対かかりません.どうせ嘘(攻めてこないん)ですから.
 つまるところ,一人で得点を決められない人が,どれだけ得点しやすい状況を得ても意味がないということです.そのためまずはディフェンス一人ならドリブル等でかわして得点できる自信を持つレベルになってください.そうなってから初めてパスワークの意味が出ます.
 個人技を鍛えろ,とお伝えしていますが個人技の水準はとても高く見積もってください.一般的にスコアラーと呼べるようなレベルです.たまにシュートが入る,というレベルでは通用しませんし,何より試合中は自分でも驚くほどシュート力が落ちます.
 なお補足ですが,メンバー全員にそれは求めません.私の体感では,上記を満たすプレイヤーが最低二人いれば競合チームとも渡り合えると考えています.もちろん,多いに越したことはありませんが.

1 on 1を極めろ

 前述のように,中上級レベルのバスケまでは個人技がすべてです.そのため1対1を徹底して鍛えてください.ドリブルで抜いてゴール下まで行くも良し,パワープレーでも良し,外から決めても良しです.とにかくディフェンスが一人の状況では得点を決められる自信をつけてください.
 おすすめの練習法は1 on 1 on 1です.三人集め,二人で1 on 1をし,負けた方が余りの一人と交代する,を永遠に繰り返してください.
 やがて1 on 1の力が付いたら大人数での練習試合をしてください.なお,その際は当然ガンガン一人で攻めてください.大事なのは,試合に負けたらそれは自分のせいだと思う覚悟を持って攻めることです.されど練習とも言いますがしょせん練習試合です.そんなもの自分の練習のために台無しにしてしまいましょう.

 やがて個人技力がついたら自然とパスコースが見えてきます.ドリブルして無理やりレイアップしたけど外したな,そういえばディフェンス二人くらいジャンプしてきたから誰か空いていたんじゃ?という思考が働けばその人に出すだけです.ノーマークでシュートを打ってくれます.
 私の偏見ですが,パスを出す前提で敵陣に突っ込むプレイヤーなんてプロの世界にもいません.攻めてみたらディフェンスがついてきたから周りの空いている仲間に出した.それだけです.本当なら自分で決める気だったでしょう.

 弱小チームは個人技がないため相手にディフェンスの余裕を与えます.マークをかわされてもどうせ攻めてこないからです.「こいつは放っておくとシュートを打ってくる」,そう相手に思ってもらえないとディフェンスはついてこないですし,フェイクにもかかりにくくなりますよね.これらの要因がパスワークの成立をさらに難しくし,結果負けるわけです.なのでぜひ,弱小チームであるほど,まずは1 on 1を極めましょう.

1 on 1における,フェイクのコツ(3選)

左サイドを多く攻めろ

 フェイクのコツではありませんが,ぜひおすすめしたい1 on 1におけるコツです.自分から見て左側を攻めると右側を攻めるよりも多少楽に抜けます.
 これはおそらく,右利きの人が多いことから,練習でほとんどの人が右攻めばかり練習しているからだと考えます.そのため左から攻めるだけでも得点率はあがります.
 なお,これは上級になるにつれて当然通用しなくなるので脳裏に置いておく程度で構いません.

フェイクは0回か,2回

 ドライブで勝負する上で,右に行くふりをして左に,なんてよくあるフェイクをして引っ掛からないなーなんてやっていませんか?当たり前です.お互いそんな動き,練習で死ぬほど見ているんですから.
 フェイクというのは相手が「こう来る」と思うことの裏を取るものです.そのため皆がやるようなフェイクは予想がつくことから,もはやフェイクとは呼べません.
 そのため私が勧めるのが0回,もしくは2回のフェイクです.前者はわかりやすいですよね.1回のフェイクが当たり前の状況なので,もはやフェイクなんかせずに突っ込んでしまおうというわけです.しかしこれは多少難易度があります.相手にも反射神経があるからです.そのため一歩の加速力とそれに足るドライブスキルが必要です.しかしこれがそろえば,ノーフェイクで意外と抜けますよ.
 後者はドライブテクニックが必要ですが応用性の高いコツです.1フェイクが当たり前の状況においてディフェンダーは,1回目のフェイク後の動きは確実に起こると錯覚します.そこで1回目のフェイクの後となる,2回目のフェイクには食らいつき方が全然違います.
 右に行くフェイクを入れる前に追加で,左方向へのボディフェイクを1回目のフェイクとして入れてみて下さい.今まで行っていた,ただの右方向へのフェイクが2回目のものとなるため,かかり具合が面白いくらい変わってきます.
 ただし注意していただきたいのが,1~2秒程度の短時間に2回のフェイクを入れる必要があることです.それ以上の時間をかけては,1回のフェイクを2回行っただけになってしまい,効果を失います.そのため十分なレベルのハンドリングが必要です.
 またこの2回フェイクは様々な場面で適用できます.例えばレイアップのモーション中だが,逆サイドへのパスもできる,という状況で考えます.レイアップモーションにおける1歩目の際に逆サイドへのパスフェイクを入れてみて下さい.するとほぼ100%自身のレイアップにディフェンダーは飛びついてきます.1回目のフェイク後のレイアップのため,パスじゃなくレイアップが本命,と相手は確信するためです.そこでジャンプした後に改めて逆サイドへパスすれば簡単にノーマークの状況が生まれます.

シュートフェイクが最強

 一番相手にとって嫌なフェイクって何だろうと考えたことはありますか?私はシュートフェイクだと思います.ジャンプしてしまったら終わり,しかし飛ばないとノーマークでシュートされる.さらに,フェイクにかからなくても迷いが生まれた時点で膝がわずかに伸び,その後のこちらのスピードに対応できなくなります.こんな最高のフェイク,多用する他ないですよね.
 パスをもらった後のシュートフェイクも良いですが,それよりもドライブ中にシュートフェイクをねじ込んでみて下さい.例えばドリブルで中に突っ込むふりをして,バックステップで後ろに下がる.その際にボールを持つふりをしながら自身の膝をわずかに曲げ,ゴールリングに視線を送ってください.確実に相手の膝はその瞬間伸びます.もっと上手くいけばそれだけで相手はジャンプしていますよ.
 ちなみにこのシュートフェイクと,前述のノーフェイクドライブは悪魔的ともいえるコンビで,私も多用しています.膝が伸びてしまうシュートフェイクに対し,膝を落とさなければ対応できないスピード感を持ったノーフェイクドライブ.ディフェンダーにとってこんな厄介なことはありません.
 なお補足ですが,シュートフェイクで最も重要なのはゴールリングに目線を向けることです.意識はないかと思いますが,視線というのは意外とディフェンダーにとって重要な要素です.ぜひ応用してください. 
 

個人技がついたら周囲の仲間に意識を向けるだけ

 ここまでの内容は個人技のみについての記載でしたが,それさえあればパスワークについてアドバイスはもういらないと思います.パスワークなんて,個人技を付けた後に自然と身につくものだと考えているからです.
 1 on 1において,ディフェンダーをこのくらいずらせれば抜けるというのが掴めているはずです.仲間が走っており,ディフェンダーが十分にずれていればパスをする.パスワークなんてそれだけです.
 基本パスの貰い手が決めてくれます.極め抜いた1 on 1なので.しかし他のディフェンダーがカバーに入る場合があります.ならばその場合,誰かしらノーマークのため,さらにそこへパスがつながるだけです.単純ですね.
 気遣いとして,その者からパスしやすそうな場所に移動したりするくらいのことはしましょう.

まとめ

 バスケにおいて,初級~中上級へチームの強さを向上させるには,個人技を鍛える他はありません.特に1 on 1の強さが直結します.よく言われる,ドリブルはせずにパスワークだけで点数を決める,なんて理想論です.十分な個人技を持った上でパスワークの理解を持った人を集めたときにしか実現しません.
 そのため練習試合を台無しにしてでも,まずは一人でドライブやシュートで点を取りに行ってください.パスワークはその後自然と身に付きます.
 私の思う弱小チームのプレイヤーに最も足りていない点は,「放っておくと点を取りに来る」という重圧です.結果シュートを外そうが関係ありません.点を取られる可能性を感じさせることが大切なのです.とにかくこの重圧を持ったプレイヤーになることで,相手のディフェンスは警戒を強めフェイクにかかりやすくなります.そうすればパスワークも自然とできるようになりますし,仮にパスワークを練習していたらそれも生きてくるでしょう.
 繰り返しますが弱小チームにおいては特に,上記を理由に,個人技の練習が最優先です.パスワークを鍛えてチームで勝つ!なんて綺麗事は捨て,ドリブルやシュートを鍛えましょう.そうすればあなたのチームは二次関数調
に強くなっていきます.ぜひ参考にしてみて下さい.

※あくまで私の経験に基づく意見です,異論は大いに歓迎します.

謝辞

 非常に長々と記載しましたが,読んでくださった方々は本当にありがとうございました.
 プロになる道を歩まず,また大会があるわけでもないのに,バスケの練習を続けてきました.この時間を無駄にしたくないという思いから執筆をしました.顔も知らないどこかの誰かの上達に少しでもお役に立てれば嬉しい限りです.

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