英文法解説 テーマ6 分詞 第3回 分詞は置く場所が大切です!② ~限定用法~
こんにちは。前回は、分詞の叙述用法について説明しましたが、今回は分詞の限定用法について扱っていきます。早速ですが、まずは、限定用法とは何かという説明から始めましょう。そもそも、分詞には、①形容詞のはたらき、②副詞のはたらき、の2つの機能がありますが、その中でも「形容詞のはたらき」に注目しましょう。
さらに、形容詞には、(1)Cとしてはたらく、(2)名詞を修飾する、という2つのはたらきがあります。後者の「名詞を修飾する」というはたらきのことを「限定用法」と言います。分詞には現在分詞と過去分詞の2種類があるので、つまり、「分詞の限定用法」とは次のようになります。
これが今回のテーマです。現在分詞と過去分詞のどちらを使うのか?また、どのように名詞を修飾するのか?に注目しながら、ひとつずつ学んでいきましょう。
前置修飾と後置修飾
英文法の世界では「名詞を修飾する」には2通りの方法があります。「修飾語句+名詞」という前置修飾と「名詞+修飾語句」という後置修飾です。基本的には、修飾語句が単語ひとつだけの場合は前置修飾で、修飾語句が2語以上の場合は後置修飾になります。分詞を用いて名詞を修飾する場合もこの原則に従うので、まとめると次のようになります。
前置修飾
分詞が単独で名詞を修飾する場合は、「分詞+名詞」という語順になります。普通の形容詞と同じ語順なのでそれほど難しくはないでしょう。
(1)は、現在分詞flying「飛んでいる」が単独でbirdを修飾している例です。thatの位置に注意してください。thisやthatといった指示代名詞や冠詞(a/an, the)や代名詞の所有格(my, yourなど)は、現在分詞の左側に置かれます。これは、分詞が形容詞のはたらきをしているからです。(2)も同様で、that+過去分詞broken「割られた」+名詞window、という語順になっています。(3)は、自動詞fallの過去分詞なので、受動の意味ではなく、完了の意味になります(「テーマ6 分詞 第1回「現在分詞と過去分詞って時制の話じゃないんだよ!」」を参照)。「落下してしまった葉」→「落ち葉」ということです。
意外とこの語順でつまずく人が多いようなので、気を付けてください。
後置修飾
分詞が他の語句を伴って名詞を修飾する場合は、「名詞+分詞+他の語句」になります。後置修飾は日本語にはない仕組みなので、慣れないと難しいと感じる人もいるでしょう。特に、規則動詞の過去分詞形は過去形と同じ形(V-ed)になっているので、S+V(過去形)と区別しなければいけませんが、まずは例文で修飾関係を確認しましょう。
(4)は、flying「飛んでいる」が単独ではなくてover thereを伴っているので、後ろから名詞that birdを修飾しています。(5)は、discussed「議論された」が単独ではなくてin the meetingを伴っているので、後ろからthe issueを修飾しています。ここでは、「議論された問題」を「話し合った問題」と訳しています。
さて、このthe issue discussed in the meetingが主語になっていたとしたら、discussedが過去形ではなく過去分詞形であることを見抜き、さらに修飾語句の範囲を特定しなければいけません。
まずこの例文で注目すべき点は、文頭のThe issue discussedです。ここをS+V(過去形)と捉えてはいけません。discussは他動詞なので、もしこれが能動態の過去形であれば直後に目的語があるはず、と考えれば、このdiscussedは過去分詞形だと分かります。さらに、主語がThe issueで述語がdiscussedなら「問題は~を議論した」という意味になってしまうのもおかしいです。つまり、動詞の性質からも意味からも、このdiscussedは過去形ではなく過去分詞形だと分かります。
また、The issueという主語の直後に、discussed in~という修飾語句があるということは、どこかでその修飾語句が終わり、そのあとにV(述語)が置かれるはずです。それがここではshould be sharedになります。つまり、まとめると次のような構造になっていることが分かればいいのです。
過去分詞による後置修飾のパターンで最も厄介なのは、このように主語に対する修飾でその範囲が分かりにくい場合だと思います。なので、主語への過去分詞の後置修飾を発見したら、その主語に対するV(述語)はどこに出て来るのかを意識すると良いとでしょう。
このような構文把握の技術に関しては、また別の機会に解説記事を書きたいと思いますので、ご期待ください。現時点では、「S+修飾語句+V~」という構造に関して、特に過去分詞形による後置修飾の場合は要注意だと知っておいてもらえれば十分です。
以上で、分詞の限定用法の解説は終わりです。前置修飾と後置修飾を区別することがポイントでした。次回からは、分詞構文の解説に入ります。聞いたことはあってもイマイチ理解しにくい範囲なので、3回に分けて、基本→応用と少しずつステップアップして解説していきます。ご期待ください。