英文法解説 テーマ10 比較 第3回 比較の味付け ~強調・程度・差・倍数などの表し方~
こんにちは。「比較」も中盤戦を迎えました。今回は、「比較」に対して様々な“味付け”をしてみよう、という話です。どういうことかと言うと、例えば、サッカーの試合結果で2対1というスコアと10対1というスコアでは、勝ち負けに関しては同じですが、差の付き方が異なりますよね。このような「差」の大小や具体的に何点差かを表す方法について解説していきます。他にも、2倍や10倍といった「倍数」についても解説します。
比較級と最上級の強調
まずは、「強調」についてです。例えば、「AはBよりも大きい」という普通の比較表現を「AはBよりもずっと大きい」というように強調する場合の方法です。比較級を強調するためには、-erの直前に、いわゆる「強調語句」を置くのが基本です。
stillだけは、実は少しニュアンスが異なりますが、基本的にはこれらの語句を比較級の直前に置くことで、その比較級を強調します。ここで一つ注意があります。例えば、形容詞や副詞を強調する語として非常に有名な、veryは、比較級の強調には使えません。
したがって、例えば、You are very prettier than anyone.(×)といった書き方をしないように気を付けましょう。
ちなみに、比較級は強めるだけでなく、弱めることもできます。muchやa lotの代わりに、a littleやslightly(わずかに)を使えばOKです。
また、比較級だけでなく、最上級も強調することができます。もちろん、普通に最上級を用いるだけでも「最も~だ」と強い表現なのですが、強調することで「はるかに・ずば抜けて~だ」のように、2番目以下を大きく引き離しているイメージになります。
ここで注意が必要なのは、最上級につくtheと強調語句の位置関係です。by farやmuchを用いる場合は、theはそれらの後ろに置き、veryを用いる場合は、theはその前に置きます。たまに、the very bestというキャッチコピーを見たことがある人もいると思いますが、まさしくこのパターンです。veryは、上記にもあるように、比較級の強調には用いられないのにもかかわらず、最上級の強調には用いられ、しかも、by farやmuchと違ってtheの後ろに置かれる、という厄介な単語だと思います。
比較級の差の表し方
次は、比較の差の表し方です。例えば、「AはBよりも20cm長い」のように、どれくらいの差がついているのかをどう表すか、ということです。これは2つのパターンがあるので、どちらもしっかりマスターしましょう。
基本的には、パターン①のように、強調や弱形のやり方と同じで、比較級の直前に置きますが、パターン②のように、than ~のうしろに前置詞byとともに置くこともできます。どちらでも解釈の仕方は同じです。例文で確認しましょう。
このパターン②のbyは「差のby」と呼ばれ、比較級でなくてもよく用いられます。例えば、I missed the train by a minute.「私はその電車に1分差で乗り遅れた(=あと少しで乗れたのに)」のような使い方です(ここでのa minuteはwait a minuteのように「少し」の意味です。このように、a minuteは必ずしも「1分」でないケースもあります)。
倍数表現について
「…倍」のような倍数表現も程度や差を表すパターンの一種ですが、倍数表現は原級と用いるのが基本です(ただし、比較級と一緒に用いている例もあり、必ずしも原級とだけしか使ってはいけないわけではありません)。
2倍のときはtwice(two timesも可)を用い、3倍以上のときは“… times”とします。また、例えば「1.5倍」のようなときは、one and a halfのようにandを用いて表します(halfは「0.5倍」で倍数表現の一種です)。ちなみに、分数の場合は少し表し方を工夫します。
このように、分詞と分母を組み合わせて表します。これは、そもそも序数自体が「n分の1」を表す(thirdは「3分の1」、fourthは「4分の1」)ので、もし分子が2以上であれば、分母の序数は複数形にする必要があるので気を付けてください。例文で確認しましょう。
とうわけで、比較の強調・程度・差・倍数に関する解説はここまでになります。基本的には、原級・比較級・最上級の直前にそれらを置くので、語順に関しては非常にシンプルな語順になります。あとは、どのような表現を用いるかをきちんと整理することが重要です。しっかりと復習を頑張ってください!
次回は、比較の最難関である、比較級と否定語の組み合わさったパターンについて解説します。no more thanとかクジラ構文とか難しいやつです。詳しく解説するので、ご期待ください。