英文法解説 テーマ2「時制」 第4回 完了形がよくわからない人へ① ~現在完了形について~
前回までで、「現在」「過去」「未来」の各時制の表し方と「進行形」の使い方について解説してきました。今回は、時制の中でも苦手意識をもたれがちな「現在完了形」について解説していきたいと思います。
現在完了形の基本について
まずは、現在完了形の語形から紹介しましょう。
このように、語形に関してはあまり複雑ではありませんね。問題は、「現在完了形」という文法用語です。だいたい、「現在」と「完了」という語句が組み合わされている時点で意味不明な文法用語に思われがちです。しかし、ここは思い切って「完了」という日本語の意味は忘れてしまいましょう。どういうことかというと、「現在完了形」が表す時制というのは、「とりあえず今の時点での過去から現在までの話」なんです。だから「過去時制(過去の期間)+現在時制(現時点)」のような感じで把握しておけば、まずは十分だと思います。
この「過去+現在」という時制の範囲の事柄を表す際に、現在完了形は用いられますが、具体的には次のようなパターンで訳されます。その時の訳し方のパターンのことを「○○用法」と一般的には呼びます。
ひとつずつ説明していきましょう。まずは、「完了用法」から。これは、単なる「過去形」との区別が難しいのですが、それぞれの例文を並べてみると一目瞭然だと思います。
過去形が、過去に起きた事柄を伝えるだけの形式なのに対して、現在完了形の「完了用法」というのは、過去時制で起きた事実だけでなく、「今どういう状況なのか」を伝えるものなのです。だから、例えば、Do you know where he is?「彼がどこにいるか知ってる?」という疑問文に対する返答としては、(1)の方がベターだということになります。
次に、「経験用法」です。これは、「過去の期間+現時点」の中で、「何回ある行動をしたことがあるか」ということなので、比較的わかりやすい考え方だと思います。
(3)からも分かるように、経験用法は「未経験」も表すことができ、その場合はneverがともに用いられます。
「過去の期間」における「経験」に注意!
ただし、一つだけ注意点があります。「テーマ2 時制の第1回目「現在形と過去形」」の解説で「過去時制には、①過去の一点、②過去の期間、の2つがある」という話があったのを覚えていますか?その際にも少しだけ触れたのですが、たとえ「経験」の意味が含まれていても、過去の期間の中での経験は、過去形で表されるのです。少し難しいですね。もう一度、例文を挙げてみるので確認していきましょう。
この例文、覚えていますか?「子供のころ」というのは「過去の期間」であり、「現在」は含んでいません。つまり、ここでの「子供のころ」というのは次のようなイメージになります。
もし今現在、自分が子供であれば「子供のころ」なんて言い方しませんよね?「子供のころ」というのは、子供時代を過ぎたから言えるのです。だから、現在時制とは切り離して考えるために、現在完了形ではなく過去形を用いるのです。「したことがある」とあっても必ずしも「完了形」が用いられるわけではないことに注意してください。
現在完了進行形はどういうケースで使うのか?
最後に、「継続用法」です。これに関しては、教科書のセオリー通りではない説明をしたいと思います。しかし、この手順で説明した方が生徒さんにもスムーズに理解してもらえることが経験上多いので、そうしたいと思います。まずは、次のルールを覚えてください。
どういうことかというと、他の用法と違って「継続用法」というのは「今も~している」という現在進行形のようなニュアンスを含んでいるので、普通の現在完了形に現在進行形を足して、「現在完了進行形」にする必要があるのです。「have/has+Vp.p.」と「be+Ving」を足せば、「have/has been+Ving」になります。少し、例文で確認しましょう。
(5)では、訳し方だけを見ると表面的には、現在進行形のような訳し方になっていますが、実際には、彼女は「過去から現在までの期間(2年間)」の中で英語を勉強していて、現在の時点で勉強を終了した、ということではなく、今も続いている、ということになります。だから、「現在完了進行形」が用いられているのです。(6)も同様に考えます。表面的には「している」というように現在進行形のようですが、実際には、「先週から降った雨が、今も降り続いている」という意味なので、「現在完了進行形」になっています。もし仮に現在の時点で雨が降り止んだなら、It stopped raining.となるはずです。
現在完了形と現在完了進行形の使い分けについて
ここからが少しだけ注意が必要なのですが、前回「進行形にならない動詞」があるという説明を覚えているでしょうか?「状態動詞・心的動詞・知覚動詞」。あれです!このような「進行形にならない動詞」を使って「過去から現在までの継続」を表したいときは、「現在完了進行形」ではなく、実は「現在完了形」になるのです!例文で確認してみましょう。
つまり、現在完了形と現在完了進行形をまとめると次のようになります。
中学→高校という学習カリキュラム上での順番だと、通常は「現在完了形」の3用法(場合によっては4用法)が説明されたあとに、「現在完了進行形」という新たな形式が紹介されることが多いので、混乱しやすい箇所なのですが、このように、少なくとも「継続用法」に関しては、現在完了進行から考えた方が分かりやすいと思います。
というわけで、「現在完了形」の話はここまでになります。いかがでしょうか?次回は、これまでの話の発展形として「過去完了形」と「未来完了形」について解説していきたいと思います。ご期待ください!
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