英文法解説 テーマ11 否定 第3回 否定を表すイディオムや構文を紹介しましょう
こんにちは。今回で「否定」の回は終わりになります。あっという間でしたね。これまでは「否定語」「準否定語」「部分否定」「二重否定」について解説してきましたが、いかがでしたか?仕組みを理解した上で、知識を定着できたでしょうか?今回の「否定に関するイディオムや構文」は、ある程度覚えていないといけないのですが、どうしてそういう意味になるのかという「理解」が手助けになる所は、できるだけ無理のない程度に解説していきたいと思います。
否定語を用いた慣用表現・構文
まずは、否定語がその中に組み込まれたタイプの慣用表現や構文です。中には、これまで登場したものもありますが、きちんと覚えているかどうか確認してください。
例文と解説です。
no longerはnotと同じ位置で用います。また、この文をHe is not a child any longer.のように書き換えることができます。“no longer ~”=“not ~ any longer”ということです。
これは、「テーマ10 比較 「第1回 原級と比較級は等号と不等号で考えよう!」」で登場した慣用構文です。「A<B」という関係を見出すことがポイントです。
ここでのcannotは、be動詞ではなくtoo careful「注意しすぎる」を否定しています。「注意しすぎるということはありえない」という直訳からこのように解釈されます。このcanは、「能力」ではなく「可能性」なので、否定文になり「~のはずがない」となります。
この類似パターンとして、have little to do with~「~とほとんど関係ない」やhave something to do with ~「~と何らかの関係がある」、have much to do with ~「~と大いに関係がある」というのもあります。
there is no ~ということは、「~が存在しない」ということなので、直訳すると「~することは存在しない」となり、そこから「~することはできない」という解釈ができます。ちなみに、ここでのtellはthat節を目的語として取っているので「~が分かる」の意味です。
これは少し難しいかもしれません。until節から訳すと「病気になるまで健康のありがたみが分からない」となります。つまり、「病気になった時点で健康のありがたみが分かる」ということなので、「~して初めて…する」となります。また、この構文は、It is not until you become ill that you will appreciate your health.というように強調構文を用いて書き換えることもできます(強調構文はテーマ12「特殊構文」で解説します)。
否定語以外を用いた慣用表現・構文
次は、いわゆる否定語(no, not, never)を用いずに否定文を作ることができる慣用表現・構文です。慣れないと、否定文だということにすら気づかないので注意が必要です。
例文と解説です。
ここでのbutは「~を除いて」の意味なので、直訳すると「簡単であることを除けば何でも」なので、実質的に「簡単である」を否定しています。これの逆パターンのnothing but ~「ただ~にすぎない」と混同する人も多いので気を付けてください。
直訳すると「~からは程遠い」の意味です。もちろん、そういう意味で解釈することもありますが、物理的な距離感ではなく、程度の意味で距離感が出ることで「決して~ない」となります。anything but同様にneverの婉曲表現です。
「噂を広めそうな人」を並べた場合に、「最後の人」であるというのは、要するに「決して噂を広める人ではない」ということです。to不定詞の代わりに関係詞節を用いて、She is the last person that[who] spread rumors.とすることも可能です。
failは「失敗する」という意味で覚えている人も多いと思いますが、それは自動詞として用いられている場合です。to不定詞が後続する場合のfailは他動詞として「しない」という意味です。これは、前回「テーマ11 否定 第2回「「100%を否定は何%?」と「否定の否定は?」という話」」で、「二重否定」のnever fail to V「必ず~する」という表現でも登場しました。
have to Vだけだと「しなければいけない」とう義務の意味になりますが、これは裏を返せば「(今は)していない」ということです。そこにyet「まだ」が追加されることで、「まだ~していない」という解釈が生まれます。否定文だと気付きにくいので、気を付けてください。ちなみに、この例文のItは形式主語で、who broke the windowが真主語になります(テーマ1「品詞と文型」 第10回 「形式主語構文と形式目的語構文について」を参照してください)。
free fromと言えば、「~から自由だ」と訳すケースももちろんありますが、ここでのfreeは「ない、欠いている」の意味です。alcohol-free(アルコールフリー)やduty-free(免税)のfreeと同じです。「~が欠いている」ということは、not include ~「~を含んでいない」と言っても同じです。
ここまでが、否定の慣用表現・構文になります。機械的に丸暗記するよりもある程度の理解をベースに考えると良いと思いますが、ほとんどのパターンは、直訳→意訳というプロセスを経ているので、基本に忠実に考えれば覚えられると思います。
というわけで、否定の3回分はここまでになります。そんなに分量はないので、何回か読み直してしっかり身につけてください。次のテーマは、「特殊構文」の予定です。強調や省略や倒置について扱います。ご期待ください。