カナダで「移民反対派」に出会った話。
カナダ🇨🇦と言えば、多文化主義で世界的にも移民に寛容な国。
しかし、当たり前ですが、カナダ人🇨🇦全員が移民歓迎という訳ではなく、口に出さないだけで少なからず「移民反対派」も存在します。
これは私が人生で初めてカナダ🇨🇦で移民反対派に出会った時の話です。
WHビザでカナダ🇨🇦にいた頃、1番最初に住んだ家には家主の63歳のおじさんとルームメイトの65歳のおじさんDan(仮名)が暮らしていました。(両方カナダ人🇨🇦) 家主のおじさんは超アウトドアで週末はいつもキャンプか旅行で家を空け、ルームメイトのDanさんと過ごす機会が多かった。
彼もまた65歳とは思えないパワフルなおじさんで、「若い頃にYukon Riverをカヌーで下ったんだ!」とか「ソロキャンプでクマにテント破壊されたことある」とか「vanでカナダ🇨🇦各地を回るのが夢で終着点はDawson Cityだ!」など…色々とクレイジーな人生経験を聞かせてくれる面白い人だった。
実際、Danさんのデカーーイvanを見せてもらったら、車内はまさにキャンピングカーみたいで、あぁ…本当に旅するおじさんなんだな〜と確信しました(笑) (たまに改築を手伝わされたw w w)
※ vanのイメージ
そして、ある日のこと、いつも通りディナーを共に食べながら雑談していると政治経済の話になった。すると、彼はトルドー首相が大嫌いで、米🇺🇸大統領(当時)トランプ氏の熱狂的な支持者ということがわかった。
心の声 (スゲェ…堂々とトランプ支持を公言できる人を初めて見た…)
私は恐る恐るトルドー首相とトランプ氏の違いを聞いてみると、Danさんは「トルドー首相は後先考えずに移民を易々と受け入れ過ぎだ!」続けて「トランプ氏は不法移民は嫌うが、国益になる移民は好んで受け入れるスタイルで理にかなっている!彼はメディアの言うような差別主義者ではない!」とのこと。
(確かにどのメディアも、トルドー首相=ヒーロー、トランプ大統領=悪 みたいな偏った報道ばっかなのはわかるけど…)
彼の話を聞いた時、カナダ🇨🇦に移住しようとしていた身分でもある私はヒヤヒヤしてきて思わず聞いてしまった。「えっと…Danはさ、つまり、移民が嫌いってこと…?」すると彼は「基本的に好かないな、だって奴らは全くカナダ🇨🇦にassimilate (同化)しないからね。」と答えた。「じゃあ、同化しようとする移民なら歓迎ってこと?」と聞くと「そりゃ、もちろんさ。全ての移民が嫌いって訳じゃないよ。」とのこと。
心の声 (なるほど、どうやら彼は愛国心の強いガチガチな保守派なんだな…)
あれやこれやと議論していくうちに時間を忘れ、気付けば4時間ほど喋っていた…。
Danさんが嫌う移民の特徴を彼の「生い立ち」も交えながらまとめてみた。
・「同化」しない移民
→ 彼は元々イタリア系🇮🇹のルーツで、移民一世の両親は「イタリア人🇮🇹はのろまで頭が悪い奴らだ!」と酷い差別を受け、劣悪な労働環境の工場でこき使われる等の経験をした。
そんな両親はカナダ人🇨🇦に同化できるようにイタリア語🇮🇹を一切教えず英語だけでDanさんを懸命に育てた、という話を彼は紹介し、「カナダ🇨🇦に移住するからにはカナダ人🇨🇦になりきるべきだ!」と主張した。
カナダ🇨🇦には「assimilation (同化政策)」といって先住民を無理矢理、寄宿学校に入れて英語やキリスト教を教え込み、カナダ人🇨🇦に同化させた暗い歴史があるが、彼が言うには実際はイタリア系🇮🇹などの後発移民や英語を母語としない移民にも目を向けられ、強制的に同化を迫られたとか。
もちろん、今の時代そんなことは許されないが、Danさん曰く「先人達の移民の苦労があってこそ今のカナダ🇨🇦が存在する。カナダ🇨🇦の伝統を守らない移民はお断りだ!」とのこと。
心の声 (まぁ、気持ちはわかる気もするけど少し極端…)
・郷に入っても郷に従わない移民
→ Danさんの口から「assimilation (同化)」という言葉が出た時、少しギョッとしたが、そういう昔の恐い話ではなく、どうやら「assimilate = 溶け込む」という意味合いで話していた。
「カナダ社会🇨🇦に溶け込む努力もせず、恩恵だけ受けて、国の方針に一切従わない移民は嫌いだ!」と続けて、「globalismという理想論ではいつまでたっても国はまとまらない、nationalismも時には必要だ!」と話した。
nationalismと聞くとグローバル社会に大きく背き、少し恐いな…と思いつつ、ズバリ彼に人種差別の意図はあるのか?と聞くと「人種とか何人とかは関係ない、移民するなら郷に入っては郷に従うのが当然だ!」とのこと。
心の声 (まぁ、確かにどの国でもやっぱり「郷に入っては郷に従え」は思っちゃうことかも…)
・愛国心の無い移民
→ カナダ🇨🇦の移民のハードルは世界的にも低く、最低限の英語力(IELTS4.0)+合法的な就労ビザ(ワーホリビザ可)さえあれば、勤め先次第で最短2年で永住権が可能である。
そのため、「母国よりはマシかな〜」とか「本当は英国🇬🇧or米国🇺🇸がよかったけど移住条件が厳しいからカナダ🇨🇦にした〜」とまるで消去法のようにカナダ🇨🇦を選ぶ人も実は少なくはない。
その現状に対してDanさんは「俺はこの美しいカナダ🇨🇦が大好きだ!カナダ🇨🇦が好きでもないのに、しかたなく嫌々移住するような奴は来ないで欲しい!」と続けて「米国🇺🇸みたく忠誠の誓いもさせず易々と移民を増やすのはおかしい!」とも語った。
心の声 (う〜ん、まぁ確かに、しかたなく日本に移住した〜みたいな人を見たら私も気分良くないかな…)
・英語を話さない移民
→ 今日、カナダ🇨🇦では州政府や市町村の運営するESLで無料で英語を学べる機会があるにも拘わらず、いつまでたっても英語を勉強せず習得する気がない移民は少なくない。
それに対し、Danさんは「税金でこんな手厚い公共サービスを提供しているのに、ずっと母語だけで生活して一向に英語習得に努力もしないのはおかしいだろ!政府は移民に甘すぎる!」と言い出し「昔はカタコト英語しか話せない親世代に囲まれて、母語を封印してまで必死に英語を身に付けて生きてきたんだ!」と語った。
心の声 (まぁ、壮絶な時代を駆け抜けてきた彼の世代から見ると確かに今どきの移民ってかなり贅沢なんだろうなぁ…)
・移民グループで固まる
→ 移民は毎年、様々な国からやって来る。その現状の中でDanさんが特に嫌っているのが、各国の移民グループで固まり、コミュニティの規模がどんどん大きくなっていくこと。
彼は「そこら中に次々と大きなコミュニティが形成されると、国を穴ぼこにされているような気分になるし、そのエリアではカナダ人🇨🇦に対して排他的になるケースさえもある!なぜカナダ国民🇨🇦が逆に邪魔者扱いなんだ!」と実体験も交えながらボヤいた。
心の声 (これ埼玉県川口市とか北海道に中国人🇨🇳が増えすぎてチャイナタウン化しているって話と一緒やん…。まー、善し悪しはそこの住民が決めることだけども、もし私の地元に日本語通じない移民がそこら辺に大きなコミュニティを形成したら、さすがに恐いかも…。)
【まとめ…】
※ 前述の意見は私のルームメイトであった65歳のカナダ人🇨🇦男性の意見であり、私の思想とは何の関係もありません。
改めて、この体験は私にとっては実はめちゃくちゃ貴重な時間でした。なぜなら海外で極右とも呼べるようなガチガチな保守系な人と出会うのって人生初の出来事だったのです!!
アメリカ🇺🇸もカナダ🇨🇦も世論調査では、保守系とリベラル系が統計学上では半々くらい存在しているはずなのに、メディアでは保守系の意見なんて大抵カットされているし、現地で出会う人々も中道左派的な意見ばかりで、公言できない空気があるのか…?と思うくらい右派・保守系の人に出会うことはそれまで1度も無かった。
ハッキリ言って、Danさんの主張はかなり偏った内容もあったけども、「愛国心」とか「忠誠心」とか日本🇯🇵ではなかなか出てこないワードについて考えさせられる機会になったし、意見が違うからこそ議論が弾んで楽しかったし、たまに価値観が合うと意気投合したり、白人同士の差別とか、移民問題のリアルとか、政治情勢の黒い話を教えてくれたりと、生々しい人生勉強になりました(笑) (もちろん、鵜呑みはNGだけどw w w )
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それから2ヶ月後、私は仕事を見つけて引っ越すことになり、それとほぼ同時にDanさんもvanに乗ってDawson Cityの方へと旅立って行きましたとさ。その後のことは不明(笑)
※ さて、本当のまとめですが…移民に対して少し過激な意見も出ましたが、安心して下さい。彼はただの65歳のクレイジーなカナダ人🇨🇦男性です(笑)
どこの国に何の理由で移住するかは、当たり前ですがその人の自由です。「郷に入っては(ある程度)郷に従え」さえ守っていたらおkです!
【最後に…】
今後、海外移住をお考えの方に、こういう移民に対して少し極端な意見を持つおじさんも中にはいるんだよ〜というお話でしたw
あなたの夢にYellを!
〜Thank you for reading!💕〜