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燕の教え:自在に飛ぶための安全なブレーキ

ティーチャーズの山田 直です。
たくさんの燕の巣が設置してあることでその名を馳せ
ている、神奈川県の大磯駅。

今は子育ての全盛期に入ったらしく、ひっきりなしに
燕が駅の構内に入って来ては、またすぐに飛び出して
行きます。

そのスピードたるや、実に最高速度200kmです。超低
空で道路を横切り、急な方向転換で車を避け構内へ進
入。改札を行き交う人々をすり抜け、巣へとランディ
ング。

あまりの速さに唖然とする僕です。いったいどんな動
態視力なのだろう。いや、もう目で見ているといった
世界ではない。ただ感覚のままに、あらゆるものに体
が反応しているといった感じです。
とても同じ世界に生きている生命とは思えない。おそ
らく彼らは、僕とはまったく違う世界を体験している
のだろう。

遊園地のジェットコースターが憎むほど嫌いな僕にと
って、それは生き地獄の景色かもしれない。でも燕に
とってはそれが日常の風景だ。

そして何よりすごいのは、猛スピードで飛んでいるの
にもかかわらず、すぐに止まれるということ。
水平の状態から頭部を引き上げ、尾翼を下げ体全体で
空気抵抗を高める。

さらに翼を最大に開き、空気を前に送って強いブレ
ーキを効かせる。発生する乱気流を整流するために、
小翼羽を立てる。

そんなことが刹那の一瞬に行われ、ふわりと巣に着地
し、我先にクチバシを差し出すヒナたちに採れたての
虫を口渡す。



安全に止まれることは、どんなに早く飛ぶことよりも
大切だ。そうでなければ、それはやはり生き地獄にな
るからだ。

人も往々にして止まれない。だから安全なブレーキを
手にした時に、初めて自由に飛べるのだ。全速力で。
僕にとってはそれが「ヨガ」なのかもしれません。

心から寛いで、リラックスする。いつも忙しない自分
に強力なブレーキをかける。そんな休息の後は、決ま
っていつも見えてくる風景が変わっているのですから。

ライター:山田 直(クリパルヨガ教師)

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