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先生が3年間で費やした時間は、息子さんより私の方が長かっただろう

昨年末に配信されていた陸上競技選手の為末大選手のインタビュー記事を拝見しました。その中で、為末さんは2つの観点から、部活動の地域移行の必要性について語っています。

一つは、少子化で学校規模が小さくなっており、これまで通りに学校単位で部活動を維持していくことが難しいという点です。インタビューの中で、「少子化は大きな流れであり、学校単位で部活動を維持するのは無理がある」と明確に発言されています。

これはデータから見ても明らかで、全国の約19%の中学校が生徒数100人未満(1学年1学級以下)の小規模学級です。今後も少子化の影響でますます小規模校が増えていく中、このような状況で男女別に複数の部活動を維持していくことが持続可能でないことは誰の目から見ても明らかでしょう。

そして2つ目が、教員の働き方改革です。「これまでの部活動は教員の長時間労働で成り立っていた。」と為末さんはインタビューで述べられていますが、その後の言葉が私には特に印象的でした。為末さんは、全国大会で優勝した高校時代のことを振り返り、「先生が3年間で費やした時間は、息子さんより私の方が長かっただろう。家庭を犠牲にする職業にさせてはいけない」と話されています。

部活動で多くのことを学び、オリンピックでも活躍されたからこそ、為末さんのこの言葉は、とても説得力があります。学校の部活動が担ってきた役割は大きく、生徒の自己実現や日本のスポーツへの貢献は計り知れないものがあります。だからこそ、それが持続可能でないことに強い危機感を感じているのだと思います。

為末さんは、現在、スポーツ庁が打ち出している地域部活動への移行に賛成の立場を取っています。私自身も、このまま学校が部活動を担っていくことは持続可能でないと考えています。学校部活動は地域部活動へと移行し、部活動に携わりたいと望む教師は兼業という形で報酬も得ながら、学校教育とは別の形で関わっていく仕組みを構築しなければなりません

そのためには、国の制度だけでなく、これまでの習慣や保護者・教師の意識変革、各種大会の参加規定の改定、放課後の部活動の費用を誰が負担すべきなのかの議論など、社会全体で取り組まなければならないことはたくさんありますが、子ども(教師の子どもを含む)を中心に添えて、これは不退転で望まなければならない課題だと思います。

(為末さんのインタビュー記事:福井新聞)

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