15歳で留学。英語が全然できないのに、たった5日間でオーストラリア人の心を掴んだ話
僕は中学を卒業してすぐにオーストラリアのメルボルンに留学しました。当時の英語力は英検3級にギリギリで合格するくらい。ネイティブと会話経験はゼロ。
メルボルンに移住していた伯母の付き添いのもと、入学する候補の高校に行って応接室で先生と話しをしました。通訳してくれた伯母から、「通常はランゲージスクール(語学学校)に通って、ある程度の英語力が付いてから高校に通い始めるという流れなんだけどどうする?」と言われ、最終的に高校に行くなら最初から行けばいいじゃんと考え、いきなり高校に行きたいと答えました。
すると先生から英語で話しかけられました。正直全く聞き取れずに何を言っているか一切わかりませんでしたが、先生の表情から空気を全力で読んで「アハ(Aha)」「オウケイ(OK)」「グッド(Good)」を巧みに使ってわかった風に演じた結果、すぐに高校に通い始める事になりました。
これは僕がオーストラリアの高校に通い始めた最初の5日間のお話です。
高校1日目
全然何言ってるかわからなかったけど、周りの生徒がやってる事を見て真似して浮かないように頑張ったけど、その姿が間違いなく浮いてたと思う(笑) 地理の授業で偶然隣に座ったオーストラリア人のアランが日本語をちょっと話すことができて、しかも彼も同じタイミングでパースからメルボルンに引っ越してきたばかりで友達がいなくて仲良くなった。
高校2日目
休憩時間になるとアランを探して一緒に過ごすコバンザメになる。するとそこに8人くらいの不良っぽい生徒のグループがやってきてその中のボスっぽい生徒が僕になんか言ってきた。
"Say(セイ) %$〇#▽◆&□+*!" セイしか聞き取れない。アランに助けを求めると「言ってください」と言って、ボスが今度はゆっくり同じことを言い始めた。なるほど真似すりゃいいんだな。僕がボスが言った通りに真似して言うと、不良グループは腹抱えて笑って去っていった。相変わらず何を言っているのかはわからなかったが、なんとなくバカにされている感じはしたので、アランにボスが言った事をノートに書いてもらった。
I am a poofter. I want to lick guy's dick.
僕はホモです。男のチンコが舐めたいです。
高校3日目
初めて日本人の生徒を発見。入学以来ずっと気になっていた質問をぶつけた。
「この学校女子ってどこにいるの?キャンプに行ってるとか?まだ会ってないからさ」
「は?お前マジで言ってるの?ここ男子校だよ」
ガーン!留学前から数か月間頭の中に描いていた金髪のガールフレンドとの甘いハイスクールライフが音を立てて崩れていった。
これまでずっと共学だったし地元の周りの高校は共学ばかりで、世の中に男子校・女子高というものがあることさえ知らなかった無知な自分が嫌になった。
休憩時間、また不良グループが来て僕に何かを言わせた。抵抗するにも何て言うかわからなかったし、その場から立ち去るのも逃げるみたいで癪だったから、とりあえず真似して奴らを喜ばせて、アランに内容を書いてもらった。
I love sucking penis.
僕はチンコをしゃぶるのが大好きだ。
男子校だからホモネタが好きなのか?もしかしたらボスがそうなのか?僕は身振り手振りと知っている数少ない英単語を駆使して、次ボスに何か言われたら言い返したいから何か言う事を教えてくれとアランに頼んだ。
Shut the fuck up!! You are poofter, aren't you?
黙れこの野郎!お前がおかま野郎なんじゃねーの?
その夜、僕はこのフレーズをひたすら練習した。
高校4日目
休み時間にまた不良グループがやってきた。僕はボスの言った事を真似して言って奴らが爆笑しているその時に、練習してきた例のフレーズを叫んだ。
"Shut the fuck up!! You are poofter, aren't you?"
不良グループが静まり返る。数秒の沈黙の後、ボスが何かを言ってきた。表情から「誰に向かって口利いてるんだ?」的な事だと推測したが、僕が知ってる英語は1つしかない。僕はお前らなんか全然怖くねーよという素振りで繰り返し、"Shut the fuck up!! You are poofter, aren't you?"と叫んだ。不良グループは首をかしげ両手を広げてその場を去った。
放課後、僕はアランに言い返す用の悪口フレーズを複数教えてもらい練習しまくった。
高校5日目
休み時間が待ち遠しかったが、休み時間になっても不良グループが来ないので、こちらから探して "Hello. Poofters(よう、おかま共)"と声を掛けた。するとボスがまた何かを言わせてきたので、用意していたフレーズをシャウトした。
Shut the fuck up you stinky dickhead. I'll beat your fuckin' head in and I'm
gonna kick your ass.
黙れクソ野郎。頭勝ち割って叩きのめすぞ!
すると不良グループが拍手して歩み寄ってきた。"You are cool mate.(お前カッコいいじゃん)"
不良グループに一目置かれた僕の事は瞬く間に学校内に知れ渡り、僕は悪口を言うと何倍にも言い返してくる日本人ということで人気者になった。飽きられないようにアランから日々スラングを学び続け、スラングだけはめちゃくちゃ上手くなっていったのだった。
まとめ
僕が通っていた高校は、海外留学生が多く約10%はアジアからの留学生だった為、オーストラリア人とつるまなくても同じ国の仲間でグループになる事もできる。ほとんどの留学生は僕がやられたように不良グループにからかわれて、同じ国の生徒とのみ、もしくは留学生同士のみと関わるようになってしまう。
・僕が幸運だったのはアランと出会った事
・イジられてるとわかった時点で逃げずに立ち向かう事を選んだ事
・悪口フレーズを練習してめちゃくちゃ上手く言えるようになったので面白さが増した事
・常に新しい悪口を用意して周りを飽きさせなかった事
留学生の8割以上が同じ国の仲間とばかりつるむようになります。当然その分英語力の積み上げは難しいし、文化的な経験値も上がりません。自分がそうだったらと考えるとゾっとします。でもこれは留学直後に起こった出来事。今は当時ほどアジア人が露骨に差別されることは減っていると思いますが、異文化に身を置くということは少なからずこういう経験を乗り越えていく覚悟が必要だと思います。(ホモとかおかま野郎とかも今では完全にアウトですね)
英語が全くわからない状態だったにも関わらず、5日間でオーストラリア人の心を掴むことに成功した僕でしたが、翌週から学校行事で5日間のキャンプに行くことになります。そこで僕は更にオーストラリア人の心を鷲掴みにする訳ですが、その話は気が向いたらいつか書きたいと思います。
Thank you for reading^^ 気に入ってもらえたらSNS等でシェアしていただけると嬉しいです♬ これからも英語教育に限らず日本の子供達が楽しく日々過ごして世界に羽ばたける環境づくりに全力で取り組んでいきますので、応援よろしくお願いしますm(__)m