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子どもの絵に勝手に手を加えるのは子どもの世界への侵略だ
僕の中1の娘はアートが大好きです。幼い頃から工作や絵画を楽しんできました。そんな娘が過去に1度だけアートをしていて怒りに震えた時がありました。その時のお話です。
娘が小5の時、僕は6週間娘を連れて僕がかつて留学していたオーストラリアのメルボルンに旅行に行きました。僕が高校生の時に3年半ホームステイをしていたホストマザーの家に泊めてもらって、そこを拠点にとても楽しい6週間を過ごして沢山の想い出ができました。twitterで写真付きで旅行記を書いたので興味がある方はご覧ください。
去年の今頃は娘と🇦🇺にいた
— 全ての子ども達が毎日ワクワクしながら人生を歩める世界を本気で願う人 🌟 ティーチャーマサ (@MasahikoTakaha8) April 27, 2020
最高の6週間だった🌈
最初娘の英語が通じない事がたまにあったが、毎日微調整して1週間後には、聞き返される事がほとんどなくなった
発音をネイティブ級にするには時間がかかるが、ネイティブに伝わるように話すのはそんなに難しくない
必要以上にビビる必要はない pic.twitter.com/fhJBzeWO08
6週間の旅行中、英語圏の子達と一緒に学ぶ機会とアートの街メルボルンで感性を磨く為、娘は3つの絵画教室に通いました。その内の1つの教室では、毎回テーマが決まっていて、生徒はそのテーマに沿った絵を2回のレッスンで仕上げていきました。その時のテーマは「山」でした。
1回目のレッスン後、娘の作品を見てみると秋か冬の山でしょうか?夕日で全てがオレンジに染まっている状況を描いたのかなと僕は思っていました。
1週間後、2回目のレッスンが終わる15分程前に僕は教室に行きました。生徒たちはそれぞれ一生懸命に仕上げています。娘も集中して筆を動かしていました。
そこに先生がやってきました。
「この絵に何が足りないかわかるか?山だから緑が足りないんだ」
そう言って緑の絵具をパレットに絞ると、娘の筆を奪い緑を付けて娘の作品に緑のドットをいくつも入れ出しました。娘の顔から血の気が引くのがわかりました。娘の様子に気が付かない先生はまるで自分が天才かなにかのような振る舞いで「ほら全然良くなった。全然違うだろ」と恍惚の表情で他の生徒の所へ移動していきました。
それから間もなくレッスンが終わり外に出ると、目に涙を溜めた娘は「私の絵がメチャクチャにされた。全体に緑のドットを描かれたから直しようが無い」と怒りに震えていました。
「アイツ、なんの断りも無く突然人の絵に描きこんで最悪だよな。自分が神様かなんかだと思ってるのかな。頭イカれてるんだよ。災難だったな」
そう娘を慰めながらホストマザーの車まで戻ると、娘の様子がおかしい事に気がついたホストマザーは車から降りて娘に話しかけました。
僕からホストマザーに教室で何があったのか説明して絵を見せると、ホストマザーは娘を抱きしめてこう言いました。
「かわいそうなJulia。あなたの世界を汚い緑色に汚されて。人の作品に勝手に手を加えるのは最低な行為だわ。アートは自己表現なの。あなたの世界はあなたのモノ。これからもこれまで通り自由に表現すればいいの。こんな事でアートに失望しないでね。あなたは素晴らしいんだから」
ホストマザーはインテリアデザイナーだった事もあり、アートに対する思いは人一倍強く、娘の為に怒ってくれた事で娘の心は救われました。汚された作品は全部白で塗りつぶして真っ白なキャンバスに戻しました。
もしこの時、僕も娘の怒りに気づかず、誰も何も言わなければ、娘は自己表現する事が嫌いになってしまっていたかもしれません。もしくは大人に矯正されて生きるのが子どものあるべき姿だと思うようになってしまったかもしれません。この教室の先生(こんな人間は先生と呼ぶに値しませんが)がしている事は子どもの心への侵略行為です。
親子でも同じです。子どものアートに勝手に手を加えるべきではありません。どうしても手を加えたければ手を加えても良いか尋ねるべきです。まあそれも価値観を押し付ける形になるのでオススメはしませんが。
この時娘が通ったもう1つの絵画教室の先生は素晴らしく、絵の描き方のアドバイスをする時にも娘の作品には手を加えず、別の紙に「こんな感じで描くとこう表現できるわよ」と教えてくれたので、娘は自分の世界を壊される事無くアートに没頭して素晴らしい作品を描き上げました。
娘にとっては最悪な経験でしたが、自分を守れるのは自分だけだという事も学ぶ機会になりました。
最近この時の話を思い出して娘と話しました。「あの時の絵画教室の奴、クソ野郎だったよな。アートじゃなくてもああいう風に強引に女の子をどうにかしようという奴がいるから、嫌だったら絶対に嫌だと言って騒げよ」と言うと娘は笑いながら「当たり前じゃん。自分の事は自分で守らないとね」と言いました。娘の成長を感じました。
たかが子どもの絵と思うかもしれませんが、子どもの自尊心や自己肯定感と大きく関わる話だと思うのでシェアします。
最後に娘は今でもアートに夢中で情熱を注いでいます。彼女のインスタも良かったら応援してあげてください。
https://www.instagram.com/julia20081119/
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![全ての子ども達が毎日ワクワクしながら人生を歩める世界を本気で願う人⭐高橋正彦](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18512561/profile_80059363bad47902dba3a18aed594b80.jpg?width=600&crop=1:1,smart)