生徒を伸ばす、コミュニケーション技術!「褒める先生、否定する先生」
これから、コミュニケーションに関する記事をいくつか連続で載せていきたいと思います。
初めは「教員から生徒へ」です。 他には「上司から部下へ」「会社内の同僚へ」などと視点を変えながら書いていきます。
褒めて伸ばそう!ってホント?ウソ?
よく、「褒めて伸ばそう!」なんてことが言われているけど、本当に褒められると子供たちは成長するの?
これは、本当です。
その昔、「オペラント条件付け(道具的条件付け)」という行動主義心理学を提唱した人たちがいました。
これからの説明はちょっと難しいです。簡単に言うと…
例1「正しい行動を褒めれば、正しい行動が増える」(正の強化)
例2「間違った行動を叱れば、間違った行動が減る」(正の弱化)
例3「間違った行動を無視すれば、間違った行動が増える」(負の強化)
例4「正しい行動を無視すれば、正しい行動が減る」(負の弱化)
これだけ分かれば下の説明は飛ばしても大丈夫です!
「子供の行動」を例に挙げて説明しましょう。
例1:子供屋の掃除をして親にアピールした→褒められる→自分の部屋をいつも片付けるようになった→もっと褒められる→家中のものを奇麗に片付けるようになった
この例のように、「自分の行動」に対して「周りの反応や刺激」が正しい方向へ進む手助けとなるものが「正の強化」といいます。
例2:親に対して汚い言葉を発した→「そんな言葉を使ったらだめでしょ!」と怖く叱る→怒られるから、汚い言葉を発しなくなった。
この例のように、「自分の行動」に対して「周りの反応や刺激」が誤った方向へ向かわないように抑制することが「正の弱化」といいます。
子供は、正しい行動と誤った行動の区別がつかず、最初はすべて正しい行動だと思って行動するものです。
例3:親に対して汚い言葉を発した→親は注意せずそのまま会話をした→子供の発言がエスカレートして、歯止めがきかなくなる
この例のように、「自分の行動」に対して「周りの反応や刺激」が誤った方向へ進む手助けをしてしまうものが「負の強化」といいます。
例4:子供部屋の掃除をして親にアピールした→親は無視をして関わらなかった→部屋の掃除をせず、片付けをしなくなる
この例のように、「自分の行動」に対して「周りの反応や刺激」が子供の思う方向へ進むのを抑制し、行動が減ることを「負の弱化」といいます。
自己肯定感を高める関りをしよう!
先の記述で、人間の学習や成長に周りの人たちが大きく関係することが分かりましたね。
ということは、「良い行動には気づいて褒める!」「悪い行動には気づいて叱る!」この当たり前なことがとっても大事になってきます。
ただ、担任の先生方や授業担当者は1人で多くの生徒を見なければいけません。当然一人ひとりの行動に気づけない場合もあります。
では、どうすればいいのでしょう?
褒めるテクニック
「悪いところではなく、いいところに注目しよう!」
人間不思議なことに、悪いところにばっかり目が行きがちです。あらさがしをしたがります。でも、これを読んでいる人は視点を切り替えて、悟りの境地に入ってみましょう。
実は、人間、良いところのほうが多いんです!
・当たり前の事でも褒めよう!
・小さな事でも褒めよう!
・注意をするときにも褒めよう!
「朝起きることができたね!」「学校にちゃんと来られたね!」「宿題忘れちゃったけど、自分で忘れたことを伝えられたね!」「授業前にトイレにいけたね!」「挨拶できたね!」「移動教室ちゃんとできたね!」「言葉遣い上達したね!」「漢字間違っているけど、使おうと努力したね!」
何でもいいんですよ。高校生になるにつれて、「馬鹿にされてんの?」って思うかもしれないけど、高校生になるにつれて褒められる数も減ってしまうからいいんです!
褒めて褒めて、褒めちぎってあげる勢いで接していくと、生徒の良い面に自然と気付けるようになります。
また、一言目に注意したり、二言目に嫌味を言ったりすることも減ってきます。
怖い先生のクラスは、生徒がしっかりしている!
褒めろ褒めろと呪文のように言っていますが、これは結構難しいことなんですよ。
褒めすぎると生徒は調子に乗って、逆に言うことを聞かなくなってしまうこともあります。また、優しい先生という印象を与え、なめられます。(特に若い先生)
逆に、強面で、口調も強く、「ダメなものはダメ!」「高校生なんだから、これが出来て当たり前!」という先生が指導する生徒は、統率の取れた、ルールをしっかり守ることが出来る生徒に育つ傾向があります。
「それなら、こっちのやり方がいいじゃん!」
私は、そんなタイプの教員ではなく、なろうとしてもなれませんでした。ですが、そういうタイプはあまり好きではありません。
よく言えば、「いうことの聞く生徒」ですが、悪く言えば「軍隊式の生徒」です。
これってなんか、生徒の自由がないし、教師の顔色ばかりうかがう生徒で可哀そう…
柔軟な発想や奇想天外な行動を全て押さえこんで、なにが教育なんだろうとすごく疑問です。
生徒をサポート出来る教員になろう!
結局、何が言いたいかって、「失敗は成功のもと」ってこと!
失敗したって褒めてあげようよ!
失敗はチャレンジしたから生まれる産物なんだよ。
そして、チャレンジは自分で考えて行動に移すことが出来た証拠!
確かに、最低限守らなければいけないルールはあります。
ただ、それさえも守ることが出来なかった子供たちが居たとしたら(居るんだけど)、怒る前に「なんでやっちゃったのかな?」って冷静に聞いて、その原因を一緒に考えて、原因を取り除いてあげられる、サポートが出来る教員っていいよね。
私の実体験「教室のドアを蹴り、荷物入れのロッカーを殴る。(高校生、男子)」
ある授業終わりの昼休み、突然の大きな音と叫び声に周囲が騒然とした。ある男の子が、教室のドアを蹴り、廊下にあった荷物を入れるロッカーを殴り、「あ゛ー!」と言いながら、立ち去って行った。
教員が事情を聞くと、「チャイムが鳴って教室から出ようとしたところ、授業担当の教員に注意された」とのことだった。
詳しく話を聞くと、「昼休みに購買でご飯を買うから、授業終わりのチャイムが鳴った時に教室を出ただけだ」ということだ。
まとめると
・授業が長引いていた
・完全に授業が終わる前に教室を勝手に出た(購買に並ぶため)
・担当教員が「まだ終わってないぞ!」と注意をした
・その言葉に腹を立てて、ドアを蹴り、ロッカーを殴り、立ち去った
結局のところ、その男の子には、その行動を起こす原因がきちんとあったわけです。また、おそらく何らかの発達障害を抱えていますよね。
こういった場合は、生徒自身の想いや考えをまず聞いて、冷静さを取り戻すのが大事です。
そして、生徒の気持ちや想いを受容し共感する姿勢を見せながらも、学校のルールや担当教員の発言を振り返り、どうすればよかったかを考える必要があります。
もし、振り返りの際に自分の過ちに気づくことが出来たら褒めてあげましょう。
確か、この生徒は器物破損かなんかで特別指導5日くらいにはなっていた気がします。詳しいことはあまり覚えていませんが
まとめ
失敗をすることは多くありますが、指導をするうえで注意や助言の他に褒めることも大切です。
そうやって、この失敗を次の成功につなげていく必要があります。
また、日ごろから褒め続けることが出来れば、「もっと褒められたい!」という気持ちが芽生え、褒められるためにはどうすればいいのかを自分で考え主体的に良い行動を起こす生徒が増えるでしょう。
頑張っていきましょう!