King&PrinceとBMSG
King&Princeの分裂の原因は「方向性の違い」と説明されている。
本人たちの口から発せられた言葉だからこれが真実だと信じるしかない。
しかし、私が考えるに、方向性の違いが生じたのは、おそらくメンバー間というよりは、事務所とメンバーの間なのであろう。
事務所の考える売り出し方と、自分たちの考える本当にやりたいことが一致しなかった。
そして、話は変わるがアイドルの熱愛報道が出ると誹謗中傷するファンも少なくない。
おそらくファンの求めるアイドル像とアイドルの自己実現欲求が一致しなかったからだろう。
アイドルとファンとプロデューサー、この三者が同時に幸せになることは不可能なのだろうか。
まずはアイドルとファンの関係性について考察する。
アイドルのファンは、ペンライトの色を推しのメンバーカラーに変え、推しの名前入りうちわを持つことで、「あなたの味方はここにいるよ」ということを証明する。
そして、アイドルが自分を見てくれていることを意味する確定ファンサをもらうことで、自分の承認欲求を満たす。
しかし、これはあくまで私の考えだがアイドルは偶像でしかない。
というより、偶像であることを求められる。
「自分はこんなに裏で練習しているよ」
「こんな厳しいことを言われるけど頑張っているよ」
そう公言するアイドルはなかなかいないだろう。汚い部分は隠してステージに立つ。
アイドルは所詮職業でしかないのだ。
「わたしが命を懸けるから あげるから
あなたは時間をくれたのでしょう」
「メフィスト」で女王蜂が歌っているように、アイドルは命を懸けてステージに立ち、ファンは自分の人生の持ち時間をアイドルを推すことに使う。
そして、アイドルが自分の求めるアイドル像から外れる行為、例えば恋愛をしたり、今までの路線とは違う方向へシフトチェンジすると批判する。
もちろんアイドルが自分を応援してくれているファンを前にして見せる笑顔が、全て嘘だとは言い難い。
しかし、ファンからの批判を恐れ、ファンを喜ばせることが何よりも優先された結果、ファンからの評判を常に気にかけ、ファンが求めるアイドル像に無理やり自分自身をはめ込み、本当の自分を見失ってしまうのではないだろうか。
「アイドルは偶像である」というステレオタイプは変えられないのだろうか。
アイドルが自分らしくいることは不可能なのであろうか。
私は不可能では無いと思う。
なぜならそれを実現している事務所が既に存在するからだ。
SKY-HIがCEOを務めるBMSGである。
BMSG(Be MySelf Group)はその名の通り、アーティストが自分らしくいられる場所である。
SKY-HI、Novel Core、BE:FIRST、Aile The Shota、edhiii boi、MAZZEL、REIKO、traineesら所属アーティストはこれまでの辛い経験について話すこともあるし、マイナスな感情も含めた等身大の彼ら自身を音楽に投影する。
また彼らは作詞・作曲・コレオグラフ等、誰もが楽曲のクリエイティブに関わる権利を持つ。
ここからはKing&Princeと同じボーイズグループであるBE:FIRSTに論点を置こうと思う。
よくBE:FIRSTはアイドルなのかアーティストなのか論争になるが、プロデューサーのSKY-HIが言うようにどちらで捉えても構わないのだろう。
実際ファンサービスを求めにライブに行く人もいるし、アクリルスタンドやトレーディングカードも制作されている。
しかし、BE:FIRSTのあり方というのは、アイドルであるにしても確実に他のアイドルとは一線を画しているだろう。
それは「Be Myself」であり、偶像では無いからだ。
喜ぶこともあるし、悩むこともあるし、恋愛もするし、怒ることもある。
ファンの欲求を満たすための道具ではないのだ。
さらに、BMSGはアーティスト自身が自分らしくあると同時に、ファンにも自分らしくある事を推奨しているように思われる。
それがBE:FIRSTのライブで非公式グッズ(うちわ等)が禁止の理由の1つではないだろうか。
BMSGは、ファンがアーティストからファンサービスをもらうことで自分の承認欲求を満たすのではなく、自立した一人の人間としてアーティストと対峙することを望んでいるのではないだろうか。
BMSGのように、ファンが求める姿よりもアーティスト本人の幸せを優先した結果、上手い具合にファンも幸せになる。この構図が理想なのではないだろうか。
BMSGの方針が日本の音楽業界のスタンダードになれば、本人達の意向次第で事務所間の垣根を超えたコラボが実現され、日本の音楽業界のクオリティが上がることにも繋がるだろう。
そしてJ-POPが世界のヒットチャートを席巻するのも夢ではないだろう。
結論として、アイドルとファンとプロデューサーが同時に幸せになることは可能であると言えると思う。
そのために、ファンはアイドルに自分の欲を押し付けるべきでは無いし、アイドルはファンの欲に見合うように活動するべきでは無い。
プロデューサーやファンは、アイドルの「自分らしさ」を一番に考えるべきだと思う。
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