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私が冬だけ「パーカーおじさん」になる理由
少し前に「パーカーおじさん」というワードが話題になった。
ご存知ない方のためにざっくり解説させていただくと───
コラムニストの妹尾ユウカ氏(27) がYouTube上で放った、「40歳近くになってパーカー着てるおじさんっておかしい」という発言に対して、堀江貴文氏などの著名人が猛反論している。
というもの。
どちらの言い分も理解は出来るけれど…そもそも「おじさんがパーカーを着る」、ただそれだけのことで盛り上がれることに驚く。
バトっているのに、その原因はなんだかちょっとピースフル。きっと、平和なのだろう。
そんなやり取りを横目に、私は二年ほど前から「パーカーおじさん」をやっている。
ただ、私がパーカーおじさんであることを友人知人は知らない。なぜなら、部屋でしか着ないから。しかも、冬しか着ない。
それまではずっと、部屋ではスウェットを着ていた私がなぜパーカーを着るようになったのか? そしてなぜ着るのが冬だけなのか? それは───
数年前の冬の夜。
私は「あること」に悩まされていた。それは、寝る時に耳がとても冷たいこと。
ただ、頭まで布団をかぶってしまえばその問題は解決する。が、それだと息がちょっと苦しい。だから、耳を温めるためにいろいろと考えた。
最初は耳あて。
![](https://assets.st-note.com/img/1737295982-F8u9cav1RQUEx2sCABk0fHJb.png)
イヤーマフラーとかイヤーウォーマーとも言われる耳を温めるもの。ただ、これらは耳の部分が出っ張っているため、なかなか寝にくい。
で、次に思いついたのが、耳の部分が出っ張っていなくて耳を温めてくれるフェイスカバーやネックウォーマーだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1737296132-bwlBTdrSHhuvNnz6JeUFktj3.png?width=1200)
見つけた時、「私が求めていたものはこれだ!」と確信した。私はすぐにAmazonでネックウォーマーを注文した。
翌日。
商品は無事到着し、早速その夜、装着し、寝た。
翌朝。
耳はとても温かかった・・・のだが、大変なことが起きた。目覚めた時、
私の世界は半分になっていた。
一瞬「えっ!?」となったが、落ち着いて状況を確認すると、寝ている時にネックウォーマーがズレて顔半分を覆ってしまい、視界が半分になっていただけだった。
これが小学生なら微笑ましいけれど、私はしがないただのおじさん。
小学生の頃、ものもらいなどで眼帯をしている同級生を見て無邪気に羨ましく思っていたけれど、おじさんになった今、毎朝起きるたびに独眼竜政宗やブラック・ジャックにはなりたくない。
私もそこまで暇ではないし、朝から大騒ぎしている場合でもない。
イヤーウォーマーもダメ、ネックウォーマーもダメとなると、他に何があるんだろう・・・と、思ったその時ふと、極めて当たり前で初歩的なことを見落としていることに気づいた。それが、
「パーカー」である。
パーカーにはフードがついている。
これなら、イヤーウォーマーやネックウォーマーのメリットだけを得られるのではと思い、パーカーを持っていなかった私は、またまたAmazonで即買いし、そして試してみた───
その夜のことを、私は忘れない。
初めて、パーカーを着てフードをかぶって眠った夜。耳は温かく、そして先日半分になっていた世界のもう半分を私は取り戻した。
世界はとても美しかった。
パーカーを着て、フードをかぶる。こんな簡単なことに何で今まで気づけなかったのだろう。
それに、音もかなり遮断されるため防音効果もあり、さらには包まれることによって何かに守られているような感じになるので、なんだか安心するし落ち着く。
しかし、良かったのは耳が冷たくなくなっただけではなかった。なんと、凄くよく眠れたのである。
最初はたまたまかと思った。でも、パーカー生活が二日、三日と続いていくなかで、そのたまたまは「確信」になっていった。とはいえ、
なぜ、パーカーを着たらよく眠れるようになったのだろう?
物事、「終わり良ければすべて良し」とは言うけれど、でも、そうなった理由がわからないとなんだか落ち着かないし、ちょっと気持ち悪い。だって、うまい話には裏があるというから。
私は、その裏について考えてみた。
パーカーを着る前とパーカーを着てから大きく変わったことといえば「耳が冷たくなくなった」ことである。となると、
カギは「耳」にあるのでは?
早速、耳について調べようと、そのカギを耳に差し込んでみたところ、とても興味深いことがわかった。
通常、人間は活動時には「交感神経」、睡眠時は「副交感神経」が優位である。つまり、よりよい睡眠をとるためには、副交感神経の働きを高めることが不可欠だといえる。
パーカーのフードをかぶって耳を温めることによって、その副交感神経が優位になり、末梢の血管が拡がり、血流が改善されることが期待できるそうだ。それによって全身の血行が良くなり自律神経が整うため、気分が落ち着き、リラックスできるらしい。
では、なぜ耳を温めると副交感神経が優位になるのか?
それは、耳の穴を中心とした中心部には副交感神経のツボが密集しているから。耳には110ものツボがあるのだけれど、人間のツボは全部で360ほどというから、いかに耳に多くのツボが集中しているのかがわかる。
耳を温めることでよく眠れるようになったその理由は、カラダのしくみを考えれば不思議でも何でもなかった。
冷たい耳を温めたい、ただその一心であれやこれやと試行錯誤していたことが、結果的に安眠効果に繋がったわけである。
寝るときに耳が冷たくなくなったらいいな、ただそれだけを願っていた私からすればとても得した気分である。私の耳、グッジョブ!である。
きっと、パーカーを着ている世のおじさんの大半は、いろんな意味で「楽だから」着ているんだと思う。
パーカーは、ただそれだけでスタイルが決まるし、外出時、突然の雨にも対応できたり、あるいは髪の毛ボサボサでもフードで隠せたりする。それに、私のように部屋着として使うことも可能だ。
もともとパーカーは、カナダ北部などの氷雪地帯に住む先住民族イヌイットが着用するフード付きの防寒着を指すとされる。アザラシやトナカイの毛皮などを使用した防寒性を重視した衣類である。
なので、私のようなオシャレ度外視な使い方は、パーカー本来の成り立ちで考えれば、それなりに正しいといえよう。
もちろん、おじさんの中にも若者と同じように「ファッションアイテム」として取り入れている人もいるだろうけれど、とにかくパーカーというのは極めて汎用性が高く、使い勝手がいいということだ。
そういえば───
少し前にあれほど話題になっていた「パーカーおじさん」、最近すっかり聞かなくなった。でもきっとまた、ほどなくして「なんちゃらおじさん」が登場するのだろう。
「ちょい不良オヤジ」とか「イケオジ」とか、もっと前だと「枯れオヤジ」が流行ったように。
おじさんはどんな時代もキモいとかウザいとかクサいとか不潔とかさんざんな言われようだけれど、もしかしたらある種、時代の「イジられキャラ」なのかもしれない。けど───
愛あるイジリなら大歓迎である。
いちおじさんとして、私はそう思っている。
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