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コミュニティデザインの現在地、葛藤

第8期となる「とよなか地域創生塾2024」が9月から開講しました。
私は今期、7期卒業生・8期生のサポーターとして関わらせていただくことになりました!定期的に関西には行っているので、なるべくタイミングを合わせて参加できたらと思っています。

Day3となる10月6日(日)は、「コミュニティデザインと言えば」のstudio-L 山崎亮さんからお話を伺いました。山崎さんは私がまちづくりや地域コミュニティに興味を持ち始めたきっかけの方でもあり、お話が聞けるのをとても楽しみにしていました。
今回お話を聴いたことで、これまでの活動を振り返る機会にもなったので、そのあたりはまた別途書けたらと思います。講座後にワーっと書いた文章を改めてnote用にまとめているのですが、後から色々とでてきてまとめるのに時間がかかりました。

studio-L の 山崎亮さん
お話を聴くのは福岡で開催された抱樸(ほうぼく)のイベント以来、2回目でした。

約20年間の活動を振り返ってーー”チャラかった”

山崎さんはこれまで、私が生きてきた年数と同じくらいコミュニティデザインの仕事をされてきました。その方の口から出てきた、「根本にある考え方を共有しながら活動できていなかった」「これまでやってきたことは”チャラかった”」という言葉がとても心に残りました。藤本さんも、これまで様々な活動を展開し多くの人を巻き込んできた中で、それでも「広がっている気がしない」と同様におっしゃっていました。
恐らくこれは地域で活動する人(まちづくり人口的な)という具体的な人数よりも、活動を通じて社会に浸透させていきたい考え方、価値観、文化のようなものがまだまだ広がっていない、という意味なのかな(あるいはその両方)と思います。
ここにあるも、デザイン面へのこだわりや「あそび」からはじまるコンテンツなど、入口のハードルを低く、まずは楽しくやることからはじめられているとは思うのですが、それが「広がっていない」と感じるのはなぜか、そこを阻むものは何なのか、どのようにしたら広げていけるのか、気になりました。一方でこの感覚は、これまで数多くの取組をされてきた方だからこそわかることなのかもしれない、とも思いました。いったい彼らはどういった未来を描いているのか、その未来の大きさの中で今の現状を見た時に「まだまだ」という手ごたえのなさを感じているのだろうか、経験の少ない私が想像するには難しかったです。でも人や地域の変化は何十年も経たないと分からないことでもあります。こうした葛藤の中で日々模索されているのだと、改めて思いました。

改めて、「コミュニティデザインはなぜ必要か」

山崎さんと藤本さんから投げかけられた「なぜコミュニティデザインは必要なのか」「なぜこの活動をするのか」「どのようにしたら広げていけるのか」という問いは、私にとっても重いものでした。

今の社会は、市場経済が中心で、不安な将来のために貯蓄したり、自分の好きなものにお金をかけるために、毎日朝から晩まで一生懸命働いている人が多いです。そんな毎日働き詰めの人たちからしたら、地域活動はもの好きたちがボランティアでやってる非生産的な活動であり、そのためコミュニティベースの活動には目が向けられない、理解が得られにくいということがあります。

”消費的”な生き方と"活動的"な生き方
この2つは完全に分けきれるものではないけれど、バランスよく生きる人が増えたらいいなと

私も、大学生になっていろいろ動くようになってから、出会う大人に「自分が学生の頃はそんな地域貢献的なこと一切していなかったし、遊んでばかりだった。すごいね。」と言われることがよくあります。別に今の自分がやってることも、何も変わらず遊びのひとつだと思っていますし、選択肢の中にこうした活動が普通にある社会に変わっていったら(理解を示す大人が増えることも含めて)、もっと活動的な人も増えるのかな、と思ったりしました。

まずはどの層にアプローチしていくのか、というところ。
地域社会との接点があるのは、地域で事業を営んでいる方(自営業、経営者の方など)や、リタイア後の高齢者の方などが多く、そうした人の中から、興味ありそうな人、面白そうな人を発掘して巻き込んでいくという方法もあります。また、近年企業の社会貢献、地域貢献活動も増えてきましたが(形だけの活動が増えないように祈りながら……)、ここにあるのように、こうした社会の動き、企業の動きにアプローチ変えていく方法も、より社会の動きや仕組みを変えていく上ではインパクトがあるのかなと思いました。でもこれは山崎さん的には、市場経済に飲み込まれていく可能性ももあるとのことでした。
一方で、自分は公共の側から変えられることもあるのかもしれない、と行政の視点に立つ中で思いました。市場経済に左右されない(はずの)立場で、地域の最前線で動いている行政職員。あるとき、民間企業で働く方から、「公務員は身分が保証されているのだから、失敗を恐れずもっとチャレンジしていけば良いのに」と言われて、確かにそうだと思いました。そして、そうした動き方が実際にできることも、この一年でわかりました。

また、働き方を変えていくことについて。
山崎さんはここ2年ほど、1日4時間勤務を実践されているそうです。週5日の8時間労働ではなく、もっと柔軟に働き方を変えていけたら、活動的な時間も生み出すことができるのになと思いました。例えばライスワークはできるだけ最小限に抑えて、あとはライフワークや活動的な時間に充てるようにしたり、両者が区別なくうまく繋がっていたりするのが理想的だなと思います。
福井市では「福井市版20%ルール」というものが制定されました。

福井県福井市は勤務時間の20%以内を担当業務以外に充てることができる制度「福井市版20%ルール」を9月1日から導入している。
各課が抱える課題や若手職員の提案を事業化する「チャレンジみらい予算」など、部局横断的にメンバーを集めてチームで取り組めるようになる。より良い施策実現に向け職員の能力を活用しつつ、市民サービス向上などにもつなげる。

福井新聞ONLINE 2024年9月8日配信

また今後、AIやテクノロジーの発達で業務効率化が進んだり、いわゆる生産的な「労働」の時間がAIやロボットに取って代わったりしたら、その分の時間を人間は創造的な時間に充てられるようになるかもしれません。絶対的ニーズについては、ベーシックインカムなどの制度でカバーするといった方法もあるかもしれないと思いました。
働き方に関して、企業で活動的に取り組んでいる有名な事例としては、京都信用金庫の課題解決型店舗の取組があります。窓口業務は午前中のみで、午後はまちづくりの取組に充てるという、とても面白い働き方を実践しています。こうした取組からヒントを得ることも面白そうだと思いました。


活動的な生き方ーーわたしの場合

「消費社会のなかで活動的な生き方をする人を増やしていくには」という話を聴いて、自分であればどんな生き方をするかを考えた時、去年一年間働いていた京都市での仕事スタイルが私的には一つの理想かもしれないと思いました。

アルバイトといっても公務員なので、1日7時間45分と決められた労働時間ではありましたが、仕事内容はコミュニティデザイン的で、地域の人と公園の使い方を考えるワークショップを開いたり、イベントをしたりしていました。
(余談ですが、藤本さんのイントロの話を聴いて、イベントは関わる人みんなと共有したい景色を実現するために、それまでのプロセスを楽しむことを含めて達成するための手段なんだと改めて思いました。)
業務としては圧倒的に事務作業が多かったですが、残業を付けられないアルバイトであることから、定時で退庁して、そのあとはとよなか地域創生塾をはじめ、ソーシャル系、地域コミュニティ系の講座やイベントなどに参加する日々を送っていました。おかげでたった一年で驚くほどたくさんの方と出会い、ネットワークを築くことができました。
もともと一年間しか住まない予定だったので、荷物も必要最低限のものしかありませんでしたし、特に物欲(相対的ニーズ)もなかったので、いただく給料から生活費(絶対的ニーズ)を差し引いても少しお小遣いが出るほどでした。シェアハウスに住んでいたので家賃・光熱費がだいぶ安く抑えられたのは大きかったです。そして飲み代は学生特権でだいぶ安く抑えられておりました。(おとなの皆様、本当にありがとうございます。この恩は次の世代に還元させていただきます、、)
給料については、(行政の非正規職員の低賃金が問題になっているほど、本当に低いですが)自分の感覚としては、「こんなに楽しい仕事してお金もらえるんだ」という感じでいました。
工夫して生活コストを下げれば生きていけるのかもしれません。

自治や共助の仕組みとビジネスの仕組みの両立

藤本さんのまとめの言葉で印象に残ったものです。
これまでまちづくりは、住民参加、市民協働と言われ進んできましたが、最近は住民自治「自分たちのまちは自分たちで」に重きが置かれていると個人的には感じています。
形式的な参加型、行政任せではなく、住民たちが自分ごととして捉え、主体的に動いていくか。その際の障壁をどうやって取り除いていくか。そこが、入口のハードルを下げることや、持続可能な在り方の指すところだと思います。そこには、ビジネスとして成り立たせていくことも必要になるかもしれません。私はこのビジネス的なところが全く経験も無く、食わず嫌いで避けてしまっているので、学んでみたいと思いました。
個人的に、最近ボーダレス・ジャパンが公民連携室を立ち上げたことがめちゃくちゃ気になっています……!

まずは信じる、たのしむ

あれやこれやと書き連ねましたが、やはり、「きっと今やっていることが未来をちょっとでもよくしているだろう(+今の自分もたのしい)」と思えていることが何よりも大切なのかなと思いました。
何年もまちづくりの活動をされてきた大先輩でも、日々悩み考えながら動き続けているのだと。今回自分の中で一番心に残ったのは、活動を続ける大先輩の姿勢でした。

「考えてるフリして悩んでるだけ。行動しないと何も始まらないし考えてもない」と言われたのがグサッと刺さっているので、自分に活入れていかないといけないなと反省しました(いったいこれを何回繰り返えそうとしているのだろう……)。

思考を深くしていくのはもちろん、アウトプットもたくさん出していきたいです!!!

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