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003「58才の転職記」S社のこと その1

当面、月曜日と木曜日に更新、を目標にします。


そんなこんなで、私は出向元に帰ってきました。
私は大学を卒業して新卒でこの会社に就職し、出向はありましたが転職したことはなかったので、経験した会社は一社だけでした、33年勤めていたので、勝手知ったる我が家のような会社です。

振りかえると、私が就職したのはバブルが弾ける前。就職活動はとても楽でした。ゼミの先生のコネが効きそうな企業を示してくれて、行きたいところを選んだら概ね入社できました。今では想像できないですね。

入社してハイビジョンのビデオの開発部署に配属されました。花形の職場でしたが、残念ながら実力を開花できませんでした。職場コーチの先輩とケンカしてしまい一緒に仕事ができなかったことも大きかったです。

そんなとき「技術企画」のお仕事を勧められました。研究所の研究計画などの策定に関わるお仕事。新しく千葉にビルができて、栃木から数名が移動するらしい。私は勧めに応じ、技術者を捨て、今までの職場を捨て、千葉行きの便に載せてもらいました。入社3年目のことです。
以後30年余「技術企画」のお仕事をやってきました。

この会社では、技術者が能力を発揮して、特許をたくさん書いて、認められて昇進するのが普通。私は出世コースから外れたことになります。
それでも、平社員ながら、研究所の研究計画などに携わることが出来たので、私は誇りを持って仕事をすることが出来ました。

この会社、私が出向しているときに、経営危機で希望退職を募りました。私は出向先に迷惑がかかるので手を上げませんでしたが、お友達がたくさん職場を去りました。その後、外資の支援を受けて、何とか持ち直しました。

勝手知ったる我が家のようなこの会社、給料が少ないことを除けば、ポジションは安泰だし、このまま定年まで勤めて、出来るのなら定年後もここで勤めて、というのをぼんやりと考えていました。

しかし、出向の6年間で見聞きした外の世界での出来事や経験が、私に化学反応を起こしていたようです。


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