小田急線ゲーム、ミニ
1日フリーになった月曜日。
町田まで自転車で走ることにした。
少し遠乗りをして、帰りは電車で帰る、ということをいくつかのルートでやりたいと今年は思っていた。
大船、高尾、大宮などなど。
何故か町田にも行きたいと思っていた。
こういうサイクリング、今年は最後かもしれないと、行くことに決めた。
町田へはルートがだいたい決まっている。
学生時代にクラブの部室が2つあり、その一つが川崎市の生田だったので時々、自転車で行っていた。町田への途中にあたる。
生田に向かう途中、東高円寺から多摩川まで真っ直ぐに「水道道路」という道があり、交通量が少なく直線距離で行けるルートがある。
三十年振りだろうか、そこを走ることにした。
入口の、青梅街道、東高円寺交差点を過ぎてすぐに南に曲がると、急に都心の喧騒が消えて、鳥が鳴き、お寺の線香の匂いがしてくる。
水道道路というと、坂のないフラットな道を想像するかも知れないが、ゆるいアップダウンがひたすら続く。
学生の頃はものすごいスピードで走っていたのであっという間だった気がするが、ヘタレの今は結構長かった。
この道路は閑静な住宅街で飲食店はなかった記憶があるので、それまでに朝食プラス昼飯を食べようと思ったが、青梅街道沿いに、なかなかこれだという店がない。
ほとんどがチェーン店で、個人経営の店はおしゃれな感じで、どちらも、あえて入る気持ちになれない。
そのまま荒玉水道に入る。
大丈夫そうだ。
まだお腹に、エネルギーは無尽蔵にある。
真っ直ぐな道ではあるけれど、細い道なので大きな道と交差すると、交差点に信号がなく、少し横にずれなくてはいけなくなる。
環状八号線と交差する時、信号で渡るために右側に少し走った。腹が減っている。
信号で待っていると、あれっ、なんか気になる店があるぞ、と信号が青になるのを待った。
渡る。
大きなビルの一階だが、何かの理由で、もともとあった店を建て替えてビルにしなきゃいけなくて、その一階に改めて店を構えたような感じだった。
外見に味わいはないが、きっと昔は外見も味わいのある店だったんだろう。
ここしかない!と店内に入ると、店内は全く昭和の雰囲気。
床は油で少しペタペタする。
厨房に二人、ホールに一人。
年配の人と、ひと世代若い人が調理をしていて、雰囲気からして旨そうなオーラが漂っている。
入って良かった。
担々麺と餃子3つのセットを頼んだ。
基本的なラーメンは700円台だが、担々麺は1100円だった。
これは面白い。
美味しいか、それとも…どっちだろう。
まず餃子が来た。
美味い。
奇をてらってないけど、美味い。
人の血が流れている美味さだ。
担々麺が来た。
こだわりの細麺、コシがあり、縮れている。
本場中国の本物の担々麺とは違うかも知れないけど、日本人が美味いと思うスープを丁寧に作って、それに担々麺の味わいを乗せている。
きっと基本スープに使っているものも、豪華ではないけど、良いものを使っていて、それを何より丁寧に完成させているんだろう。
ごちそうさまでした。
ここにして良かった。
出てから記念撮影
改めて走り出す。
まだまだ、真っ直ぐの道は続く。
今日は、ずっと先日読み終えた「ホワイトカラー消滅」を思い出しながら走っていた。
人口減少時代には、それぞれの人が効率的に働かないと乗れ越えられない、と言っていて、それは何より自分に突き刺さっていた。
自分は効率的に働いているだろうか。
効率的に働かない選択もあるが、自分はそれで良いのだろうか。
まだまだやるべきこと、やれることはある。
一方で、超温暖化で、普段は夏にしっかり稼ぐことで1年のバランスをとっていた方式が崩れた。
来店数が大幅に減ったし、自分も1日を終えるだけで精一杯で、何の気力も沸かなかった。
これからの店舗経営をどうするか、ずっと考えながら自転車に乗っていた。
◇ ◇ ◇
町田に行く場合、水道道路は多摩川ギリギリまで続いているが、世田谷通りとぶつかったら、世田谷通りに行くほうが近道だ。
学生時代に何度も往復した道だけど、世田谷通りもほとんど記憶にない。
少し道が広くなったエリアが増えた気がする程度。
生田を越えると、ほとんど知らない道になる。
登りが増えて、道路幅も狭く、走りづらくなってくる。
新百合ヶ丘まで来ると、街が近代的になり、道が走りやすくなる。
鶴川からは線路沿いの道をグーグルが推奨するのでそちらを選んだら、えげつないアップダウンになった。
気づくと徒歩の最短距離を選んでしまっていた。
和光大学の農業実習のエリアは、のどかだった。
自転車で街を目指す時、だいたい最後は下り坂になる。
しかし、そうじゃない街があり、町田もそうだった。
町田の街は高台にあるんだろうか、ヒイヒイいいながら、ゴールを迎えた。
町田は賑やかな街だった。中心街は自転車に乗って通行できない人通り。
しかし、ほとんどはチェーン店。
賑やかな街と、自分が思う美味しそうな街は、違うんだなぁ、なくなっていくんだなぁ、と思った。
労働力が足りない現状で、個人経営の飲食店をやるとしたら、高付加価値の店をやるしかなくなる。
それか、借金がなく、店舗兼自宅で年金をもらいながら、のんびり続ける町中華的な店舗か。
まぁ、自分もやれることはやっていこう。
◇ ◇ ◇
町田が余りに賑やか過ぎて、ゴールにする気持ちになれず、次の駅の相模大野でフィニッシュ。
相模大野で乗る各駅停車は、ほとんど始発状態の空席率で、代々木上原まで。
そこから千代田線始発に乗り、町屋駅で降り、小田急線ゲームは終わった。
明日から、年末に向けて、ギアを、一つ上げよう。
延べん棒と書いて、ノベンバー。