GODIVAと煩悩
うちの店は日曜祭日が休日。
普段なら午前十時頃に起きて、自転車で都内を走るのが習慣。
今日は洗濯や子供の食事など頼まれていた。
洗濯など前日にできることは土曜日の夜に済ませ、合羽橋に向かった。
自転車に乗る言い訳になるくらい、合羽橋で仕入れるものがあった。
包材は値段が倍になってなっている。
午前十一時までに、浅草の国際通りに着かないといけないので、焦って買い物を済ませ、隣町の浅草へ急ぐ。
もう5年近く、2週間に一度は通っている一人火鍋が楽しめる店に行くためだ。
以前はそれほど人気店ではなかったのだけど、2年ぐらい前から、突然並ぶ店になってしまった。開店時に席に座れないと最低三十分は待たなければならない。
それでも開店10分前に並べば、大丈夫。
一日家にいるのはどうにかなるが、火鍋が食べられないのは厳しいので、合羽橋仕入れを理由に一人火鍋へ。
今日ばかりは開店と共に入れないと、スケジュールがギリギリで家のことが全うできない。
どうにか開店と共に入ることができ、美味しくいただき、家に戻る。
娘のリクエストでハンバーグを作るのだ。
天ぷら以外の料理はよくわからない。
クックパッドでは三十分でできると書いてあるができるだろうか。
昨日買い忘れていたパン粉はあった。
これで大丈夫だ。
さあ、作るぞ。
まずは玉ねぎを炒めるらしい。
少しずつ、柔らかく、色付いてくる。
次はひき肉やパン粉と混ぜるわけだな、とスマホを見ると牛乳も必要らしい。
ハンバーグって牛乳も使うのか。
うちには牛乳いつも何本もあるよなと、冷蔵庫を開けると全くない。
約束の時間までにハンバーグを作りたいが、牛乳?!
ふと冷蔵庫を見ると豆乳があった。
よし、これでいい。豆腐たっぷりハンバーグがあるくらいだから大丈夫だろう。
無事にハンバーグは完成した。
ハンバーグを考えた人、すごいな。
やり切ったら、どっと疲れが来た。
洗い物を適当に終わらせて、部屋で昼寝をした。
何か風邪のひき始めのような、疲れの取れない感じで起き上がると午後四時。
今度は、一週間後の母の一周忌のお供え者として、洋菓子を松坂屋に買いに行く。
体調は少し戻った。
もう少し体を動かしたい。
上野まで歩いていくことに。
どんよりとした中、西日暮里、谷中墓地、上野公園から松坂屋へ。
東京藝術大学では今日は試験だったそう。
そして、息子の高校と藝大が隣り合わせだったと初めて知った。
壁を乗り越えれば藝大に入れるぞ!
上野公園は曇で暖かくはないが、たくさんのカップルがいた。
頭の中で勝手に、カップルごとの物語を作り始める。
幸せは人の数だけ違うから、自分にとって何が幸せか気づけたら、一番幸せかもしれない。
上野公園の南の入り口は昔から桜が咲くのが早くて、今日も咲いていた。
世界中の人が写真を撮っていて、平和ってこの瞬間のことだな、と思った。
松坂屋では、デパ地下にスイーツがあると考えて行ったが、惣菜系のものばかり。
あれっ?いまデパートってこんな感じなの?と慌てていると、何と一階の化粧品コーナーに隣接してあった。
なるほどね~、と納得して洋菓子売り場を何度も歩き回る。
お寺さんでの一周忌のお供物は、法事が終わると持ち帰るときもあるし、お寺にそのままお渡しする時もあるという。
普段洋菓子コーナーには行かないので、どんなものがいいか悩んだ。
一つ分かったのは、同じ値段でもボリュームを出すもの、小さめでも高級感を出すものなどなど、いろいろあること。
自分の予算、大きすぎない感じ、包装の季節感などで候補を絞る。
これが良いなぁと思ったら、GODIVAだった。
さすがマーケティングできている会社だなと思った。
一周忌と伝えると、リボンを取り外し、白い紙に薄い灰色でGODIVAと書かれている紙に包んでもらった。
そして、紙袋は松坂屋の袋ではなくGODIVAの袋で渡してもらえた。
ああ、これで恥ずかしくなく、一周忌に望める。
一周忌は煩悩の塊なのである。
今日一日の任務を終え、夕飯は作らなくていいことになった。
久しぶりに、近くにある、前によく行っていた
御徒町の安いチェーン店居酒屋「清龍」へ。
いまだに低廉な値段で、ボリューム感がすごかった。
あまり自由だと、かえって代わり映えしない休日になるが、任務のお陰でいつもと違う一日を過ごせた。
長文のグダグダ話にお付き合い、ありがとうございました。