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毎日の暮らしを豊かにする余白/言葉の余白
今日、少し地方の訛りが入った方とランチをしました。
日本各地の言葉
日本には、実に多くの言葉があります。アイヌ語、津軽弁、茨城弁、名古屋弁、京都弁、大阪弁、広島弁、福岡弁、鹿児島弁、沖縄弁・・・と、挙げればきりがありません。
以前、能楽師の方から興味深いお話を伺いました。
江戸時代、お能は武士のたしなみとされていました。
時代は参勤交代。江戸には全国各地から武士が集まっていました。ご存じのとおり、日本各地には方言があり、それぞれの言葉では意味が通じないことがあったようです。
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私の出身の島根には、出雲大社で有名な出雲と石見の2つの国がありました。私は石見地方の生まれですが、就職したとき、出雲地方にある松江で勤務しました。ある程度都市化している松江の方は良かったのですが、少し田舎に入り、ご年配の方の話す言葉は、理解することが難しく、電話で顔の見えない相手と話す話に出ることが怖かったことを覚えています。
話を戻します。江戸時代、全国から集まった武士たちは言葉が通じにくいこともあったでしょう。しかし、武士のたしなみとしてお能に触れていたので、お能の言葉が共通言語のような役割を果たしていたようです。
地方の言葉は文化そのもの
日本はそれほど広い国ではありませんが、各地にそれぞれ発展した特徴ある方言があります。言葉は、単なるコミュニケーションの道具ではなく、それぞれの地域の文化や歴史、人々の考え方や価値観を色濃く反映しています。まさに「方言は文化そのもの」と言えるでしょう。
こうした方言を持つ国は、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなど歴史の長い国に多く存在します。
言葉を無くすことは、多くの場合、文化を無くすことに繋がります。言葉は、文化を伝承し、表現するための重要な手段だからです。
そして、方言には、その言葉でしか伝えることができない。微妙なニュアンスがあります。
昔話や歌、伝統的な儀式などは、言葉を通して伝えられます。言葉が失われると、これらの文化的な遺産も失われてしまう可能性があります。アイヌ語には、自然や動植物に関する豊かな表現があり、アイヌの人々の自然観や世界観を理解する上で欠かせません。アイヌ語が失われることは、アイヌ文化の重要な部分を失うことになります。
地方で独自に発達し、文化を伝えている言葉。私たちは、それを大切にしたいものです。