「ボールルームへようこそ」を見てほしい
ご無沙汰しています。
唐突ですが、私が一時期考え事を刺激されたアニメの話を書きます。
ダンスのアニメですが、教育の視点で見てしまったという記事です。
まずこの記事では宣伝と個人的な見どころを中心にして、
なぜ見てほしいのかを軽く書いていきます。
おそらく後もう1つか2つ程度記事を書く予定です。
○「ボールルームへようこそ」とは
社交ダンスをテーマにしたマンガ・アニメ。
作者は竹内友さん。
現在も連載されており、先日最新刊12巻が発売された。
現在、2022年11月1日~30日まで
Youtubeにてアニメ全24話が全て公開されているので
ぜひ見てほしい、というのがこの記事の話であり、
モチベーションを突然復活させたきっかけ。
何の先入観もなく見たい方もいると思うが、
以降はネタバレも含むので先にアニメ第1話のリンクを貼っておく。
*マンガとアニメで細かい表現や構成が変わっている可能性はあるが、
この記事ではアニメでの内容を中心に書いていく。
自分はアニメから入ったのでおよそ5年前にこの作品を知った。
(後にマンガも買ったが、マンガ1巻の初版は2012年だったかと思う。
知り合いに貸して今手元にないので確認できないが。)
5年前の時点では、とあるダンス大会終了までがアニメの中で扱われた。
自分はダンス経験者でもないし元々関心が高いわけでもない。
なのでダンスそのものについてやその周辺の内容については、
多分に私の想像や偏見が入っている可能性があることは
念頭に置いておいてほしい。
また、自分はどうしても教育や人との接し方なんかに
意識が向いてしまうので以降の記事の内容は
作者の方やアニメの制作陣の思う捉え方ではないかもしれない。
ただ、それでも自分の思い、あるいはその周辺にある他の考え方を
別の形で表現されたような感覚がして、
すごく熱心に何度も見てしまったアニメである。
○主人公はダンスを始めた中3男子
主人公、富士田多々良はストーリー開始時点で中学3年生。
特に好きなことや将来の夢などがなく、
進路をどうするか迷っている、というところから始まる。
そしてたまたまダンススタジオに連れ込まれ(?)、ダンスと出会う。
明確な理由は表現されていないと思うが、
なぜかダンスを習うことを希望した多々良は
ここからダンスを始め、その中で様々な人と関わっていく中で
成長か、あるいは進化か、あるいは変化をしていく。
この捉え方は人によって変わるかもしれない。
多々良は特段、これといった運動経験があるような様子もなく、
ダンスのレッスンを受けていても
中々周りの思うようには育たないようなシーンも描かれる。
しかし、替え玉として突然大会で踊らされたり、
急にほぼ初対面の女の子とパートナーを組むことになったり、
そんな中で多々良に“なぜか相手に合わせて踊ることができる力”(*)が
あることが早い段階で明らかになる。
*この表現が適切かどうかはわからない。
“フォローが上手い”みたいな表現はアニメ内にもあるが、
そのまま書いてもあまり伝わらない方もいると思うので
あえて自分なりに表現を変えている。
また、そのことやまた少し別の理由で
多々良の近くにいるダンサー達は刺激されているシーンも散見される。
周囲にいるダンサーは何人も描かれているが、
かなりキャリアがあったり、大会では注目選手となるような人たちも多い。
そんな人たちから見てもダンス自体は素人だが、
“こいつには何かある”という感じ。
ただこれは、もしかしたら多々良の周囲のダンサーたちは
もっと明確に多々良のもつその“何か”をつかんでいて、
自分がうまく感じ取ったり表現できていなかったりするだけかもしれない。
○評価されないダンス
そんな感じなら、実は多々良にはダンスの才能があって、
大会でどんどん活躍するような内容だろうと思うかもしれないが、
実はダンス大会での審査・評価は全く高くない。
アニメの最終盤くらいになれば評価されるシーンも見受けられるが、
多々良自身のダンスがうまい、すごい、という評価はほとんどない。
その理由の明確なところはもちろんアニメを見て
楽しみながら知っていただきたいのでここでは簡単に書いておく。
それは素人だからということもあるのだが、
そもそもダンスのカップルにおいて男性の役割はフォローではない、
というところにある。
男性にはリードと呼ばれる役割があり、
曲の中でどのようなダンスをするのかを中心となって
構成していくような役割だと思われる。
一方、女性にはフォローと呼ばれる役割があり、
男性の構成したダンスに合わせて踊るような役割だと思われる。
ダンスの明確な規定やルールはわからないが、
その役割分担を交代して踊ることは基本的にはない、
ということなのだろう。
この多々良にリードする力がほとんどなく、フォローに優れていることが
ストーリーの中で色々な形で表現され、
それがいろんなダンサーを刺激し、またダンスそのもの、
あるいは自分からすれば人との接し方、対話の仕方を示してくれる。
○最初に引き込まれたシーン
見始めた当初はこれといった理由はなく、何となく見ていた。
BGMがとても耳障りのいいものが多かったし、
ダンスというジャンルにあまり触れてこなかったので
その新鮮さもあったというあたりが中心だろうか。
そんな中、はっきり見ようという意識が芽生えたのはアニメ第5話の終盤。
ほぼ初対面の女の子とカップルを組むことに決まるシーンがある。
このシーンでは相手の女の子が意図する方向へ、
それを汲み取って導くように、と多々良は言われる。
もちろん打ち合わせも練習もないし、
どっちに行きたいと言葉で伝えてくれるわけでもない。
それでもただ相手を見つめながら、
多々良はどんどん動いていき、見事にやり切る。
ここから4分ほど、ちょうど曲が終わるまでのシーンなので
よければ見てほしい。
○リード&フォローという概念
アニメの中ではもちろんダンスの用語として用いられるが、
フォローという行為・概念を相手の意図や目的、気持ちを汲み取り
それに応えたり、それを支えたりするものだと考えた時、
それはそのまま教育に当てはまるような感覚があった。
現在、“支援する”という行動や概念は
教育の中にかなりはっきり存在するものになっていると思うが、
これにとても近い印象をもった。
そしてその支援を果たすために、
相手がどんなことをしたいのか、何を考えているのか、
どんな気持ちなのかを察したり想像したりしながら
相手と向き合う必要がある。
一方、リードという行為・概念も存在すると考えた。
現在なら理想的な感触で言えば、子どもが何をしたいか、
どうなりたいかを中心にするようなイメージだろう。
また、授業で何を行うか、教師が何を教えるか、子どもをどう育てるか、
そういった意味で捉えるならばそれもリードに当たるように思う。
これらのバランス感は人や経験、考え方や文化や時代によって
おそらくかなり変わる。
アニメの後半では多々良はよりリードする力を
求められる展開になっていくが、
その中で様々な葛藤や苦悩が描かれていく。
次の記事ではより具体的に自分は何をどう考えていたのか、
ということを中心に書いていく。
ネタバレもかなり出てしまうと思うので
よければアニメを見てから次の記事を読んでいただければ
よりわかりやすいと思うし、
アニメも楽しめると思うので関心があればぜひ視聴していただきたい。
最後にもう一度、アニメ第1話のリンクを貼っておく。