0312 ハードケースについて
ハードケースとはコンサートの映像などでベースの後ろなどにチラッと映っている銀の縁の黒い箱、という言い方が一番ポピュラーであろうか、つまりは機材を入れるためのケースである。
機材を取り出した後は机代わりに使用したりする。
このケースが非常に大切であり、センスを求められる。
ハードケース自体は実は全てオーダーメイドで採寸し、その機材にあったケースを作ってもらう。
この事は割と驚かれる方が多いのではないだろうか、機材を買ったらケースが付いてくるわけではないのである。ケースはケース屋さんに製作を依頼する。
私のところは30年以上ARMORさんという下町のケース屋さんにお願いしている。
いわゆるツーカーでやりとりが出来るのでコミュニケーションを取りやすいしレスポンス良く動いてくださる。さらに細かい部分までこっちのリクエストを汲んでくれ非常にありがたい会社さんだ。
ケースを頼むというのも簡単ではなく、ケース自体の色やキャスターの大きさ、取手の数や種類、ウレタンの厚さなどいろいろな要素が絡んでくる。
もちろんケース屋の営業さんのこれまでのノウハウがあるので、ある程度は問題なく提案してくれる。
しかし、現場で使う自分たちが一番使いやすいようにカスタマイズするのがこのケース製作の醍醐味であると私は思っている。
なので現場に行った際に他社さんがどう製作されているかはとても気になるし、勉強させてもらえる、海外のチームとやる時などはケースに対する考え方が全く違うのでとても新鮮だ。海外はフォークリフトなど重機をつかってケースを運ぶことが多かったり、運用に関してスペースが広い場所を前提に想定している。日本の小さなエレベーターに乗せることなど微塵も考えてはいない。
もちろん自分だけの考えだけでなく、ケース屋さんと相談し、こんなパーツはないのか、これだったらこうできますよ、等、一緒に知恵を出しながら製作されるケースにも1つ1つ思い入れが入ってくるし、大切に扱おうと思えてくる。 凝りすぎるとコストもその分跳ね上がってくるのでその辺りも知恵の出しどころなのである。。。
といってもこの作業は経験が大切であり、作れば作るほどその知恵を社内にためていくことは必要である。
現場が続く場合などは、仕込んでー本番やってー撤去してートラックに積み込んでー移動してートラックから降ろしてー仕込んでー...
という作業が続いていく、そのような時は当然効率を良くする為に使う機材などをまとめてラッキングする。
そのような時は大きなケースにいくつも機材を入れてそのケース内で可能な配線は繋ぎっぱなしにしておく、そうする事で作業の効率化が進み、仕込み撤去が早くなる。
これは別のところで書くつもりだが仕込み撤去が速い会社は優秀な会社であるバロメーターだと思う、しっかりと準備がされている会社は現場での変化にも強い、少なくともスピードは大切な要素である。
いかに仕込みバラシを迅速に行うことができるか、それによりほかの要素に使える時間が増し、結果的に現場クオリティーが高くなるということが実際にはよくある。 自分たちのスキルを上げることは結果的に現場に良い影響をあたえることになっていく。
そのために考え抜かれたケースをつくる、ケースを見るだけでその会社の考え方も透けて見えてくるようなこともあるかもしれない。