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女盛りは♾️
私のお友達最高齢。
92歳と80歳の面白コンビのマダム。といっても、草笛光子と前田美波里みたいに美しくてかっこいい。一緒にいても全然年齢を感じない女子トークで盛り上がる。
元々はお客様。
入居金が億を超える宮殿みたいなシニアマンションにお住まいのおふたり。プールやフィットネス、シアタールーム。専属シェフがいるダイニング。看護師さん常駐の悠々自適な生活に飽き飽きしている、不良マダムたちなのだ。
先日はそのシニアマンションのパーティーがあったらしい。皆様綺麗に着飾って、宝石類を身につけて。専属シェフのお料理をお上品に召し上がったそう。お住まいの皆様は、社会的地位のあった方やその奥様たちで、大層お上品なのがつまらないという、マダムたち。
「青い花さん、ここには遊興がないのよ。パチンコに行きたいわ」
などと言ってくる。何贅沢なこと仰るんですか。羨ましいですよ。それに、私はパチンコはやりませんから。お連れできませんよ。
浴びるほどお酒を飲みたいのに、ダイニングではそういうわけにもいかないらしく。おふたり連れ立って外で飲み歩く。
青い花さん飲みに行くわよ!と、誘われるが。私も安全上夜の酒場へお連れするわけにもいかない。なので陽の明るいうちに楽しくお茶をする。
この日はおふたり揃って赤いコーデで颯爽と現れた。たまたまかぶったらしい。カッコいい。歩き方や佇まいが、ちっともシニアじゃない。ビックカメラでパソコンを新調してきた帰りだという。パソコンもスマホも使いこなす。こういうところが若さの秘訣なんだろう。
なんかもうお話の全てが面白くて、ゲラゲラ笑って楽し過ぎる。
シニアマンションには、いい男がいないらしい。ジジイばっか!と文句を言う。いやいや、財を成した紳士達だと思うけどね。そこにいなけりゃ下界にはもっといないですよ。それなのに、何処かにいい男はいないかしら、とか。結婚したいだの。まだ諦めていないだの。女子トークが繰り広げられる。
そんなマダム達からしたら、私はめちゃくちゃ若い訳で。いい男で悪い男が好きなんで、幸せになれないんですよねー。などとぼやくと。「いいわね、悪い男は私も好きよ。そういう男が面白いのよ!」と言ってくる。もう恋愛はいいかな、なんて思っていた私なんだけど。めちゃくちゃ叱咤激励された。「早く彼氏を作りなさい!」
「ぼやぼや帰るんじゃないわよ。いい男はどこに落ちているかわからないんだから。拾って帰るのよ!」「同年代の男なんてダメよ!20くらい若い男にしなさいよ。」なんて葉っぱをかけられ、元気になって帰ってきた。
今の自分は17歳くらいから差して変わっていない。きっと80、90になっても、今と大して変わらないんだろう。
私にはもう時間がないなんて焦っていたけど。まだこの先30年40年がある。いい男がいないとか。いい男はどこにいるのかしら?なんて言いながら、美味しいお酒を飲んでいる大人の女性になっているのもいいかもしれない。
それよりも、億越えのシニアマンションで老後を送る世界線で生きてみたい。