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豆腐メンタルって?

今日のテーマは豆腐メンタルについてである。

私は20代の前半からメンタル強化をテーマにして生きている。
ちょっと大げさだが。

カナダで大学に行っていたとき、思うように成績が上がらずとても悔しい思いをしていた。

現地の大学に入れたは入れたけれど、ネイティブの子達と比べたら、所詮私など、英語が不自由な留学生。

英語がネイティブのように喋れない=知識がない

と思われるのが嫌だった。

本当は
英語がネイティブのように喋れない知識がない

なのに。

人一倍勉強しているつもりだった。
日本語だったら思うことが言えるのに、英語だと言えない。

私よりも予習復習していない人が、前日におさらいするだけで私よりいい点を取る。日常茶飯事だった。

みんなが試験後に「あの質問意外に解けたよね」などと話しているのを聞くと、すごい嫌な気分になった。だって私にとっては難しい問題だったから。

英語が母国語の、余裕のある学生が本当に妬ましかった。

もちろん今思えば、彼らは効率よく勉強していたんだと思う。

でもやはり当時は、「なんで私はこんなに頑張っているのに」と思うことが多々あった。

周りと比べると圧倒的に低い英語力に悩み、エッセイが思うように書けずに不安な日々を過ごし、その鬱憤を週末のパーティーで忘れる、そんな日々を過ごしていたのは大学3年生の頃だった。

この生活を続けると、今まで以上にヤバくなると悟ってはいたが、理想とする成績に近づくための努力の仕方が間違っていたのか、シンプルに英語力が追いついていなかったのか、思えば思うほど不安は募り、どんどんと精神的に辛くなってきていた。

努力していても、負け続けると、人は頑張りに意味を見いだせなくなる。

頑張りをやめてしまう。

次に成功しなかったらどうしよう、と不安になるからだ。

不安が常に頭の中にあって、正常な判断ができなくなったり、より一層失敗を恐れるようになる。

周りを妬ましく思い、自分は被害者だと意識するようになる。

これがいわゆる負のループというものだろうか。

そのループの中に入っていた自分が嫌いだった。

豆腐メンタルな自分が嫌いだった。

いっそのこと固い高野豆腐かなんかになっていれば喰らうダメージも少なかったかもしれない。

だからある日私は思い立って朝5時半に起きることにした。

それで6時から大学のジムにあるプールで泳ぐことにした。

外が-10℃でも、雪が降っていても、強制的に運動することによって何か変わるのではないか、と思ったからだ。

これを1週間、1ヶ月続けていくうちに、知らず知らずのうちに悩むことは減り、成績も徐々に上がっていった。

私の意識の中に四六時中あった「不安」が運動によって軽減されたからだろう。

行動を起こしたことにより、自分に小さな小さな自信がついたからだろう。

それを機に私は定期的に運動するようになった。

法廷通訳として働き始めてからも、常に自分に
「私は法廷内で一番メンタルが強い人間だ」と暗示をかけている。

法廷には色々な役割を担う人間がいる。
判事、検察官、弁護人、被疑者、被害者、証人…

中でも、判事、検察官、弁護人は立場や意見がはっきりしている。
自分のポジションが確立されている。

通訳の私の仕事は、主に証人台に立つ人間の証言を、一字一句通訳すること。

立場上、中立でなくてはいけない。

法廷という、社会の中でもこれまでか、というくらい白黒のはっきりしている場面で、「グレー」でいなければいけない。

これが、難しい。

グレーでい続けることが難しい。

通訳中は、被害者がかわいそう、なんて被疑者はひどい人間なのか、と感じる余裕は正直ない。

でも法廷のドアを閉めると緊張していた何かが解けて、一気に疲れる。

この時に、自分のメンタルが豆腐の状態になっていないかチェックする。

チェックしないでそのままにしておくと、知らない間に精神的ダメージを喰らったまま放置することになり、後で眠れなくなったり監視カメラの映像が永遠にループで流れてきたりする。

全く自分には関係のない事件について考えたりする。

精神的なインパクトが強い、性的暴行の裁判などの場合は、終わった後に少し良さげなカフェで美味しいものを買ったりして自分にご褒美を与える。

よく頑張ったね、と一言頭の中で唱えて立ち上がり家に戻り、ジムに運動しに行く。

私が常日頃、本当の意味で明るくいられるのは、大学生の時の不安や悔しさがあったからだと思う。

精神的に崩れない理由は、豆腐メンタルになる前に自分の精神状態に耳を傾けるよう心がけているからだと思う。

心に残ったかすり傷を、
「大丈夫大丈夫、すぐ治るわ」と無視せず、
「かすり傷ついたわ〜イソジンつけておいてそっとしておこう」にするだけで、だいぶいい精神状態が保てるのだ。

みなさんもぜひやってみて欲しい。

上司がうざかった?
「あ〜私あの人の相手よく頑張ったわ。トラウマになる前に傷口にイソジンつけてそっとしておこう」ってね。



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