ITによって創られる働き方の未来とは。ソフトバンクグループOfaaSの想いと挑戦
おはようございます。アドベントカレンダーイベント TCP対談企画第8弾は、株式会社オファーズ 代表取締役の大島 吾希洋さんをゲストに迎えます。ソフトバンクグループの一員として、ITによる”働き方の未来”を創りだすことをビジョンに様々な事業を展開されております。将来の働き方について、第一線で仕掛けを投じている大島さんに、「ニューノーマル」という切り口で、これからの組織に必要なことをお伺いしました。
株式会社オファーズ 代表取締役
大島 吾希洋 Akihiro Oshima
テクノロジーの進化によって定義されるニューノーマル
本日は貴重なお時間ありがとうございます。今回「ニューノーマルな働き方」をテーマに様々な方にご意見を頂いています。この言葉に対して、どのような考えを抱いておりますでしょうか。
コロナ禍を経て、ニューノーマルな働き方が起きたのではなく、テクノロジーの進化によってニューノーマルという新しい働き方が定義され始めている、ということだと認識しています。リモートワークの技術は10年、20年前からあるものですが、日本では、ヒエラルキーのある組織構造に身を置く方が多く、周りや上司の目が気になって実践できていなかったのが実態だと思います。グローバル化が加速し、階層型の組織文化に身を置いていない若い世代も増えてきているので、新しい時代の流れが顕著に出てきている、ということだと思います。
高度成長期において自動車製造が日本のお家芸になった背景に、日本人の働き方の型のひとつが出来たことがあります。その時代に、自動車を製造するための工場や指示命令系統のマニュアルやプロセスの整備が進み、研究されてきました。当時と同じように、従来の働き方のプロセスが見直され、新たな働き方のプロセスが作られているのが今なのでしょう。
今作られようとしている新しい働き方の具体像はどんなものだと思いますか。
旧態依然の働き方では、そこに行かないと仕事ができない、そこに行かないとモノをつくるレーンに乗らない、という仕組みでした。その仕組みがすべて無くなるとは思いませんが、テクノロジーが進化すれば、その中でも、人間がやらなくても良いプロセスやタスクが出てきます。その結果、人間がやるべきことも変わるのではないでしょうか。誰かから指示されないと出来ない、そこにいないと出来ない、ということが減り、一人ひとりがより多くの裁量をもって働くことになるでしょうし、活動量も増えると思います。そして、各々がコラボレーションしていくような共創・共有をメインコンセプトとして働く人、組織が増えると思っています。
だからこそ、組織においても、「自分たちがどこに向かっているのか」という共通認識を社員間でどれだけ持てるかがこれまで以上に重要になると思っています。共創は、社外だけのものでなく、社内の人と創造しあうことを忘れてはいけません。
今日のビジネスで主流になってきているシェアリングエコノミーも、共創・共有がコンセプトです。その社会構造に日本がなっているか、というと、まだピンときません。昔は、社訓を読んで、朝礼をして、自動車を作りに行っていたのでしょうが、現代において、その在り方はしっくりと来ませんよね。
組織として、共通認識を持つ重要性
オファーズさんやソフトバンクさんは、どのように共通認識をもたれていますか?
孫さんですね、ソフトバンクは圧倒的に「孫正義」だと思います。孫さんの世界観に共鳴している人たちが働いているので、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念は社員の誰もが言えます。
実はよく誤解されるのが「情報革命」というと、ソフトバンクが何か革命を起こしていくと思われがちですが、そうではないんです。農業革命、産業革命、商業革命というのが起き、次は情報革命だ、というアンテナが立っている人たちが集まっている。そういう時代の流れを敏感に察知して、情報がどのくらいの財産となり、人々や社会にどれだけ貢献できるのか、ということについて探求心がある人たちの集団なんですね。
そういう意味で、孫さんは、情報革命後の、人間が次のステージにいく形を想像しきっています。僕たちは彼のイメージを具現化していくのが役目だと認識しています。オファーズも単なる不動産会社になるつもりはないんです。自分たちがこの会社をやっていく意義やソフトバンクのフィロソフィーに対して、僕らが実現する世界観はこういうものだよね、という共有を社員にはいつもしています。それが帰属意識となり、自分たちが集団でいるモチベーションになっていると思います。会社に来い、というのではなく、会社に来たくなる仲間になっていることが大事だと思います。その上で共創・共有し、新しい風が入ることで、革新的なものが出来るのではないでしょうか。
時代の流れを先取りした上で、人々に必要なものを提供している、ということなんですね。これからの働く場を考えたときに、人々が必要としているものはどんなものなのでしょうか。
WeWorkがよくできているな、と思ったのは、みんなで同じ空間にいたほうが新しいものが生まれるし、自分たちのお客さんを共有した方がビジネスは上手くいくし、みんなで同じ場を共有した方が質のいい環境で働ける、という原理原則をビジネスにしたところです。そのような原理原則はWeWorkの専売特許ではないですが、WeWorkはそれをビジネスに転換できたことが強かったんだと思います。
WeWorkのコミュニティチームも、ただの受付の役割ではなく、博識であったり、自分自身にアイデンティティがあったり、ホスピタリティがあることが重要で、そういうところに人が集まるんだと思います。そういう仕掛けをきちんと用意しているということなんですね。
自分が心地よいと思う空間に、人間は群れるものなんだと感じます。仕事に対しても、その「群れる」場を提供するタイミングが来たのでしょう。ニューノーマルという言葉を取ったときに、オフィスじゃないと仕事ができない、とか、オフィスじゃなくても仕事ができる、というような議論ではないと思います。オフィスの目的そのものが変わってきている中で言うと、コミュニティや帰属意識を育てていく場所、会社の存在意義を確認できる場所が、会社もしくはオフィスに求められるものではないでしょうか。
人々が本当に求めているものを事業にする
そういった変化を感じる今、オファーズさんの中でやっていきたいと思っている事業やビジョンはどういうものでしょう。
お客さんもこういう変化や流れには賛同していると思います。みんなで仕事が終わった後に、ソファで会話をしながら、ビールを飲みながら、Netflixを見る、というような環境はあっても良いと思っているんじゃないでしょうか。社員の方々が、会社に来たいな、家族も連れて行きたいな、と思ってくれるのは会社にとって財産だと思います。
様々な人が集まるような場所、環境、そういう仕掛けづくりというのを研究し、ビジネスにしようと思っているのが我々です。人が来たくなるオフィスづくり、働く環境づくり、組織づくりですね。
但し、場やツールではなく、あくまでも人にフォーカスを当てています。単に場を提供することで、改革を促進したりコミュニケーションを取りやすくするのではなく、あくまでも人ありきで変化を促していくことを重視しています。
我々のサービスによってお客さんに与える対価をもっと研究する必要があると思っています。空間デザインやWeWork等はコンテンツの一つです。既に需要はあり、世の中に必要なものだと認識していますが、それらを組み合わせて全体感を提示したときにはじめて、自分たちの存在意義が出てくるのだと思っています。なので、当社でIoTやAIを部分的に提供するのではなく、それらを全体的に組み合わせてどう人に良い影響を与えていくかを研究し明確にしていきたいと思っています。
人が何を求めているか、社会にどのような貢献できるのか、というのが主軸にあるということなんですね。
そうですね。情報革命やテクノロジーも進んでいる中で、何故オフィスが必要だと思うんですか?と聞かれることも多いです。人が求めているものという軸で考えると、人はやっぱり生きているし、人肌が恋しいですよね、それで完結しませんか?という話をすると、皆さん「そうだよね」と仰います。(笑)
どんなにテクノロジーが進んでも、やはり人間は会ってなんぼなのでしょう。リモートワークだけで働けると言われてきた1年でしたが、今だけじゃないかな、と思います。そんな世の中、悲しくないかな、と。
みんな、鬼滅の刃をわざわざ観に行って、泣くわけですよ。それが人間なんでしょう。そういう人間らしい感情や活動をもっと大事にしていく時期なんじゃないかな、と思います。