[Warby Parker レビュー]有名D2Cブランド「Warby Parker(ワービーパーカー)」でメガネを買ってみた⑦ ~完結編~
こんにちは、TCOのミカミ・リョーです。すみません、更新が滞ってしまいました。この間、いろいろネタを仕入れていましたので、ここからまたD2Cにまつわるアレやコレやをお伝えしていきます!
さて、今回は、昨年6回にわたってお届けしてきたWarby Parker(ワービーパーカー)のブランド体験レポートの「完結編」として、ミカミ的な総括です。
ブランド体験から見えてきたWarby ParkerのGOODポイント
実際に商品選びから購入まで体験してみて、これまでの記事で紹介してきたように、商品を買って届くまでずっとワクワクさせるような設計が緻密に組み立てられていた点は、すごいと思いました。
つまりは、やっぱりWarby Parkerというブランドの世界観が、しっかり具現化されたコミュニケーションだったと思うわけです。最後にキリコさんが足を運んでくれた店舗の雰囲気も含めて。Warby ParkerのWebサイト、アプリ、実店舗まで、その世界観の見せ方は研ぎ澄まされていると実感しました。
商品名やホームトライでの「遊び要素」をはじめとしたワクワク感の演出は、さまざまなD2Cブランドのお手本になるのではないかと思います。
ワクワクを生み出すWarby Parkerの世界観
GOODポイントのワクワク体験については、これまでの記事をぜひ読み返してください。とくに第3回で取り上げた内容は、そこを感じさせてくれる点が多かったと思います。
そんなワクワクの背景にあるのは、Warby Parkerの世界観です。その秘密を探るためにWarby Parkerのサイトを見直してみました。すると、ブランドに対する「想い」や「思想」を明確に示していることがわかりました。例えば、このページ。Warby Parkerのストーリーを語っています。
この中では、ブランド設立のきっかけとなったエピソードが紹介されています。翻訳ツールの力を借りて、少し引用します。
アメリカはメガネが高い。だからこそ、リーズナブルに提供したいと考えたわけです。自分たちの不満がブランド立ち上げのきっかけになったのは、Warby Parkerの世界観を理解するために重要ポイントだと思います。
実際、購入してみると価格帯は日本のJINSやZoffに近い印象でした。でも、ただ安価なだけがブランドの肝ではありません。世界観の背景には企業文化も色濃く反映されています。こちらのページには、Warby Parkerのカルチャーが紹介されています。
こちらも翻訳ツールの力を借りて、少し引用します。
ここで登場するジャック・ケルアックは、アメリカの作家・詩人で「ビート・ジェネレーション」を代表する人物です。小説『路上にて(原題:On The Road)』が、代表作として知られています。ビート・ジェネレーションという文学活動は、1950年代から60年代半ばの若者たちに支持され、その後のカルチャーにも大きな影響を与えています。
バックパッカーだった創業者が、そんなジャック・ケルアックの影響を受けるのは、当然と言えば当然の話。Warby Parkerというブランド名は、ジャック・ケルアックの作品の登場人物の名前からつけられているのも納得です。「道なき道を行く世代を駆り立てたケルアックに、長い間インスピレーションを受けていました」とある通り、彼らのつくりあげた世界観の背景には、ビートニク(注)的な思想があるのです。新入社員に、ケルアックの本を渡す儀式があるぐらいですから。
(注)ビート・ジェネレーションの思想や行動様式に影響を受けたライフスタイルを実践する者
実体験に基づくメガネに対する不満、そして「道なき道を行く」ビート・ジェネレーションの思想が、その世界観の背景にあるわけです。
と、ここまでは、Warby Parkerのサイトに書いてあることですが、ミカミ的には、こういう「想い」をストレートに表現している点が、さすがだと思いました。
最近では日本でも「パーパス経営」という言葉もフィーチャーされていますが、企業理念やフィロソフィーを正面から語ることに対して、なんかちょっとくすぐったいなと思う傾向があるんじゃないかと感じています。D2Cブランドも「想い」が大事ですが、ちょっと控えめになっちゃいますよね。
でも、アメリカの企業やブランドは、自分たちの世界観を伝えて、「私たちはこういう者です!」「私たちのブランドはこう考えているんです!」「私たちは、こういう企業なんです!」っていうところをストレートに語っています。そう語ることで、そこに賛同してくれる人を顧客にしていく。今回のWarby Parkerのブランド体験を通して、その重要性に気づきました。そして、発信する世界観をふまえてコミュニケーションを設計している好事例だったと思っています。
ブランド体験から見えてきたWarbyParkerのBADポイント
WarbyParkerは、ブランドの世界観に基づくステキな体験をさせてくれたのですが、残念なところもありました。まずは商品のクオリティについてです。具体的な内容は、第5回を参照ください。
フレームの形状やレンズにハイライトが入ってしまうなど、クオリティ面だけ見ると、安かろう悪かろう的な印象を与えかねないなと思いました。
実は、今回のWarby Parkerのレポートを、とある国内のメガネブランドで海外事業の経験もある方に、読んでもらったのです。その方から、「仕組みはよくできている」と評価しつつ、以下のようなコメントが寄せられました。
日本のメガネ業界的な所感としては、商品がイマイチだったということ。なにはともあれ、日本だと普通に通らない検査基準になってしまっているところですね。万が一、日本でこの商品が発送されたとしても、すぐクレームになって返品になってしまうでしょう。実際に購入してもらったキリコさんからも、その後、こんなコメントが届きました。
ブランド体験として、最後の最後に商品がNGだったら、もうそこでオシマイです。私たちの感覚からすると、商品に対する心配りが足りていませんね。
もう一つのBADポイントは実店舗での接客ですね。こちらは第6回でレポートしました。
オンラインでうまくできているコミュニケーションが、オフラインではフレンドリーではなかったわけです。商品同様、こちらも残念でした。ブランド体験を俯瞰すると、その理想がオフラインまで一気通貫していない。実にもったいないですね。
ミカミ的まとめ
Warby Parkerのブランド体験、まとめてみると、学ぶべき点は多かったと思います。
GOODポイント:ブランドの世界観を確立していて、ワクワクするコミュニケーション設計がなされている
BADポイント:商品のクオリティが低い、実店舗での接客の質もよくない
このGOODポイントもBADポイントも、これからの業務に活かせると考えています。これらは実体験をしたからこそわかったこと。Warby Parkerに限らず、評判のいい海外のD2C事例、これからもいろいろ研究して、ミカミ流の評価を加えていきたいです。
ぜひ、皆さんも、気になるブランドがあったら、試してみてください。ネットの記事や本も参考にはなりますが、それだけではわからないことも多いです。なお、ミカミのWarby Parker体験も、個人的な実体験と評価の参考例でしかありません。気になる方は、ご自身で検証してみることをオススメします!
ミカミ・リョー@次は何のブランド体験を検証しようか検討中