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《転がる母に苔は生えないvol. 54》私たちは、いつ日本人になったのか
今日は映画のレビュー。
「小学校〜それは小さな社会〜
The making of a Japanese」を観てきた。
山崎エマ監督の舞台挨拶も
絶対聞きたかったから、銀座まで。
ウィンドウショッピングすらせず、
帰りに木村屋で急いであんぱん買って
娘を迎えに帰る。
でも、本当は、銀ブラしたいなんて
思えないほど、頭と胸がいっぱいだった。
監督が10年かけて取り組んだ作品。
「6歳児は世界のどこでも同じようだけど、
12歳になる頃には、日本の子どもは、
”日本人”になっている」
もう、この一言とタイトルだけで
ぐっと惹かれちゃう、私。
母文化の形成は12歳ごろまでに出来上がる。
だから、この12歳までをどのように過ごすかって
アイデンティティの鍵だと思っている。
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映画を観た感想は、一言で表せられないくらい、
そのシーンごとにいろんなことを考えちゃったけど、
「親は部外者でいてはいけないな」と思った。
インターに行っているときよりも、もっと
チームの一員としてあるべきなんじゃないかと。
長らく海外で子育てしてきて、
息子が出会えなかったもの、
今、出会えたもの、
今後、娘が得られないであろうもの、
私たち親子がミスしてきたものを感じて、
少し切なくなった。
「日本にいたらどうだったんだろう」は、
絶対考えないようにしてきた。
そんなことを考えても仕方がないし、
それと比べて、足りない気持ちになりたくない。
当時、タイであるものを精一杯感じて育てると
決めていたから、できる範囲でやってきた。
だから、それに後悔はないけどね。
でもやっぱりちょっと考えちゃったよね。
学校の中のリアルを知ることができて、
息子が感じる違和感の素とか、
息子が自分は日本人じゃない、
と感じる理由の一片を想像することができた。
目の前で、移動による葛藤や
苦労を見るのはつらい。
それから、今後もっと強く抱えるであろう
アイデンティティも複雑になっていくと思うと
申し訳ない気持ちもある。
でも今、
ひと匙のJapaneseの要素に触れられているのは、
幸運だと思う。
いつかそう思うんじゃないかな。
海外の教育が注目を浴びる昨今だけど、
日本の「教育」が指す範囲と意味はとても広い。
日本に帰ることが決まり、学校を決めるとき、
日本の教育は「生きるための教育だな」
と思ったんだよね。
教育の軸が全然違う。
日本の教育では、親が行き届かない、
集団の中での生活の部分を指導してもらえるのは
実はめちゃくちゃありがたい、と
親としては思うのです。
この部分、インターではすっぽり抜けますよね。
ドキュメンタリー映画が、
日本の公立小学校で撮られるなんて
貴重な映像なんだと思う
しかも時はコロナ禍。
撮影は700時間かけて、1年間。
ふにゃふにゃで入学を迎えた1年生の
1年後の成長はすごい。
最終学年になった6年生の、
責任と周りからの期待に
戸惑いながら大人に近づいていく姿。
彼らに寄り添う先生方もまた
悩んだり成長したりしていく様子。
それを観て、
さぁ、親の私はどうする?
と問われているよう。
日本の学校の特徴は
特別活動(運動会、学習発表会、
卒業式や入学式など)
にあるような気がする。
全員参加で取り組むってすごいよね。
その準備もすごい。
その達成感は涙なしでは見れないもの。
インターを経験したから、
日本の良さも感じる。
国際移動をする家族にとって、
どんな教育を選ぶか、だけでなく、
どんな環境でどんな人に育って欲しいのか、
そしてその後どこで生きていくのか、
何をベースとして生きていくのか、
そんなことを考えさられる映画でした。
私はやっぱり、日本人であることを
ベースにして欲しいんだよね。
でも、決めるのは本人なんだけどね。
今後、タイでも上映されるみたいだから、
タイにいるみんなにもぜひ観て欲しいな。
学校選択に悩んでる人がいたら、
決める前に観れたらいいね。
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ありがとうございました。もう一度観たいです。
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《プロフィール》
子安 芙美
東京出身
夫、長男11歳、長女5歳の4人家族
東京外国語大学大学院 日本語教育修士
2013〜2024 タイ駐在帯同
2024.07〜 日本(数年後再び渡航予定あり)
帯同中に2人出産し、初めての子育てが海外でスタート
自分が育った環境や感覚、世界観が違う子どもたちを
海外でどのように育てていけば良いのか悩み、
2018年にサードカルチャーキッズという概念に出会う
子どもの視点から見る、海外で育つということ、子どもたちの苦労、
そこに必要な親からのサポートについて学ぶ
近年、日本語教育については複数言語を話す子どもの
言語教育に興味がシフト
タイにおける母語・継承語としての日本語教育研究会から学び直す
主な活動:
・臨床心理士によるTCK Podcast ナビゲーター
・OVER THE BORDER -読む聴く知る 世界の教育-
ボーダレスライター
・帰国受験の情報サイト Edu-more plusコラムニスト
・海外子育て(TCK)講座講師
・『ジャーナル「移動する子どもたち」
ーことばの教育を創発する』第14号
特集:「子どものことば」を育むとは一親子の視点から
エッセイ部門に掲載
所属学会、研究会:
・タイにおける母語・継承語としての日本語教育研究会
(JMHERAT) 会員、オンラインWSメンバー
・母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)学会会員
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