1on1からオープン・ダイアローグ(開かれた対話)へ
「クリエイティブが輝ける組織をエンジニアリングする」ポッドキャスト、CEO.FMの紹介をしました。
そこに文字起こしやるかもって書いたんですが、音声データを元にMac用アプリLoopback+Googleドキュメントの音声入力で早速やってみました。Googleドキュメントの音声入力、テキスト変換の精度がかなり高いのでオススメです(実際にはそこからnote向けの編集でかなり手を入れているのでこの記事編集自体の時間はそこそこかかってますが)。
CEO.FMの中でも、再生回数がこれまで比較的多めで収録時間が短いエピソードである29回配信「1on1からオープン・ダイアローグ(開かれた対話)へ」をの文字起こしをお届けします。
※配信は以下です。
アイスブレイク
CEO.FM第29回です。
CEO.FMでは、フィボナッチ数の配信回にお祝いをやってます。次のフィボナッチ数が34なんですよね。今29回目なのであともう少しなんですけど、記念に何をするか悩んでます。
※フィボナッチ数とは隣り合う数同士を足し合わせてできる配列のことです。1,2,3,5,8,13,21,34,...と続いていきます。
ゲストを呼びたいんですけど、お祝いのたびごとに毎回ゲスト呼ぶのも大変だしなぁと。今1人で基本やってるんですけど、まだ(1人で)話したい事も色々あったりするので、どうしようかなーっていう感じです。まあ34回目の配信はお楽しみにって感じですね。
1on1とは
本日は「1on1からオープン・ダイアローグ(開かれた対話)へ」という配信テーマで話します。
最近1on1流行ってますね。1on1知らない方の為に一応軽く解説しておくと、基本的には1on1の名前の通りで1対1で何かお話をして、基本ヒエラルキー型の組織だと上司と部下で一緒に話をする感じでやります。
私はこの1on1、あまり好きじゃなくて、もう少し違ったアプローチがあるんじゃないかなって話です。
オープン・ダイアローグとは
先ほど紹介したオープン・ダイアローグは「開かれた対話」って訳されます。
オープンは「開かれた」、ダイアローグは「対話」です。オープン・ダイアローグは、フィンランドで始まった統合失調症の治療法の1つです。日本だと、2015年に「オープン・ダイアローグとは何か」という書籍が有名です。
この書籍の著者、斎藤環さんは、筑波大の教授であり精神科医でもあります。このオープン・ダイアローグはどういうアプローチなのか。
患者さんの家族から依頼があったら24時間以内に、精神科の専門家チームが患者さんのところへ出向きます。そこで患者さん、患者さんを支える家族、そして関係者を交えて、患者さんの状態が改善するまでただひたすら対話をしていくっていうシンプルな方法です。
1on1が嫌いな理由
ところで、私が1on1嫌いなのはなぜなのかという話ですが、いくつか問題点があると思っていて、次の3点ぐらいに要約されるかなと思っています。
①情報の非対称性
1点目は、話された内容が当事者間でクローズになりがちであること。
1on1は基本的には1対1でやるので、「やる側」と「やられる側」と話している中で「ここだけの話なんですけど…」みたいなシチュエーションになりがちになります。情報がオープンになっていないのは、基本的に問題を生み出すような気がしていて、これは構造上の問題だと思っています。
②上下関係を助長する
2点目は、1on1のやり方はいろんな方法論があるけど、やる側とやられる側の上下関係が作られやすいこと。
1on1をやる側は「この時間は、基本的にあなた(やられる側)の時間です」と言うんですが、これがあまり対等な関係性の対話な感じのスタンスではなく、やる側が疲弊する関係性だなと思われる訳です。結局やる側がカッコつけがちになったりして無意識のうちに上下関係になっちゃう。この上下関係は依存関係を作ってる側面もあるので、あまり好ましくないです。
③情報の集中は権力
3点目は、1on1をやる側がいろんな人と1on1をやる過程で、最終的にやる側に情報(=権力)が集中すること。
こんな感じで情報が集中することは結局、権力になります。その1on1でしか知り得なかった情報を元に、「自分の都合良いように他人を操ろうとする」みたいな根性が出やすい構造であり、これも問題だと思っています。
1on1実施の際に気をつけていること
私もエンジニアリング・マネージャーとして、これまで1on1をやってきました(主にやる側として)。やる側として1on1を実施する場合は、前述のような構造にならないようにできるだけ配慮しています。
1on1で話した内容もできるだけクローズにしないで「XXさんはこう言ってたよ」のように可能な限り(当然個人情報に配慮した上で)オープンにするように心がけたり、その時に事業上必要なことで説明した内容等もオープンにするように心がけています。
やる側もやられる側も、上下関係を必要以上に意識しすぎないように。お互い「今ぶっちゃけどうなの?」のような感じでフラットな関係性を保つように心がけたいところです。できるだけ情報が集中しないように、できるだけオープンな議論ができるように心がけています。
オープン・ダイアローグは本来、精神疾患を持ってる方向けの治療法ではありますが、企業とかもう少し一般的な組織にも応用が利くんじゃないかという可能性を感じています。
オープン・ダイアローグの事例(家族会議)
このオープン・ダイアローグは、いわゆる家族会議なんかにも、ちょっと似てるような気がします。
私は2019〜2020年の年末年始に両親と兄弟家族で実家の福岡に集まりました。そこで「両親の老後どうする?」のような話をざっくばらんにしました。私は福岡出身ですが、現在、東京在住で離れて暮らしている中で、両親は老いていく状態なので、今後どうしていこうか?的なことですね。兄弟家族もいたのでその周辺の話題についても色々と話し合ったりもしました。
家族会議は、最初から「こういう結論ありき」な感じで話すというより、どういう感じでやっていこうか?のような漠然とした話を、解決するまで延々とする形です。私はこのやり方はシンプルだし自然なんじゃないかなと思っています。
とはいっても、これまで仕事上でオープン・ダイアローグを適用したことはないです。実際やってみないとなんとも言えないのが正直なところではあります。私自身は実際に実践してみたいなって思っています。
第29回の配信は以上です。
編集後記
この配信をエンジニアリング・マネージャー(EM)のコミュニティのslackに投稿したところ、ちょうど内容がドンピシャの記事が共有されていたことを知りました。
配信で紹介した書籍の著者、斎藤環さんの記事です。
こちらも凄く参考になる記事でしたので合わせてご紹介まで。
また、この配信のあと、実際にOST(オープン・スペース・テクノロジー)というオープン・ダイアローグ的なアプローチでの対話を1on1に振り替えて行ってみました。
その結果を配信した回もありますので興味あればぜひ聴いてみてくださいね。
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