台風19号【千葉】接近前になぜ竜巻が(10月28日 JNNニュース)
千葉県市原市では、台風が通過する半日前に竜巻が発生し、死傷者を出しました。なぜ竜巻は起きたのでしょうか。
多くのものを巻き上げる黒い渦。10月12日、台風19号が接近する中、千葉県市原市で撮影された竜巻です。
被害は、死傷者9人、家屋89棟にも広がりました。
このときの竜巻の様子を民間企業の最先端のレーダーが捉えていました。
竜巻の被害が出る数分前の午前8時5分。画面左側を中心に覆っている黄色の部分が直径10㎞ほどの巨大な積乱雲です。
この積乱雲の右側に突然、小さな渦が生まれます。
そして、真ん中にある赤い色のところが竜巻が地上に達した場所とみられています。
この竜巻。発生したのは、台風19号が関東地方を通過する半日も前のことでした。
自宅で被災した男性は突然のことで身動きもできなかったといいます。
およそ2週間が経ちましたが、被害を受けた一帯では、いまも屋根や窓ガラスが吹き飛ばされた家屋がそのままになっています。
風速は推定およそ55メートル。「大型自動車が横転する」ほどの突風が吹いたことを意味します。
現場の被害状況を調べると・・・
竜巻は、南東から北西の方向に少なくとも2㎞以上も進んでいたことがわかりました。
気象学が専門の防衛大学校・小林文明教授は「台風に伴って竜巻が発生するのは珍しいことではない」と指摘します。
小林教授は、竜巻は「台風の東側、しかも台風の中心から離れたところで発生することが多い」と話します。
今回、市原市で竜巻が発生した時、台風19号の中心はまだ、およそ500キロも離れた海上にありました。
10月の台風17号のときも・・・
宮崎県延岡市で竜巻が発生し、大きな被害が出ていました。この時も、台風17号の中心はまだおよそ500キロも手前にありました。
台風の東側では反時計回りに、南から暖かく湿った風が大量に流れ込み積乱雲が発達して、竜巻の発生につながると考えられていて、小林教授は台風が接近する前から警戒することが必要だと話します。
取材
TBS社会部 岩波孝祥 記者
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