台風19号【東京・神奈川】多摩川支流で相次いだ越水、なぜ?(10月17日 Nスタ)
台風19号による首都圏の浸水について、多摩川の本流だけではなく、支流や水路が氾濫したために被害が拡大した実態が、分かってきました。なぜ支流の氾濫は防げなかったのでしょうか。
多摩川に接する川崎市高津区の浸水被害。溝の口駅近くのアパート1階に住む男性が死亡しました。
氾濫したのは多摩川ではありませんでした。
多摩川の水位が上昇しすぎたため、支流・平瀬川の水が多摩川に流れ込まなくなり合流地点付近で、平瀬川が溢れたとみられます。
近所の人は・・・
多摩川との合流地点付近で支流などが氾濫したケースが、少なくとも3件あったことが分かりました。
東京・大田区の田園調布では・・・
590件の浸水被害が出ました。
ここでも、支流の丸子川の水が多摩川に合流する付近で溢れ出していました。
被害にあった住宅では・・・
台風が直撃した10月12日の午後1時半。大田区は増水した支流・丸子川の水を、備え付けのポンプで多摩川に排出する作業を始めます。
午後5時からは、ポンプ車など3台も加わりました。
しかし、午後6時には多摩川の水位が上昇し、丸子川に逆流する恐れが・・・。
そこで大田区は、水門を閉めて逆流を防いだ上で、排水を続けます。
しかし・・・
備え付けポンプについては性能の限界を超え、使えなくなってしまいます。
そして午後7時。一帯に、避難指示が出されます。
大田区の職員や消防は、ポンプ車とともに現場から退避を余儀なくされ、その後、丸子川が氾濫したということです。
住民は・・・
さらに、東京・狛江市でも雨水を多摩川に流すための水路「根川」が増水。
狛江市や東京消防庁は、備え付けのポンプとポンプ車2台で根川の水を多摩川に排出しましたが、結局溢れてしまったといいます。
専門家は・・・
取材後記
TBS社会部 品田亮太 記者
休日には多くの家族が団らんしている光景が広がる多摩川沿い。台風19号の直後には景色が一変していました。住宅街に流れたであろう泥、街角に無造作に積まれた家具たち。幸せな日常の一部を担ってきたはずなのに・・・と言葉にならなかったのを覚えています。
「増水であふれるのは大きな河川」だと私自身も思い込んでしまっていました。「逃げて下さい」「命を守る最善の行動を取って下さい」私たちは呼びかけます。伝え手である我々自身が「想定外」を見越さなければ「命を救う放送」につなげられないと強く思いました。
「命を救う放送」をするために、反省・検証をし続けたいと感じています。
【放送されたVTRはこちら】