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性的同意ってなんですか?大学生に聞く
スウェーデンをはじめ、世界で進みつつある性的同意。上智大学で性的同意の重要性を広める活動をしている学生団体「Speak Up Sophia」代表の横井桃子さん(22)に、性的同意ってなんなのか、広めたいと思ったきっかけ、そして性教育などについて聞きました。VTRにまとめられなかった分も含む、インタビュー全文をお届けします。
Q. Speak Up Sophiaの活動の内容を教えてください
2018年9月から活動しているんですが、始めは性的同意ハンドブックを配るっていうところから始めて、知ってる教授にメールをして、ハンドブックを配っていいですかって聞いて、「いいですよ」って言われたら、5分、10分授業でもらって説明する。たくさん使ってきたからボロボロになってるんですけど、このハンドブックを配布する活動から始めました。
そのあとは性的同意ワークショップを3回開催。あとはSNSでの発信、ツイッターとインスタグラムで。特にインスタは、内容は性暴力だったり、#MeTooのストーリーをシェアしてもらったりとかそれに対する意見とか重い内容も多いけど、見た目がアート。クラシックアートとかの絵を使って発信しています。インスタ映えするような。どうしてもフェミニズムとか性暴力って聞いただけでタブー視してしまう人が多いから、そういうのないように、見た目でかわいいアートで発信している。写真部のメンバーもいるのでその子たちの写真を使った発信もしています。あとはロビーイング(働きかけ)。大学の内部、学長や教授に向けて、私たちの活動をしていく中で「性的同意ワークショップの義務化」「実態調査の実施」「カウンセリングシステムの充実」の3つを提言し、その提言の実現を求めるロビーイング活動しています。(Q実現には近づいてる?)まだまだ。学長とは1度、あとは教授と何回か話しているが、実際に踏み切るというところまでは至ってないので、1歩ずつかな、とは思います。
Q広めたいと思った理由
もともとアメリカで高校に3年行ってたんですが、日本に帰ってきたとき「モヤモヤ」したんです。大学生になって、自分が性的な目で見られてると感じることがあって、モノとして見られてるのかなって感じる機会があってモヤモヤしていて。セクハラの被害を受けたりして、それで自分のことを責めてた、言動がよくなかったのか?着てる服がいけなかったのか?とか。ちょうどそのころ受けていた授業に伊藤詩織さんがゲストスピーカーで来て、性的同意について学びました。そこでエンパワーされたんです(勇気づけられた)。「私にはNoって言う力があるんだ」って初めて気づいた。当たり前のことだと思うけど「嫌なことされたらNoって言っていいんだ、私にはそういう力があるんだ」って勇気づけられたので。それをきっかけにすっきりしたんですね。そのあとに彼女の本を読んで、びっくりして、なんで性暴力の被害者がバッシング受けなきゃいけないんだって。実際彼女はロンドンに行った、日本は難民を出したとも言える。そこに怒りを感じた。エンパワーメントと怒りが活動のきっかけになっています。
Qそもそも性的同意ってなんですか
すべての性的言動で取られるべき同意のことをいいます。でも、定義だけ聞くと、ん?って思う人もいる。私がよく使う例は、たとえば、ごはん行こうってなったときに「私が中華いやだな」ってなったら行かないじゃないですか。それってお互いが尊重している関係があってコミュニケーションとって、好きな食べ物を食べれるレストランに行く。そういう同意を取って決断をする。それって性的同意と一緒で、日常的に取られる同意が性的なことになるとむつかしいものととらえられてしまう。でも日常的にやってることなんだよって。
Q欧米ではそういう概念が進んでいるが、日本はなにが違う?
日本は性的なことを話すことはタブー視されている、特に、性暴力とかは、だんだんと変わってきてはいるけど、話しにくい、声を上げにくいという現状がある。でも留学生の友達に聞くと、私も知らなかったが、日本はアダルトグッズは人気、有名だからアダルトショップに行ってきたって話だったり、もう買えないけど、こないだまでコンビニでエロ本が、子供が見られるところに置いてあったり。変にオープンなところもあり、クローズなところもありって。
Q性教育は?
高校はアメリカで行きましたけど、アメリカの性教育がよいのかというと、そうは思わない。「とりあえず性行為はしないように」といった教育だったので。日本はわからないが、私は中学校入るまで、赤ちゃんは鳥が運んでくると思っていたんです。ドイツやヨーロッパでは性教育は小学校から始めている。性教育って聞くと、「なんかいやらしいこと教えるの?」と思う人もいると思うが、性教育って自分のバウンダリー(境界線)を考える、お互いを尊重しあうことを考える、ってことだと思う。つまり自分の体を大切にすることだから、幼稚園から教えてもいいと思う。幼稚園で水着で隠れている部分は触らないって教えるとか、そういう国もあると聞いたことがある。
Q性的同意も性教育の一環で教えてもいい?
性的同意を学ぶことは「自分の体は自分のもの」って学ぶことにもつながったしすごくエンパワーメント(勇気づけられること)だった。自分の体を大切にすることにも、ほかの人を傷つけないことにもつながると思うから、小学校からほかの人が嫌がることはしないんだよ、悪口は言わないよって学ぶじゃないですか。それと一緒で相手のバウンダリー、同意を尊重するのは学んでいいことなんじゃないかと思う。
Qスウェーデンは「Yes means Yes」、イギリスやカナダは「No means No」だが日本はどうあるべき?
Yes means Yesが理想的。No means Noは消極的。日本のコンテキスト(状況や背景)で考えると、女性が性的なことに関して言うことや性欲があるってこと見せること自体タブー視されている。(大学の授業で、ある女子学生から)「性的同意なんかあったら、yes means yesだったら、私は性行為なんてできない、恥ずかしいから」という意見があったと教授から聞いた。日本の文化とか考えるとYes means Yesって難しいのかなって思う。性的同意について広める活動をしているとどうしても海外のほうが進んでいるから海外の例を見て学びながらなんですけど、日本の文化ならでは、っていうのも考えながらやっていかないなとは思います。
Q日本は「いやよいやよも好きのうち」みたいな文化ありますね
いやよいやよも好きのうちは、いい加減変わっていかないといけないと思うけど、Yesって言うのが難しい人もいる。性的同意は完璧な概念ではないと思うので、じゃあどうやってNoと言える関係性を築けるのか、自分のパートナーだったりと考えて同意をとれる関係を築くのは必要だと思う。
Q同意をとれる関係を築くには何が必要
コミュニケーションが一番大事だと思う。お互いを傷つけたくないじゃないですか。レイプの加害者になりたい人っていない。性的同意について学ぶことは大事、日本の現状だと、学べる機会は少ない。知らないうちに「ごはん一緒に食べたから同意でしょ、家行ったから同意でしょ」って思ってる人とかいると思うけど、そうじゃなくて性的同意はアクションをとる側がとらないといけない、だから自分がアクションしたいから性的同意を知らないといけないってなったときに学べる機会がもっとあったらいいなって思う。
Q 性交同意が日本で広まるとどんな変化がもたらされるか
性的同意について知ることは、エンパワーメントにつながると思う。声が上げやすくなるのかな、と。性暴力の被害受けた人や、ジェンダー問題でモヤモヤしてる人が、Speak Up Sophiaがあることで、はけ口ではないけど、安全に感じる場所だったり、この学生団体を通して声を上げてみようって人が増えたらいい。性的同意ワークショップの義務化はずっと言っていて、その理由としては上智大学を卒業した人が社会で活躍して、そのなかでワークショップ受けて性的同意について学ぶ機会があった人はたとえば、第三者介入というのをやるが、居酒屋とかで上司が部下にセクハラをしているような場面に出くわした時に、なにか第三者として介入できるかもしれないし、自分が加害者にならないかもしれないし、そうやって広がっていってインパクトが広がればいい、大学の外に出ても。
Q大学を出ても活動は続けるか
理想としては(続けたい)。新入社員なのでどれだけできるかわからない。働き方改革のためのITソリューションを出してる企業なので、間接的かもしれないけど女性のためになにか今後もできたらいいなとは思っています。
Qセクハラ的なことを言われても、もうそれに慣れてきている感覚だったり、相手との関係壊すんじゃないか、と思ったりと声を上げることはできないかも
沈黙って絶対に平穏を生まない。声を上げない、そのままにしておくっていうのも一種の決断だと思う。こういう活動してると社会的、政治的活動してるとかうるさいひとと思われたり批判もあるけど、声を上げないってことはマジョリティに加担しているってこと。マジョリティっていうのは、性暴力に関すると、加害者に加担していることにもつながる。声を上げないこで、加害をしてきた人はこんなもんなんだって思って、また次の人にやろうって思うかも。声を上げるのもすごく難しいっていうのもわかる。だからみんなに声を上げてくださいって強制するのは違うと思うが、もし次こうやって言われたら、今はできなくても、次はなんでこういうこと言うのって返してみようとか、今までこうして無視したから今さら言えないではなく気づくのは遅くない。気づいたらちょっとずつでも自分ができる範囲でアクショ
ンを起こすのが大事かな、と思います。
インタビュアー 遠藤弥生
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