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全国初の“重症者専門病棟”を取材(2020年5月15日JNNニュース)

千葉県に新型コロナウイルス患者の専門病棟を建設し、すでに受け入れを始めた民間病院があります。全国に先駆けた取り組みの現場にJNNのカメラが入りました。

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千葉県松戸市にある千葉西総合病院。

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その駐車場で、プレハブの医療施設の建設が突貫工事で進められています。

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守田 哲 記者:「こちらの新型コロナウイルスの専門病棟では、今まさに完成に向けて建設が進んでいます」

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新型コロナウイルスの専門病棟。その内部にカメラが入りました。2つの棟からなり、全部で30床。軽症・中等症から重症者まで、建物やエリアを分けたうえで、一貫した治療を行うことを目指しています。

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独立した重症者病棟を持つコロナ専門病院は全国初。医療機器も含めた建設コストは3億5000万円。新型コロナウイルスの患者は、容体が急変する可能性があり、素早く対応できる体制が必要だと三角和雄院長は話します。

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専門病棟を建設した理由はそれだけではありません。

三角院長:「たまたま緊急で来た患者さんがたまたま(ウイルスを)持っていた。医師2人がほぼ症状なかったんですけど、感染しただけで。」

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院内感染への対策も大きな理由だといいます。千葉西総合病院は、救急車の受け入れ台数や心臓カテーテル治療数が全国トップクラス。万が一、院内感染が拡大し、病院の機能がストップすれば、影響は地域全体に及ぶおそれがあります。

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PCR検査の体制強化。そして、一般病棟から陽性患者が出た場合、速やかに隔離し、治療できる場所があることが重要だというのです。今月12日、受け入れの第1弾として、既存の病棟から4人の軽症・中等症患者が専門病棟に移ってくることになりました。

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車いすで運ばれたのは、軽症の患者。

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医療崩壊を防ぐための体制整備は急務だと、三角院長は訴えます。

三角院長:「(新型コロナウイルス流行の)第2波、第3波が来るかもしれません。全国的に(専門病棟が)1か所でも2か所でもあれば、それなりに微力ながら社会に貢献できるんじゃないかと。」


守田記者

取材:守田 哲 記者 (社会部)

千葉西総合病院は地域医療の要であり、救急車の受け入れ数も全国トップクラスです。それはコロナ禍にあっても変わりませんでした。その結果、コロナとは別の病気で救急搬送された患者や、入院していた患者から医師や看護師が感染する事態が起きました。危機管理に追われながらも、新たな病棟を建設するという大胆な決断をしました。病院が専門病棟で働く専従スタッフを募集したところ、VTRに出てきた看護師の斉藤さんが手を挙げました。専門病棟内でも院内感染リスクは完全には排除できません。斉藤さんに「感染が怖くありませんか?」と聞いたところ、「万全な感染対策をした上で、患者さんの命を守りたい。病院の新しい挑戦に貢献したい」と話しました。そこには強い使命感がありました。千葉西は20床の病院をたった23日で作り上げました。休日ゼロ、早朝6時から深夜10時まで文字通り一夜城です。工事業者の方の努力もさることながら、病院スタッフの「やり遂げるんだ」という責任感を想像すると胸が熱くなります。院長の行動力は刮目すべきものがあります。その裏には、患者を救う、同僚を守る、という病院スタッフの信念があったことを改めて記しておきたいと思います。

プロフィール

2011-2016報道カメラマンとして中国の北京に赴任。2017年7月から警視庁記者クラブ。現在、新型コロナ遊軍取材班兼務。幼い子どもと母親が犠牲になった池袋暴走事故を継続取材、高齢者ドライバー問題にも取り組む。


【放送したVTRはこちら】