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従業員体験と個人の思考。思考をステップ実行する

社員が事業にコミットし、充実して働いていくためには入社前の選考段階から退職に至るまでの従業員体験全体が影響します。

従業員体験は各従業員それぞれの主観によって解釈されます。
主観からの解釈は各自の価値観、既存の知識など様々な要素が影響します。

例えば、入社オンボーディングの体験として、オンボーディングのアンケートに対して新入社員からネガティブなフィードバックがあったとします。
「研修講師が知識マウントしてきて不満だった」というものだったとします。
これに対して、研修参加者本人にお詫びをして、研修担当者を今後の担当から外す対応をしたとします。

一方で、実際に新入社員が考えていた思考は

  • 前提の価値観

    • 自分が知らないことを伝えてくる相手は知識マウントをとって自分を馬鹿にすることが目的である

  • 実際の思考過程

    • この人は自分が知らないことばかりを伝えてくる

    • 自分に知識マウントをしてくる - 価値観の影響

    • 入社早々に知識マウントをされて不愉快だ

こうだったとします。この場合、研修講師に落ち度はなく、どちらかというと、この新入社員に関するケアをするのが必要な対応だったということがわかります。

このように、体験に関わる問題を整理し、適切に改善していく過程で思考過程を明確にしていく動きが必要になる場面がでてきます。

思考のステップ実行

プログラミングにおいて、実装したコードに不具合があった場合など、1ステップずつ実行することで着実にプログラムの実行状況を把握し、不具合の原因を特定する手法としてステップ実行というものがあります。(この記事はどちらかというと開発者以外の人が主要読者という想定で補足しています)

思考の詳細を把握し、ズレのポイントを見つけるには思考もステップ単位で確認していくのが確実です。

問題があった出来事に対して、

  • 何が起こったか?

  • それに対してどのように考えたか?

  • そのように考えた具体的な理由は何か?

これらを1つずつ質問で整理しつつ、書き出していきます。

着目点の発見例

思考の飛躍

例えば、思考を順番に整理した結果、2つ目の思考と3つ目の思考の間が遠く、結びつかないようなケースが思考の飛躍です。
この間にある思考について追加で質問しても回答が得られない場合、純粋に「考えが飛躍してしまった状態」になります。

事実と解釈からの推測の区別

実際に起こった事実と、その事実をもとに解釈をし、そこから推測した内容は異なります。推測あくまで推測であり、事実ではありません。

一方で、人は解釈した「推測」をあたかも事実であるかのように認識してしまいやすい面があります。
すると何が起こるかというと、推測を事実として扱った上で更に次の解釈を行い、それも事実として認識し・・・という連鎖が始まります。
気づけば、どこにも事実がない状態で、「あいつが悪い」というような結論が導かれてしまうことがあります。

そして、いざ事実を確認すると対象者には何も問題はなかったということは、ままあります。

勘違い

相手が伝えた言葉に込めた意図と、異なる意味で伝わることがあります。

まとめ

組織における問題は大きく分けて

・本当に問題が発生しているケース
・勘違いのケース

があります。思考のステップ実行は、勘違いのケースを洗い出すことに役立ちます。また、勘違いでないかどうかを確認した結果として本当に問題が発生しているケースであると判別することができます。
私は元ウェブエンジニアなので、プログラミングになぞらえて「ステップ実行」と表現しましたが、他の領域で言うならコーチング時に行うような掘り下げの質問と同様でしょう。

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