従業員体験の用語の例示シリーズ - 真実の瞬間(Moments of Truth)
従業員体験の領域には様々な用語があります。
実際の従業員体験の流れと対応させる形で用語説明をしていきます。
今回紹介するのは「真実の瞬間(Moments of Truth)」です
入社時に Value 共感して入社した場合の真実の瞬間
田中さんは選考過程を通して、 A 社の Value に共感して入社を決めました。
特に、 Value の中にある「まずはやってみる」という項目に強い共感をし、面接官ともその点に関して盛り上がっていました。
真実の瞬間 - ポジティブなケース
入社して1週間。田中さんは業務の中で自分の経験を元に改善できる箇所をみつけました。
問題点をチームに共有し、改善を申し出ました。提案は、即時に受けいられ、改善を実施。周りから称賛されることとなりました。
入社1週間にも関わらず、改善を任せてもらえた田中さんは、 Value 通りの文化を持つ社風を嬉しく感じました。
このケースは Value 通りの文化であってほしい、という田中さんの期待通りの結果となり、期待が満たされた状態です。
この期待が満たされるかどうかの瞬間を「真実の瞬間(Moments of Truth)」と呼びます。
真実の瞬間 - ネガティブなケース
入社して1週間。田中さんは業務の中で自分の経験を元に改善できる箇所をみつけました。
問題点をチームに共有し、改善を申し出ました。提案は、特に理由もなく即時に却下されました。
納得いく理由もなく改善を任せてもらえなかった田中さんは、 Value とは異なる文化に強い不満を感じました。
このケースは Value 通りの文化であってほしい、という田中さんの期待と外れる結果となり、期待が満たされなかった状態です。
「真実の瞬間」そのものは期待が「満たされる」「満たされない」のどちらかに限定した意味はありません。
そのためここで挙げた2つのケースはどちらも真実の瞬間です。
補足
無数に存在する真実の瞬間
真実の瞬間は従業員それぞれの期待によって異なります。また、その場面も期待が存在する数だけ存在します。
例えば
上司に対する期待
評価に対する期待
同僚に対する期待
経験機会に関する期待
育成支援に関する期待
技術スタックのモダンさに関する期待
福利厚生に関する期待
etc
などです。
その中で満たされた瞬間、満たされなかった瞬間、それぞれの重要度に応じて所属している企業への満足度が上下していきます。
真実の瞬間に対する事前対策
真実の瞬間を不満ではなく満足にしていくためには、従業員の期待をできるだけ明示してもらうことです。暗黙の期待は察知できません。そのため、選考~入社過程のコミュニケーションや普段のコミュニケーションから、各従業員が何を求めているのかを把握している範囲が広く、把握した内容のズレが小さいほど期待を満たした状態を実現しやすくなるでしょう。
一方、期待は把握したが、あまり現実的ではない高すぎる期待を持っていることがわかった場合、それが実現不可能であることを落胆しないように正直に伝える必要もあります。
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