「自社起因離職と他社起因離職」x「転職顕在層と転職潜在層」
採用に関して離職の側面と採用の側面から考えを整理します。
離職の分類 - 自社起因離職
ここでの自社起因離職とは自社に対する満足要素の不足、もしくは不満要素の蓄積が一定ラインに達したことによる離職のことです。
ここでいう満足と不満は、いわゆる動機づけ要因と衛生要因です。
具体例を出すと、満足側については「個人の夢を目指す上で得られる経験機会が現職環境になくなった」などです。
不満側については「不景気でボーナスがでなくなり、求める給与水準を下回った」などです。
この満足要素、不満要素は個々人の価値観と紐付いており、一律では語れないものです。事業を大切に思う人がいれば、自分の技術的成長を大切に思う人もいますし、一緒に働く人を大切に思う人もいます。
自社起因離職には2つの変動軸があります。企業側と従業員側です。
企業側は企業が提供する満足要素、不満要素の変化があった場合です。
従業員側は、従業員自身の価値観の変化による満足の基準の変化や、自身を取り巻く環境の制約による不満要素の基準変化などがあった場合です。
離職の分類 - 他社起因離職
ここでの他社起因離職とは自社が従業員本人が求める満足要素を満たし、不満要素を軽減していたとしても、相対的に魅力的な他社の登場によって引き抜かれるような離職のことです。
例えば他社から魅力的なオファーをもらったり、より魅力的な他社の存在を知り、ダメ元で挑戦したら内定したような場合です。
特にエンジニア採用において、昨今は転職意向が明確ではない段階からスカウトが行われ、カジュアル面談を通して外の組織の事を知る機会が増えていることもあり、他社起因離職の発生率は高まっていると考えられます。
転職の顕在・潜在と自社起因・他社起因離職の関係性
転職顕在層は自社起因で転職活動を開始した人です。
逆に、転職潜在層は他社からの働きかけにより転職意向がない状態でコンタクトされている層で、このまま転職に至ると現職を退職することとなり、それは結果的に他社起因離職となります。
採用の側面からみた自社起因離職の候補者さん
自社で満足要素が満たせなくなったか、不満要素がしきい値をこえたことによる離職になるため、それらを解消できることを証明すればよいことになります。
その上で、採用競合よりも相対的に上回っていることが内定を受諾していただけるかどうかの鍵になります。
採用の側面からみた他社起因離職の候補者さん
声がけ時点で自社への満足が不足していたり、不満が高まっているわけではない方をいかに口説くか、ということになります。
この場合、自社への満足要素を明らかに上回る魅力を備えている必要があります。
まとめ
離職のきっかけを分類し、潜在・顕在層との関係を整理し、採用の側面からこれらへのアプローチを考えてみました。
採用にあたって自社起因/他社起因のどちらの退職にせよ重要になるのは、ご本人の価値観です。何を満足要素として考えていて、何を不満要素として考えているのか?
それが大前提です。その上で、自社が満足を満たす魅力を本当に持っているか、持っている上で外部から見える状態になっているか、実際に伝えたときに信じてもらえるか、という話になります。
そのため、採用広報による発信が大切になったり、社員が直接候補者の方とつながっていることが大切になります。
知られていないとはじまらないし、信じてもらえないとしかたがないからです。
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