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採用における選ぶ視点と選ばれる視点

採用は相互のマッチングです。そこで、選ぶ視点と選ばれる視点について整理してみます。一般的なケースを想定しているので、特殊な選考基準を用いている企業のことは考慮にいれていません。

選ぶ視点

選ぶ側としての企業の視点について。

求人枠で期待する人物像・スキルを見極めるのが一般的です。

人物像は、個人特性・価値観などを見極めます。
これは、組織カルチャー・チームカルチャー・職種特性とのマッチングを確認することが目的です。

一般に人物像に関する選考は面接形式で実施されます。
場合によっては適性検査を活用するケースもあるでしょう。

スキルは、職種特有の専門スキルおよびソフトスキルを見極めます。
プログラマーだったら、プログラミング・設計のスキルが専門スキルにあたるでしょう。ソフトスキルに関しては論理的思考などですね。

スキルに関する選考は面接形式・実技形式などがあるでしょう。

これらの選考は単に合否のためだけに実施するのではなく、多くの場合は大まかなレベル把握目的もあります。候補者の方の選考評価をもとに、社内基準で評価した場合の年俸水準を比較しオファー水準を検討します。

各種の選考基準には明示されているものと暗黙のものがあるでしょう。人物像の選考の場合、組織カルチャーで求める人物像は、 Mission / Vision / Value として明示されている場合があります。チームカルチャーで求める人物像は、ブログや採用関連のページで明示されている場合があります。
スキル面については大抵求人票に必須要件・歓迎要件として大き目の粒度で記載してあるでしょう。

選考基準が未整備の企業ほど、暗黙で求める人物像や暗黙で求めるスキルが選考参加者次第でランダムに判定される場合がありえるでしょう。例えば面接官Aさんは、粘り強さを重要と考えているが、面接官Bさんは誠実であることを重要であると考えている場合などです。

選ばれる視点

選ばれる側としての企業の視点について。

求人要件を満たし、カルチャーマッチしているぜひ入社してもらいたい方が選考参加している場合、企業はぜひ入社してもらいたいのでアトラクトを行います。

アトラクトの基本は候補者さんの理解です。
企業の魅了は様々あるかもしれませんが、あくまで個々の候補者さんが求めるものとマッチした魅力をお伝えしなくては効果がありません。そのため、面談・選考を通して候補者さんが仕事に対して何を求め、今回の転職で何を満たそうとしているのかを確認する必要があります。ここで一つ課題があります。個々の候補者さんそれぞれが必ずしも自身の仕事に対する価値観・求めるもの・転職で満たしたいことなどを整理できているとは限りません。面談・選考参加者が質問を通してこの整理をお手伝いし、引き出せるとよいでしょう。

候補者さんが求めるものがわかったら、自社で応じる事ができる部分をお伝えします。これがアトラクトになります。ここでお伝えできる自社の魅力はいわゆる EVP というものです。EVPは事前に社員へのインタビューなどをもとに洗い出して置くと良いでしょう。組織文化、チーム文化で掲げているものが実際に社員が実感する魅力であった場合、狙い通りの組織づくりができているということになります。
なお、候補者さんの求めるものに応じることができないものも正直にお伝えするのがよいでしょう。仮にごまかして入社いただいたとしても入社後のデモチベーションの種になるだけです。


中長期の可能性レベルの話については、確度が低いから伝えないほうがいいとは限らず相手の方に合わせた未来としてお伝えできたほうが好ましいでしょう。例えば、中長期のキャリアとしてどのような可能性があるかは、候補者さんも知りたいところでしょう。ただ、あくまで確約できない未来であることは添えつつになります。実現可能性があまりに低い内容をお伝えした場合は、入社後のデモチベーションの種になるでしょう。盛りすぎないことです。

訴求要素の伝え方としては、自身の主観をお伝えするケースがまずあるでしょう。この場合、一般的な事実ではなく自身の考えであることを明示してお伝えします。
また、社内の事例をお伝えするのもよいでしょう。ブログ化されている内容ならのちほどURLもお渡しするとよいです。
ちなみに候補者さんが求めるものが「ともに働く人」であり、面談・選考で話して確認したいと思っている場合は、もはや付け焼き刃の工夫とは無縁なので、必要な人が出席し魅力に思っていただけるか次第になります。どちらかというと一貫した選考基準をもとに高い質の採用を保っているか、健全な組織文化を保っているか、などの影響が大きそうです。


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