読書記録「2040年の未来予測」
成毛眞氏の「2040年の未来予測」を読んだ。良い本だった。
著者の博識、というか情報収集能力と整理力は卓越している。大きく、技術・経済・衣食住・天災に分けて解説している。
技術は世界を変える。100年前、アインシュタインは船旅でフランスから40日かけて来日、船旅の途中で体調を崩すもたまたま乗り合わせた医師の診療を受けて回復、京都から東京まで12時間かけて移動、数千人に対して講演をした。100年前と今では、世界が大きく異なるし、変化のスピードは上がっている。iphoneはおもちゃと言われたが、今では皆スマホを持つ。2040年では5Gが6Gになり、より多くのデバイスがつながる。ドローンは飛び交い、無人店舗が実現する(ヒントはキオスクにある)。再エネは更に増え(日本は洋上風力は不利だが)、核融合も実用はされていないが研究は進む。
日本の経済は暗い。2010年に中国のGDPで追い抜かれ、今や中国は日本の3倍程度まで成長した。日本に海外から観光客が押し寄せたのは、日本の物価が安くなったから(海外に行くと、これを強く感じる)。少子高齢化は止めようがない。ハイパーインフレに見舞われる可能性は低い。MMTには期待が寄せられる(これは本当か、という気がするが)。保険料の徴収漏れは隠れ財源。私個人的にも、歳入庁は絶対にやるべきだと思う。私の知る財務省の人はみんな立派ですが、ここは踏み込んでもらいたい。民間の保険には入るな。
衣食住は予測が難しいとのことだが、豊かになると肉を食べるので、人口肉・代替肉の研究が進む。教育はオンラインになる。アメリカの大学は富裕層しか通えなくなる(それ以外にとってはギャンブル)。アフリカの文化が注目される。
天災について、地球温暖化のインパクトは大きい。地震・災害のリスクも高まる。水が希少になる。
あとがきで、国にとらわれるな、という。それができる日本人がどれだけいるか。
語り口が非常に簡潔で分かりやすく、未来と自分の行動を考える上でのヒントが多数ある。
未来は、死なない限り誰にでも平等にやってくる。ここに書かれていること以上の大変革や場合によっては悲劇が起こるかもしれないが、それでもチャンスを見つけることはできる。そして、変化の萌芽は常に今にある。
技術の進展と人口予測の2つは、非常に精度が高く予想される事実だと思う(前者についてはタイムラインを外すことはあるが、少なくとも、技術の種が植えられていないと発芽しないので、種を見れば、どんな花が咲くのかはある程度わかる)。どこに投資しようか、どの世界でどういう風に生きていこうか。