ふるさと納税の力で被災地に希望を/災害支援と代理寄付について
トラストバンク地域創生エバンジェリストの藤井楓です!
私は、長野県で生まれ、大学時代から社会人生活を神奈川・東京で過ごしました。約2年前に家庭の都合で熊本に移住をし、現在は熊本で生活をしています。
地域に貢献したいという想いからトラストバンクに入社して以来、ずっと自治体さんに寄り添ってきた経験を通じて「ふるさと納税の寄付金の使い道」について発信していきます。
1本目の今回は「災害支援について」。
「災害」と聞いて、皆さんの記憶に新しいのは、7月1日で発生から半年を迎える能登半島地震ではないでしょうか。能登半島地震の際にも多くの支援をいただいた、ふるさと納税を使って、寄付をすることができる「ふるさとチョイス災害支援」について、概要や、過去の事例をお伝えします。
「ふるさとチョイス災害支援」とは
生まれ故郷や応援したい自治体に、自分の意思で「寄付」をすることができる「ふるさと納税」。2008年に制度化されたものの、まだ利用者が少なかった当時、「この仕組みを活用すれば地域にお金や情報が循環し、地域活性につながるのではないか」という想いから、2012年にふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」が生まれました。
そして2年後、2014年9月に「ふるさとチョイス災害支援」を開始。これは、寄付者の皆さまが、ふるさと納税を活用して被災した自治体に直接、支援と想いを届けることができる仕組みです。
自治体からすると、災害発生後に一本連絡をしていただくだけで、緊急寄付の受け入れ窓口を迅速に開設することができます。もちろん、被災地に寄付ができる方法は募金など他にもありますが、「ふるさとチョイス災害支援」では自治体単位で寄付受付窓口が開設できるため、寄付者は支援したい自治体を選び、迅速かつ直接支援することができます。
自治体同士の助け合いから生まれた「代理寄付」
さらに、2016年4月、熊本地震の際に「代理寄付」という自治体同士の共助の仕組みが始まりました。これは、被災していない自治体が被災自治体に代わって寄付金を受け付ける仕組みです。災害発生時、被災自治体は災害対応で混乱し、ふるさと納税の受付業務に手が回らない場合が多くあります。代理寄付の仕組みを活用することで、寄付金受領証明書の発行等の事務作業負担を大幅に減らしながら、寄付を集めることができます。
この仕組みのきっかけとなったのは、2015年の豪雨災害の際に、被災自治体が寄付を受け付けることの大変さを経験していた茨城県境町です。2016年に熊本地震が発生した際、ふるさと納税制度を活用した被災地支援の方法について、橋本町長からふるさとチョイスへ相談を受けたことを機に、ふるさとチョイス災害支援のサイト内で代理寄付を受け付けられるフォームを構築しました。
>代理寄付の始まりについて詳しくはこちら
サービス開始から約10年、みなさまから寄せられた災害支援への累計寄付総額は100億円を超えました(2024年1月時点)。ご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございます。
※サイト利用手数料も復旧・復興への資金として活用いただきたい想いから、ふるさとチョイス災害支援を通じて寄せられた寄付金について、自治体からサイト利用手数料をいただいておりません。
過去の災害における「ふるさとチョイス災害支援」活用事例
ここからは、過去の災害で「ふるさとチョイス災害支援」を活用いただいた例をお伝えします。
事例1:平成28年熊本地震
平成28年に発生した熊本地震。4月14日及び16日の二度にわたり最大震度7の地震が発生し、熊本県・大分県に甚大な被害をもたらしました。
この熊本地震の際に「代理寄付」の取り組みが始まり、被災した熊本県内の自治体だけでなく全国の自治体が寄付受付を行い、ふるさとチョイス災害支援を通じて19億円を超える多くの支援が集まりました。
事例2:令和元年台風15号
令和元年9月に発生した台風15号は、伊⾖諸島や関東地⽅南部を中⼼に猛烈な大雨・暴風が発生しました。関東地⽅を中⼼に19地点で観測史上1位の最⼤⾵速や最⼤瞬間⾵速を観測し、ライフラインや交通手段にも大きな影響が出ました。
事例3:令和2年7月豪雨
令和2年7月、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で集中豪雨が発生しました。特に4日から7日にかけて九州で記録的な大雨となり、熊本県南部を流れる球磨川など大河川での氾濫が相次ぎました。被災自治体・代理受付自治体併せて全国94自治体が寄付受付をし、ふるさとチョイス災害支援を通じて7億4000万円を超える多くの支援が集まりました。
被災地支援におけるふるさと納税の有用性
日本は災害大国とも言われるほど、災害発生の可能性が高い国です。災害が発生してしまったとき、被災地支援として「ふるさと納税」はどのような面で役立つのか。これまでの事例から、以下3点が挙げられると思います。
①多くの自治体が財源不足のなか、災害復旧・復興に充てられる資金が増える
災害規模や被害状況にもよりますが、復旧・復興には莫大な資金が必要となります。災害救助法が適用された場合、災害復旧に要した予算の多くは国から補填されますが、対象となる費用が指定されているため対象外のものは自治体の一般財源を使う必要があります。そのため、自治体が負担する額も大きく、財源不足が深刻な自治体においてはふるさと納税による寄付は非常にありがたい寄付金となります。
②自治体を指定して寄付ができ、支援を必要としている自治体に届けられる
ふるさと納税による災害支援では、災害全体ではなく、個別の自治体単位で寄付受付窓口を開設し、寄付を募ることができます。そのため、応援したい自治体にダイレクトに寄付金を届けることが可能です。
例えば「メディアで報道された自治体には寄付が集まるものの、なかなか報道されない自治体には集まりにくい……」という状況のなかでも、インターネットやSNS・知人からの情報などで被災地の状況を知り、いま「自分が応援したい」と思う自治体を直接指定して寄付をすることができます。
③お金だけでなく想いも届けることができ、被災者の心の支えになる
「ふるさとチョイス災害支援」をはじめとするポータルサイトには「応援メッセージ」という機能があります。これは、寄付申込をする際に任意で書き込みができるメッセージ欄のことで、被災地に寄せる想いを届けることができます。
被災した住民さんに少しでも前向きになってほしいと、全国から寄せられた応援メッセージを避難所や役場庁舎内に貼りだしている自治体もあります。ある自治体では、メッセージを貼りだしたところ家に持ち帰っている方がいたため理由を聞いてみると「家にいる親にこれ(メッセージ)を見せたい」と。ふるさと納税担当者は「全国からいただいたメッセージが地域を後押しして勇気づけてくれた」とおっしゃっていました。
ふるさと納税を通して支援できることは、お金だけではなく想いを届けられるという点もあると感じています。
能登半島地震への支援状況
7月1日で発生から半年を迎える能登半島地震の際には、被災自治体・代理受付自治体を併せて全国187自治体がふるさとチョイス災害支援の仕組みを活用し寄付を受け付けました。6月26日時点で総額20億円を超え、多くの寄付金と被災地を応援する声が集まっています。
ふるさとチョイス災害支援を通じて寄せられた寄付金は、被災地での復旧・復興事業や今後の防災対策等に充てられます。
ふるさと納税を通じた支援の意義
災害発生時、インターネットやテレビのニュースで被災地の状況を目にするたびに、「被災地を応援したいけど、自分に何ができるだろう…」と思う方は多いのではないかなと思います。そのようなとき、ふるさと納税は気軽にできる支援方法の一つであり、応援したい自治体を自分の意思で選んで「直接、はやく」被災地に支援を届けることができます。
ふるさと納税は税金の使い道を寄付者の意思で選べる制度です。だからこそ、復旧・復興に向けて頑張っている自治体を応援する方法として、ふるさと納税を活用いただくのもよいのではないでしょうか。
そして、ふるさとチョイスは全国のみなさんの「被災地を応援したい」という気持ちを、ふるさと納税を通して被災地に届け続けていきたいと思います。