2024甲子園 準々決勝分析④大社(島根) - 神村学園(鹿児島)
大社
勝ち上がり
1回戦 3-1 報徳学園(兵庫)
2回戦 5-4 創成館(長崎) ※延長10回タイブレーク
3回戦 3×-2早稲田実(西東京) ※延長11回タイブレーク
<チームの強み>
・今夏の主人公・馬庭優太
3試合を1人で投げ抜き、防御率は0点台、3回戦では自らサヨナラタイムリーを打ったチームの柱。与四死球が3試合30イニングで5個と制球力が高く、ノビのあるストレートはコースを間違えない。何よりも凄いのはその気迫で、相手バッターどころか球場全体を支配してしまうような、そんな凄みのある投手で、今のところ大会の主人公。
・要所で間違えない内野守備とバントの精度
2試合連続でタイブレークを勝ち切ったチームの根幹とも言えるのが、要所でミスをしない守備力。バント処理や併殺完成など、誰もが緊張するはずの緊迫した場面でも一切のミスがなく冷静。またバントも上手く、2回戦でスクイズを2回決めた園山⑤、3回戦で見事なセーフティバントを決めた安松などバントの上手い選手揃い。地方大会決勝でもスクイズ×2で勝利しており、僅差の場面ほど強さを発揮する、そんなチーム。
<チームの不安要素>
・馬庭の疲労
言うまでもないが最大の懸念点。おそらく準々決勝も1人で投げ抜くことが予想されるが、早実戦で150球近くを投げた後に中1日でどれだけのパフォーマンスを発揮できるか。序盤に捉えられてしまうとなかなか勝ちは難しくなるので、魂の投球に期待したい。ただ、金足旋風の吉田も同じようなことを言われていた中で準決勝までは素晴らしい投球をしたことを考えると… いけるんじゃないの?という期待もある。
神村学園
勝ち上がり
1回戦 8-5 木更津総合 (千葉)
2回戦 4-3 中京大中京 (愛知)
3回戦 7-1 岡山学芸館 (岡山)
<チームの強み>
・圧倒的な経験値に裏打ちされた冷静さ
4番の正林⑨、リードオフマンの増田④、中軸の岩下⑤など昨年のベスト4に貢献したメンバーが数多く残り、甲子園に対する経験値はトップクラス。1回戦や2回戦は接戦にこそなったが、随所で甲子園をよく知る落ち着きや冷静さというものが見られた。シビアなゲームが増えてくる準々決勝以降においてもこれは大きな武器になるのではないか。素の打力や小技の精度が高いのは言うまでもない。
・大会中の二枚看板の確立
元々投手力に課題が残るチームだったが、1.2回戦ではエース左腕の今村①が連続完投、そして何より3回戦では2年生右腕の早瀬⑩が完投し、大会中に二枚看板がしっかりと確立された。これによって今村の温存にも成功したので、元々高い打撃力に加え、投手陣にも目処が立ったというのは非常に大きいのではないか。
<チームの不安要素>
・左腕への対応力
一つ気になるのが、スタメン9人のうち右打者は3番の今岡⑥のみということ。左打者が8人並ぶので、左腕への対応というのが気になる。2回戦では中京のエース左腕中井に対してそれなりには対応したが打ち崩したとは言えず、1回戦も3回戦も打ち崩した相手は右腕が軸のチーム。大社の馬庭、京都国際の中崎+西村、相模の藤田と好左腕が多く残る準々決勝以降において、対応できるか。
<展望予想>
終盤勝負が前提の大社、絶対に中盤までに試合を決め切りたい神村という構図。終盤勝負になると大応援団を含め球場の雰囲気も圧倒的に大社寄りになるのは間違いないため、神村学園としては5回までに点差をつけて早々と試合を決めたい。大社は絶対に終盤勝負。7回まで2点差以内なら正気はある。馬庭がどれだけ踏ん張れるか…