テレワークゆり物語(180) ワーケーションは2週間がおすすめ
「7月に2週間、スイスのジュネーブに行ってきます」
社長が海外へ行くのは、3度めだ。
最初は、2009年、アメリカ国務省の招へい(IVLP)で、3週間、テレワークの視察に行った。
次は、2016年、駐ブルネイ日本国大使にお声がけいただき、女性の働き方についての講演に行った。このときは、2泊3日の強行軍だった。
いずれも仕事。社員は、だからこそ、社長の不在を納得できる。
しかし、今回のジュネーブ行きは、まったくもって「プライベート」だ。
海外にすべき仕事があるのではない。
異国の地で、2週間生活し、いつもの仕事をする「ワーケーション」である。
ジュネーブへ行く目的は「孫の子守り」
私がスイスへ行く理由は、「孫の子守り」だ。
1月に出産した長女の育休が終わり、赤ちゃんが保育園に入園する間の「つなぎ」に、子守りをすることがメインの目的である。
仕事を差し置いて、わざわざ海外まで行く必要があるのか。
ベビーシッターを頼めばいいのではないか。
そんな声が聞こえそうだが、何度も挫折した「長女がいるジュネーブに行きたい」という4年越しの願いを叶えたかったのである。
きっちり仕事をするワーケーション
プライベートな理由である以上、仕事に穴をあけたり、社員の負担を増やしてはいけない。
目指すは「仕事への影響を最小限にするワーケーション」だ。
そこで私が決めたのは、以下。
平日は6時間勤務とする(いわゆる短時間勤務)
会社の就業時間に合わせる(時差7時間)
日本の土日・祝日は休む(海の日がある!)
勤務時間内は、いつも通り予定を入れてOK
もちろん、リアル訪問やリアル講演は難しいが、オンライン会議・オンライン講演ならできる。
とにかく、早くから渡航時期をブロックすることが重要だ。
この方針のもと、3か月前から社員に告知し、計画をスタートした。
ワーケーションはスケジューリングが肝
ワーケーション、特に時差のある海外に行く場合は、事前にきっちりスケジュールを決めることが肝となる。
7月はサマータイムで、日本とスイスとの時差は「7時間」。
日本の就業時間と重なる時間で「6時間」を確保し、さらに、目的である「孫の子守り」の時間も確保しなくてはいけない。
また、無理をして私が体調を壊してしまったら元も子もない。
そこで、時間を以下のように振り分けることにした。
睡眠時間は「7時間」
オンライン会議が可能な時間は「5時間」
資料作成やメールチェック専用の時間は「1時間」
朝食・昼食・夕食などの生活時間は「6時間」
孫の子守りは「5時間」
合計、24時間だ。
1日が24時間というのをこんなに意識したのは初めてである。
それを日本時間に合わせて、調整したのが、以下の図である。
日本の午後(スイスの朝)に6時間働き、スイスの午後に5時間子守りをする。
完璧ではないか!
なにより、社員にとって、
この時間なら、オンライン会議の予定を入れてもいい。
この時間なら、連絡できる。
というのが明確になり、安心感につながる。
スケジュールを事前に明確にして、その通り実施することが、ワーケーションを実施する重要な要素なのだ。
時差と寝不足と腰痛からのスタート
しかし、ご想像の通り、現実はそううまくはいかない。
まず、到着後の時差ボケが、最初の難関だった。
体が日本時間のままだと、孫の子守りと夕飯が真夜中になる。
眠いったらありゃしない。
また自分が悪いのだが、日本出発前に仕上げる予定だった原稿が間に合わなかった。その結果、日本時間の朝9時(スイスで夜中の2時)が締め切りとなり、その4時間後から日本での仕事が始まる。
完全に寝不足状態に陥った。
そして、極めつけは、26年ぶりの「赤ちゃんの子守り」。
7.8キロの男子をダッコであやすには、おばあちゃんにはキツかった。
3日めにして、腰が痛くなってしまったのだ。
ワーケーションは2週間が理想⁈
しかし、人間の適応力はすごい。
何とか原稿を書き上げ、時差には数日で慣れ、痛み止めを買い、ダッコをしなくても寝かしつけるワザを身に付け、1週目の後半には、予定どおりの仕事と子守りをこなせるようになったのだ。
余裕ができると、近所のスーパーで買い物もできるようになったし、バスや電車に乗って、少し遠くの公園に行けるようにもなった。
そして、週末は、お楽しみのジュネーブ周辺観光。
ああ、これぞ、理想の海外ワーケーション!
4.5日だけの滞在だと、混乱のまま、帰国になっていただろう。
海外、国内に限らず、仕事をきっちりしつつ、地域の生活や観光を楽しむには、少なくとも2週間は必要と実感した。
正直、2週間でも、帰る頃には「もっと長くすればよかった」と思うようになっていた。
ただ、最初は「また来たい」というぐらいがちょうどいいのかもしれない。
テレワークによる2地域居住に活かしたい
テレワークができることで、より長い期間、地方に滞在することが可能になり、2地域居住にもつながる。
プライベートといいつつも、今回のワーケーション経験は、今後の仕事にも活かせると確信した。
※冒頭の図は、ジュネーブでの2週間生活のカレンダーです