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極北の大地と幻の魚〜道北イトウ遠征釣行〜3日目

2024年10月中旬 北海道猿払村

午前5時10分、買ったばかりのGoPro HERO 13 Blackの電源を入れた。暗くてほとんど何も映らない。丸一日釣りができるのはこの日で最後。しかし、ちょうど3連休に突入する日でもあった。

唯一気配を感じた「ある場所」

プロボックスで車中泊をしていた道の駅では、真っ暗なうちからどんどん車が動き出す。もちろん、すべての人がイトウ狙いで川へ行くわけではないだろう。狙いが同じだとして同じ川へ向かうとも限らない。それでも、焦る。準備をして川へ向かうと、目的地の駐車スペースは意外と車が少ない。対岸にはヘッドライトの明かりが見え、すでにポイントへ向かって歩き始める人の姿もあった。目星をつけていた「ある場所」へ向けて足早に歩いた。

特別な場所ではない。この川を訪れるアングラーなら誰もが知っていて、アプローチできるストレッチの、ある地点だ。

遠くの空がかすかに明るくなったかなというくらいのタイミング。こちら側の岸では一番乗りだ。

この日は朝から水面の雰囲気が違った。跳ねる小魚の量が多い。しかし、なかなかアタリはない。どこにイトウはいるんだ?いつエサを食べるんだ?そう思って周囲を見渡すと、真横に明らかに大きな魚の魚影。

いるじゃないか!

…と、思っていたら、隣のルアーのアングラーが釣った。特大ではないが、見事なイトウだ。

すると、目の前でボイルが発生。グワンと波打つ水面。逃げまどう小魚。近くにイトウがいる。自分の心臓が波打つ音が聞こえた気がした。落ち着いてルアーローテを繰り返す。かなり自分の近くで魚が動いている気配があった。そんなつもりはなかったが、もしかしたら前へ出過ぎているのかもしれない。すでに何十投もしていた。この時点で意味があるかはわからなかったが、静かに数歩、5歩ほどだっただろうか、後ろへ下がった。

金黒系のミノーからライムチャート系のトリコロールGT88MD-Fをキャスト。ルアーを変えて2投目だった。

カラーを変えて2投目

コツン。ガンッ。

一気にロッドがティップからバットまで絞り込まれる。ステラのドラグ音が鳴り止まない。PEライン1.5号にフロロ35lb。超特大サイズでない限り、切られるようなことはないはずだ。そう自分を落ち着かせて、無我夢中でハンドルを巻く。ドラグを滑らせながら、少しずつ距離を縮めていく。

イトウだ。

サクラマスやレインボーのように走ることはなく、その場で暴れるタイプの引きだ。テールフック1本。ちゃんと掛かっているように見えたが、突然暴れられたらフックアウトしてしまう気もした。浅瀬に慎重に誘導し、無事キャッチすることができた。脳内では90cmくらいに思っていたが、実際は60cmくらいだろうか。細かい黒い斑点。イトウだよな?と何度も自分で確認してしまった。

呆然としつつも、TG-6を取り出し、撮影する。まだ、午前6時台。やはり朝は活性が上がるタイミングがあるようだ。

極北の地に吹く風で水面が波立ち、浅場に横たわったイトウが静かに命を揺らしていた。

生涯初のイトウ。大きくはなかったが、独特の雰囲気を持った魚だった。
3日目も昼食はホタテ。だけど、ホタテは圧倒的に刺身の方が美味しいと思った。
日中は日本最北端、宗谷岬まで足を伸ばした。子どもの頃、家族旅行で訪れたことがある。新潟からのフェリーが着いたのは小樽だったと思うが、宗谷岬までは相当な距離があるだろう。父も母ももう亡くなってしまったが、あの頃は若かったんだな。
別の川も見てみた。釣りをしている人もいたが、個人的にはどうしたらいいかわからず、竿は出さなかった。
水草がすごい。夕方、ルアーに引っかかってきたものを集めてみたら、30分程度でこの収穫。


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