本誌独占インタビュー
2019年シーズン、充実のシーズンを迎えた。
ノーザンホースパークマラソンを優勝した勢いそのままに、5000mで15分台に再々突入。日本選手権クロカンへの切符を獲得し、遂には日本ランカー入りを果たしたTaZ選手(末脚ダイナマイト)に、2020年シーズンの動きを中心にコロナ禍の影響も交えながら近況インタビューを行った。
ーまずは、昨シーズンのご活躍、おめでとうございました。
(T)ありがとうございます。
ー軽く昨シーズンをTaZ選手なりに振り返っていただけますでしょうか?
(T)はい、2018年シーズンにノーザンで1秒差2着に負けてから、2019年前半はまずノーザンを勝ち切ることにフォーカスしてトレーニングを続けてきました。ピーキングもうまく行き勝つことができ、クロカン適正も見出すことができたのは収穫でしたし、社会人として初勝利を上げることができ満足いく結果でした。
その後、クロカン日本選手権出場を目指し5000mの記録を狙いに行くことになったのですが、なかなかうまく行かず、秋口までは調子が上がってきませんでした。10月頃から歯車が噛み合ってきて、何とか15分台に突入し日本選手権クロカンに出ることができました。総合的に見て、とても充実したシーズンでしたし、満足のいくシーズンでした。
ー日本選手権後はちょうどコロナの影響が出始めていた頃かと思いますが、2020年シーズン導入はいかがでしたか?
(T)正直日本選手権後は目標がなくなってしまって、さらにコロナ禍の影響が出てレースもなくなってしまったことにより一時は引退も考えました。
ただ、自粛期間はやることがなくて(笑)適当にトレーニングを続けていました。やはり走ることからは離れられないですね。今までの継続がもったいなく感じてしまって。ポイント練習はすでに開始していますが、年末までに5000mでの自己ベスト(15'54"1 高3)を更新したいと考えています。今はそれが目標ですね。そのあとのことは考えていません。
ーなるほど。5000mの自己ベストを更新できるイメージはつかめている状況ですか?
(T)そうですね、今出せと言われたら難しいですが、すでに生涯で3回15分台は記録していますし、イメージはあります。それに向けて今はポイント練習を組み立てているところですね。
ー普段のトレーニングでコロナの影響などはありますか?
(T)実際は、あまりないですね。もともと一人で練習することが多かったですし、トラックでの練習もあまり多くないタイプなので、トラックが閉鎖されてもそこまで大きな影響はありませんでした。
ー普段のトレーニングはどこで行うのでしょうか。
(T)多いのは木場公園の距離表示付きの周回コースか、隅田川の河川敷ですね。目的に応じて選んでいます。
ー普段のトレーニング内容について可能な範囲で教えていただけますか?
(T)基本的には企業秘密なのですが(笑)、週5回のランニングトレーニングしか行っていません。ウエイトやクロストレーニングも一切行ってないですね。週1-2回、ポイント練習としてアルゼンチン式や1000mのインターバル、6~8㎞のペース走が中心ですね。それ以外はjogでつないでいます。特別なことは何もしてませんし、15分台を目指す選手としては練習量もかなり少ない方だと思いますよ。
ーその練習頻度・量で走力を維持・向上することは難しい印象ですが
(T)個人的には、継続することが一番大事だと思っています。学生時代故障でトレーニングを中断してしまうことが多かったのですが、社会人になってトラック参戦してからは故障という故障はないですね。それが大きいのかな。と思います。
ーすこしレースの話をさせていただきたいと思います。TaZ選手といえば昨季レースに多く出ていた印象ですが、今年はコロナ禍の影響でレース自体も減っていると思います。そのあたりの印象はいかがでしょうか。
(T)そうですね、昨年はレースをポイント練習の一環として回すことが多く、調子の良し悪しなども測っていたのですが、今年はレースがないので、高強度の練習をすることが難しい状況です。ただ、一方で疲労は溜まりづらいので、昨年とは違うアプローチがいい方向に動けばよいなと考えています。
ーレースが減るとアプローチも変わる、ということですね。今年の計画についてはいかがでしょうか。
(T)今年は11月の日体大記録会で15分50秒切りを目指しています。8月は練習の一環で非公認の記録会に2レースほど参戦する予定です。スピード強化も兼ねて1500mと3000mが基本になりますね。9月以降は徐々に大学記録会も開催されるようになるでしょうし、10月には調整なしで16分10秒程度で走れるようにしたいですね。その後ピークを持ってきて記録を狙いたいと思います。
ー少し話が飛びますが、質問が多かったので聞かせてください。TaZ選手といえば代名詞ともいえる「レースでの位置取り」が非常に上手な印象があります。どのようなことを意識されているのでしょうか?
(T)位置取りというよりは、レースの組み立てです。流れに乗ることと、パーソナルスペースを確保することなんですよね。前半は流れが速いことが多いですよね?だから後ろから行くことが多い。その方が出力が減らせるし後半徐々に前から落ちてきた選手を目標にして拾いながら気づいたら上位に。というのが理想です。そう意識はしています。
位置取りについては、ある意味これは才能なのですが(笑)、周りが見え、少し先の展開を読む能力に長けているのだと思います。接触を減らしながら、スポットを見つけて入り込むイメージです。というか少し未来のスポットが見える、という表現が正しいかもしれません。競馬のジョッキーのように進路が見えるというか、そういう感覚もありますね。
あとは当然インレーンが距離としては短いので、記録会ではインレーンを取ることが多いですね。基本的にはスタート直後は前に人を置きつつ外→内に車線変更する感じですかね。自分のリズムと合った人を序盤に見極めることも大事だと思います。大きな動きは極力しないので、存在感が薄いのに気づいたら前に居ることが印象に残っているのかもしれません。
ーTaZ選手は理論派の印象があったのですが、結構感覚派な部分もあるのですね。
(T)そうかもしれません。結局は頭で考えても最後は自分の感覚というか、レースは生き物なので、都度対応できるように感覚を研ぎ澄ます必要はありますよね。
ー最後に、今年の意気込みをお願いします。
(T)ここまで継続してトレーニングを行ってきたことが間違いではなかった、と言えるようにしっかりと自己ベストを出したいと思います。応援よろしくお願いいたします。
ー本日はありがとうございました。
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