差添い
物心ついたときから、なんとなく月が好きだった。大人になった今も、変わらずに好きだ。
空にその姿を見つけると、妙に頼もしい気持ちになる。
真昼の空にぽっかりと浮かぶ白い月も、夜のしじまにくっきりと映える黄色い三日月も、見かけるとまるで旧知の仲のように目配せをして、心の中で「どうも」と呟いてしまう。
誰に対しても等しく、一対一で向き合ってくれるように思えるのもいい。
ときには脳内宇宙旅行で、月から見えるちっぽけな自分を想像してみたりもする。
楽しいときや嬉しいときは照れ臭くて、視界にその姿を捉えていても見て見ぬふりをしてしまう。反対に、寂しかったり心細かったりするときは、包み隠さず素直な気持ちで慰めを乞う。
涙をこらえて仰ぐ空にも、祈るような想いを抱えて見上げる空にも、いつだって月の姿を探して、思い浮かべて、そこに「大丈夫」と言う聲を聴く。
これまでもこれからも、私は月に守られ、付き添われて生きていく。