長編連載小説 Huggers(60)
沢渡は最後に裕子にあるお願いをする。沢渡 10(つづき)
「僕は、神を呪って、悪態をつきました。それから体中の水分がなくなるかと思うくらい泣いて泣いて、そしていつのまにか寝ていました。玄関ですわったまま。目が覚めたとき、立ち上がろうとして、びんを蹴とばしたんです。義母が、僕にもたせてくれた、梅の実の醤油漬けが入った透明なガラスびんでした。廊下を転がっていって止まったびんに、カーテンのすきまからもれてくる外の明かりが当たって、光るのが見えました。濡れてるみたいに。とても、きれ